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かたるんさんのきっと、澄みわたる朝色よりも、の長文感想

ユーザー
かたるん
ゲーム
きっと、澄みわたる朝色よりも、
ブランド
propeller
得点
86
参照数
333

一言コメント

演出やグラフィックなどもさることながら、一本道で終わりの余韻と後味がとても良かったです

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

久しぶりにシナリオと相性が合い、これという作品に出会ったような・・・気がする

確かにエロシーン、いうなればエロは限りなく薄い
しかし、世界観、シナリオ、グラフィック、演出どれをとってもしっかりしており
また最初の導入部分も面白く、惹かれ、途中途中で入るヨダ絵がとても良い

一応勢いで書きそうな雰囲気が怖いのでネタバレにチェック入れました


○シナリオ 18/20

4部構成で、1部が導入 2部、3部が本編で2部長め 4部が締
ふと思ったけど、この4部丸々が起承転結それぞれ1文字に当てはまるのではないかと
『承』の部分が2部、3部ともいえるし、2部のみともいえるし、ただ今の思いつきの範疇なのですけどね・・・

勿論、最初から最後まで面白い作品も沢山ある
一番良い所を魅せるのに少々時間がかかる作品の方もある
自分はプレイしてる作品から後者の考え方なのだが
この作品は最初から最後まで面白く、最後は勿論余韻、後味の良い終わり方でした

1部の導入は、導入ながらも主人公の苦悩とその結果による喜びがあり、取り戻すために必死に耐え信じる様に魅せられたし
日常でもちょくちょく入るヨダ絵や鈍感のことにしても丁度良いぐらいに面白い

伏線も巻きながらの2部がとても重要な所でした
勿論3部目も大事で締めに繋がる重要箇所ですけど、それを語る上での無ければならないことが、ここ2部目で語られていました
多々に渡る伏線と導入部分との『違い』、そしてそれがもたらす『結果』
『病』と言われますが、それがもたらすキャラクターの動きは目をはるものがあります

それを丸ごと伏線にしました。といわんばかりの3部目
ここで全てが明らかになります
そして最後の締めへと繋げる要の3部
基本流れは同じですが、2部との違いを明確にしっかりと描いていると思いました
笹丸とヒロインの存在、そしてとある少女の抱える本音
見事に絡み合い、また『秋』という季節を表現していたと思います
憎いけど、綺麗。許せないけど、誰も悪くない
建前と見え隠れする本音っていうのは凄いなと改めて思いました。

最後の締めの4部
短いけど、綺麗な終わり方を魅せられました
どんなキャラクターにしろ愛着が沸けば最後の4部はぐっとくるものがあるのではないでしょうか
(凄い個人的ですが、最後の若さんでかなりグッとくるものがありました!)
1部~3部があったから4部、これからがある
繋ぎ方が凄い上手いなーと思いました
勿論当人ではないのでわからないですけど、ここの4部にこの作品で書きたかったことの一つや二つなどあるのではないでしょうか
と思う程の最後でした

通して難しい言い回しや唐突な部分は確かにあります
それでも読みやすい部分は勿論あるし、やっていれば特別な読みはすんなりと受け入れられると思います


○雰囲気 18/20

演出やSD絵、ヨダ絵だがそれとBGMどれもが合さって面白い、惹かれる雰囲気である
また秋という季節をシナリオや演出、BGMなどをつかって最大限まで『秋』という雰囲気を引き出していると思います


○キャラ 9/10

全員が主要人物とでも言わんばかりの設定
魅力的なキャラクターがほぼ全員といっても過言ではないです
キャラクター背景がとても良い


○グラフィック 19/20


その表現の一つとしてグラフィックの見せ方などの水準が非常に高い
雰囲気でもいった演出も混ざって、魅せ方が良い


○シーン 3/10

こればかりはさすがに致し方ない
ただシーンが少ないのもありだとは思う
まぁ、一人な上に一回だからエロゲとして~とか見ると何もいえないけど・・・

アララギはそのままやっちゃってよかったんじゃないかな!!
というほど、アアアアアァァァァとあの時は思いました


○システム 9/10

とにかく魅せ方がうまい...と思う
後は、次の未読部分へのスキップの使い勝手が良いと思います
処理も軽いです
演出も追加点の理由


○+α 10/10

文句なし
個人的な補正点数でも良いというほどの出来、というか相性の合い具合でした。



○合計 86/100

シーン3点でこれだから相当高いんではないかなーと思います
いろんな意味で、自分と相性が良かった作品
ここまで清々しい良い後味を味わった作品は久しぶりかもしれません。

少しいうと、はるまで、くるるも相性良かったのですが、少し描写が足りなく余韻を味わうことが出来ませんでした
個人的な評価や相性は似たようなものですが

最後4部が丸々EDとでも言えるほどの余韻に残る後味の良い作品でした
ぶっちゃけ4部がry

最後にどうでもいい私情を挟むと
3章のほぼ最後の展開であぁ、これはやばいと思って耐えたのが
4章のEDの若の部分でアアァァ・・・という感じに決壊した感じです
といっても少し涙ぐむというレベルですけど

やって良かったと思える、そんなお見事な作品でした

(『章』という形に気付いて最初からなんでそう書かなかったのだろう・・・と最後でふと思いました)