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かげらうさんのはぴねす!2 Sakura Celebrationの長文感想

ユーザー
かげらう
ゲーム
はぴねす!2 Sakura Celebration
ブランド
ういんどみるOasis
得点
80
参照数
1843

一言コメント

シナリオは前作より良い。キャラはちょっと劣化?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作はキャラやシナリオ(の雰囲気だけ)は結構好きだったんで。
比べてみると良くなった所有り、悪くなった所有り、でもトータルで見れば前作より良く出来てます。





■シナリオ

・基本的に読みやすい
ライターが見覚えある名前だなーと思ったら、sense offの人なんですね。
電波シナリオでも書かれると困りますが、比較的どみるの作風に沿った平易な話が書かれていて、読みやすいです。

最近ちょこっとだけやった「さくら、もゆ」はプレイヤーに情報がない時点でそれらしいことを延々と、しかも勿体ぶった言い回しで続けてくるため、前評判を込みにしても苦痛で続けられませんでした。

これはその対極でほとんど最初からそういう裏の面を出してこないので、物凄く気楽に読み進められます。
逆の見方をすると頭空っぽにしても読めるわけで、序盤や日常部分に大した意味合いがなく、スキップできてしまうという意味でもありますが。





・世界観
エンドに向けての盛り上がりはそこそこあり、各キャラ均一にシナリオの比重がおかれている印象があります。
ただ先に挙げた作風の影響で、ドロドロや陰惨な側面が全くと言っていいほど無く、危機感が感じられないんですよね。なんといいますか、典型的な「優しい世界」です。


前作では裏で動き回る(というには余りに展開や行動がお粗末でしたが)キャラがおり、最低レベルの緊張感は維持できていました。いや、最初から話しとけば問題にもなんなかったろというモヤモヤはあったのですが、まあなんにしても敵と呼べる存在はいたわけで。

でも今作のそれは意志を持った何かというより、ある種のシステムそのものなので、感情移入に難がありました。
幼馴染等の伏線もありますが、ライターがそもそも隠す気が無いのに加えて、「その伏線・設定必要だった?」というものも多々有り、ほどほどの萌ゲーでいいんだろという手抜き感すら感じます。





・設定
端的にいらないものが多いです。
例えば

主人公や妹の1000年前との繋がり ← きっかけ程度で別に役に立ってない。
ゆうくん設定 ← なぜその名前にしたのか意味不明。ミスリードさせる気すら無い
大人になると魔法が使えなくなる ← キャラを絞るためでしょうが、強引過ぎる
魔法 ← 社会で役に立っている描写がない。かといって迫害されていることもない。
     放射魔法なんて覚えさせても使う機会は完全にゼロ。


作中のキャラが魔法学校なんか出ても潰しが効かない、と言ってますがいやいやそんなことないじゃんと。
年端もいかない子供を悪用していくらでも悪いこと思いつきますよ、事象魔法なんてあるくらいだし。
明らかに世界観にはそぐわないですが、制限かける手段なんていくらでも書けます。
別に子供が売り買いされて性的虐待に合った挙げ句精神支配されて云々、みたいなことは言いませんよ。
言いませんが、優しい世界であっても魔法で戦うお話ならそういう側面は必要だと思います。


なんといいますか、「魔法がある」がまず設定としてあって、その土台がまったく固まってないんですよ。
だから「魔法すごい」にもならず、「おー、魔法かー」にもなれず、「はいはい魔法ね」にしかならない。
そういう意味では一般と魔法を使う学生を混在させた前作の方がまだよかったように感じますね。





・例のシステム(微ネタバレ)
本作で言われる被害者って正直無視しても良いものにしか思えないのですが・・・
現代に置いてもそうですし、それが1000年前であれば尚更の用に思えます。

例えばこの被害者が必ず特定の家系から出て、その人達がシステムの改善を目指したり、破壊を目論んだりするなら十分な説得力が出ます。なんつうか、この辺も世界が優しすぎるんですよね・・・この程度の被害のために街ぐるみで対策なんてするわけがないですし、ましてや赤の他人がそれを阻止しようと動いたりなんてしませんよ。冷たく言うならその労力で何倍の人間を救えるかって話です。

明確な被害者がいて、その人達が街の利益にかなっているシステムを破壊しようとする、実に単純で魅力的な設定だと思うのですが・・・




■キャラ
嫌いなキャラはいませんが、特にいいキャラもいないんですよね、璃乃は好きかなって程度で。
全員前作のキャラなぞってますが、役割別に見ても前作のがほぼ好きです。
よくも悪くもあっさりしていて書くことがないです。
体験版をやって好感触であればその評価が本プレイで変わることは恐らく無いです。




■まとめ
結構細かい不満はあるのですが、作風を裏切ることはないですし、少なくとも駄作というレベルでは絶対にないです。
萌えゲーしか求めてない人であればokでしょうし、シナリオも過度に求めなければ読むことは出来ます。
上手くまとめているという点では2、好きな部分が上手くハマれば1の方が上って感じです。
昨今では作品の数も減っていますし、そういう意味ではまともな一本と言えるのではないでしょうか


追記
前作起動してみたけど、やっぱりキャラは前作のが断然ええですわ、なんでやろ。
後Hシーンも完全に前作のが上に感じる。うーん・・・