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かげらうさんの千恋*万花の長文感想

ユーザー
かげらう
ゲーム
千恋*万花
ブランド
ゆずソフト
得点
95
参照数
504

一言コメント

エロゲーってのはこういうのでいいんだよ、に最も近い傑作。エロとシナリオのバランスが素晴らしい

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

good
■及第点ラインをしっかり超えた伝奇シナリオ

ゆずソフトと言えばむりりん&こぶいちの業界随一のCGと、酷評するほどではないにしろ凡百(もしくはそれ以下)のシナリオがセットであることがもはや通例になっていた。各作品の平均値は70~80までの間に収まっているものの、エロゲの最重要要素である絵師2人の存在を差っ引けば、点数が少なくとも5点くらいは下に行っているだろうことは想像に難くない。

が、本作は違う。
シナリオだけで90点を持っていけるような「読ませる」作品でこそないが、深さが無い代わりに全体が無難にまとまっており、唐突な展開や理不尽感が少ないため、良い意味で気楽に読み進められる。一族にかけられた呪いというシビアな要素こそ存在するが、メーカーの色として切った張ったをしても人命に関わるものは基本出てこないため、比較的広い層に勧めやすい点もいい方向に作用している。



■トップクラスのキャラクター描写
実力派の声優の演技も相まって、全ヒロインが水準以上の魅力を兼ね備えた稀有な作品となっている。
グッズの発売等を見ればメインの人気順は

茉子(エロ忍者)>ムラサメ(幼刀)>>芳乃(エロ巫女)>>>レナ(巨乳)

でほぼ確定だと思われるが、圧倒的最下位のレナでさえもそこらの作品のキャラよりは余程魅力がある。
さらにサブキャラ2人にも明らかにおまけ以上の力が入っており、単価に対する満足度が高い。特に主人公とくっついた後のイチャラブ描写はもう全部これでいいんじゃないかって程度にはよく書けている。



■えろしーんがえろい
シナリオが水準をクリアして、キャラが十分魅力的で思い入れがあるところに持ってきてシーンも充実していればもう何も言うことがない。詳しくは以下キャラ別に触れる



■ムラサメ
ユーザー人気ナンバー2にして、個人的使用回数ナンバーワン。

一部の人間にしか認識されず、触れることが出来るのは主人公のみという設定がくっついており、三回目のHシーンにおける「人間として共に生きる」という告白は無難な展開ながら彼女の生き様故に中々に泣ける、シーンもエロいからち●こも泣ける。

本来、封印のためとはいえ都合よく身体が御神体として残っているのもちょっとあれかとは思うのだが、その辺はシナリオが本格派ではなくあくまでキャラゲー主体であることが効いており、ユーザー的にも納得できる範囲に着地しているのが味噌。

お化けが怖かったり甘いものが好きだったりとロリっぽい露骨な要素を推してくるのだが、こもわたSDもあいまってムラサメちゃんならしょうがないなと思わせるだけのパワーが有る。

1.2回目はノーマルなHシーンなのである程度の愛情補正は必要だが、上述した告白混じりの3回目は着物をたくし上げての野外バック、クリア後のアフターでは(構図はちょっとイマイチだけど)制服着衣の対面座位と使えるシーンとしての水準をしっかり満たしていて◎

特に3回目の方は絶頂時のダミ声っぽいのが個人的にドストライク。可能であれば単なるバックじゃなくてもっと木に身体ごと押し付けるような感じの構図だと良かったんだが、まあそこまでは言うまい。



■茉子
ユーザー人気ナンバーワン。

恐らく作品のキャラ人気をムラサメと二分するオナ忍者。声優についてはそれほど詳しくないが、みくにゃんの生き別れの姉妹だとかなんとか? 立ち絵が非常に可愛らしく、そつない家政婦+忍者っぷりと露骨なプライベートでのギャップがあざとい。

ただその可愛さに対して使用回数はレナと並んでダントツの最下位でもある。
これちょっと制作陣に考えていただきたいのだが、エロ忍者なんだからもっとエロシーンに忍者衣装使っていかないと駄目でしょ。風呂場で半分脱げてるようなシーン一回きりじゃ股間のお客さん納得しないよ。せっかく可愛らしい制服も作ってるのに、4回目のシーンではそれも活かしきれてない。



■芳乃
ムラサメと茉子という圧倒的ツートップに挟まれた不遇の三位……ではあるものの、それは前述の2人の壁が高すぎるだけであって、そんじょそこらのゲームなら余裕でセンターフォワード張れるくらいのポテンシャルは持っている。基本有能(たまにポンコツ)の茉子と比べてポンコツ頻度は高く、それを茉子がカバーする形で展開してく日常シーンは適度に微笑ましい。

人気の上では幼刀と忍者に遅れを取っている芳乃だが、エロシーンの質という意味では実は両者よりも優れている。
2回目の風呂場でのシーンは密着感があって良いし、三回目の69からのバックは生々しさと着物が揺れるのがわかるような臨場感がある。アフターは普通のバックではあるものの、制服は来たままで下着は下げてもももまでという作法をしっかり守っており、本作の作風ではありえないレイプ感も若干漂っており、中々に使える。また、やたらキスにこだわるだけあって所々に挿入されるキスシーンもエロい。

単純に幽霊+幼刀というムラサメやエロ忍者の牙城に挑むには「巫女」という古典レベルで使い古された設定ではやはり苦しかっただけと思われる



■レナ
人気、シナリオともに恐らく最も評価が低いであろう不遇のルート。

巫女という芳乃の不遇をさらに下まわる巨乳では、常ならぬ上位2人に挑むべくもないのは確定的に明らか。
特に芳乃含む他メインは恋愛前の描写が非常に丁寧なのに対して、レナはその辺りの展開が急であり相対的には雑と言わざるを得ない。また、話の真相に迫るという意味では最も重要なキャラなのだが、同居しており行動も一緒で目的も同じく把握している他三人に比べるとどうしても話の本筋に絡むことが出来ず、結局サブ以上メイン以下という微妙な立ち位置に収まってしまっている。

エロシーンは着衣度が中途半端なのに比べて巨乳は個人的マイナス要素なので評価しない。



■小春
本筋には絡んでこないサブキャラその1……と思いきや実は本編屈指のエロさを誇るゆずソフトの刺客。個人的使用回数同率1位
立ち絵こそふっくらしているというか丸っこいというか、あまりそそられる物がないのだが、いざエロシーンが始まるとこの子マジヤバイ。適度なロリ感となぷにぷに感が相まってちんこビンビンですよ神

1回目は普通の全裸シーンだのに塗りがキレイなために普通に抜けるが、2回目の神社で挿入がやばい。着物を着たまま片足を上げ、ピンクの下着を足に引っ掛けさせたままで、「我慢できずに外で繋がっちゃいました感」が余すことなく表現されており、とにかく抜ける。その一方アフターはありきたりで抜けないのが玉に瑕

また、シナリオもサブだからどうでもいい…と思わせつつ、年上で恋敵の芦花と搦手の恋模様はそこそこ見応えがある。



■芦花
本筋には絡んでこないサブキャラその2……と思いきや恋愛未経験系お姉さんのテンプレを忠実に踏襲した良キャラ。
しいて不満を挙げるとすれば選択肢で小春を選んだ場合、恋敵に競り負けた芦花が涙目になっているところをちゃんと描写してないところで、どちらも人間が出来ていると言うか潔すぎる。

残念なのはエロシーンで、1、2回目の前戯シーンは(未経験だけど)年上感が出ていて抜けそうなのだが、肝心の着衣シーンが二回目の本番のみで抜けそうなキャラなのにあんまり抜けないという残念さがある。