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かげらうさんのアルテミスブルーの長文感想

ユーザー
かげらう
ゲーム
アルテミスブルー
ブランド
あっぷりけ -妹-
得点
10
参照数
4345

一言コメント

私は今泣いていて(´;ω;`)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

@システム
恋と選挙とチョコレートでもありましたが、所々に挿入される強制オートはほんとうに頭が煮えているとしか思えない。死ね
まあ、あちらと違ってシーンスキップできるのはいいんですが、だったらマウスクリックといったい何の違いがあるというのか。死ね
百歩譲ってオート流すにしてもクリック切るな。死ね
エンディングでの数十分に渡る独演は、感動以前に殺意を芽生えました。死ね

@CG
立ち絵は割合好みですが、CGは可もなく不可もなく、といったところ。
まあそういう目的のゲームではないんで、どうでもいいでしょう。

@キャラクター
脇役に関して言えば良い味が出ています。
ただ、主人公が女性であるためにエロゲーとしての機能的不具合が起こっています。
これはシナリオの項目で触れます。
あと今日子って何のために存在したんですか?

@シナリオ
まず始めに、中盤のスコシタイガーの辺りまでは非常に楽しめました。
そこまで限定であれば95点くらいはつけてもいいと思います。
ただ、女性主人公が合わない人はいるでしょうね。

以下、相応のネタバレが入ります。








不満点その① ハルと建夫の関係構築が不自然

何というか、二人の関係がアリーを交えて「仲のよい親子」といったところで全く恋人やってません。万事に優しい建夫と、いい加減な桂馬を比較して後者への思いを揺さぶるのは結構ですが、前者をおろそかにしたらあかんでしょう。
公平のために言っておきますが、本作は主人公が女性なので、男と付き合うことに対して感情移入しづらい点があったのは事実でしょう。
しかし、それにしてもハル自体が建夫に対して恋愛感情を持っているとはいいがたく、度々のデートにアリーが同伴しているため、見ていて違和感がありありです。
現にこの二人、お互いに実によくわからん理由(いいひと:珍しい女の子)でつきあい始めたのと同じように、実によくわからん理由で別れます。

クライマックスの少し前に、ハルは自分の想いに整理を付けるためにプロポーズを受け入れますが、ユーザはまずそこで一回置いていかれて、別れる所でもう一回「ああ、そう。だったら最初から付き合うなよ」と萎えさせられます。



不満点その② 節子これゲームちゃう、紙芝居や

無駄に攻略キャラを増やしてシナリオの質を薄めるよりはこちらの方が好感は持てます
(そもそも女性主人公故に、そのような形式を取れなかったのでしょうが)
とはいえ、もうちっとだけでも何とかならなかったんですかね?
バッドエンド的な小さいものでもあれば印象は変わってくると思うのですが……



不満点その③ 中盤以降、はっきりいって面白さが激減する

本作の看板を端的に表せば、「アルテミス=超高々度に挑戦する物語」になるでしょう。
なのに、ハルは桂馬への思いを断ち切るために退職し、日本を離れてしまいます。
(え、主人公なんですよね?飛行機大好きなんですよね?)
ろくすっぽ恋愛感情もないような相手についていくだけでも興ざめなんですが、そこから話の主軸が軌道エレベータに移ります。



…………私は声を大にして言いたい。

なんでこんな無用の長物を持ち出した!!??

アーサー・C・クラークがどうとか、どうでもいいんだよ!
JJが作ったイカロスでアルテミスに挑むことこそが物語の本質だろうが!!
安全確実に宇宙に行ける軌道エレベータなんぞを、アルゴー01がなぜか再起動してケーブルを放出するような奇跡を起こしてまでなぜ出した!?

ライターは理解していると思うがこの瞬間に「飛行機で宇宙に到達する」という本作の最重要テーマが一瞬にしてゴミ以下に成り果てたんだぞ!?

飛行機乗りの空への美学のような物はわかるにしても、既に軌道エレベータで宇宙に行けてしまっている時点で、今さらイカロスで超高々度に挑んだところで「ハァ?」としか思えんだろが!!!

しかもそこまでやって迎えたエンディングは強制オートが数十分(マジ)
挙げ句の果てには主人公は何もせず、最後のエロシーンは亜希子と桂馬ときたもんだ。
別にハルと桂馬の絡みが見たかった訳じゃないが、飛行機物語のクライマックスが実は主役は軌道エレベータで、犯人は狂信者で、主人公は飛行機乗らなくて、エロシーンも妄想でしかなくて、いったい何処の誰が得するってんだ!?

そして最後に唐突に桂馬がイカロスでアルテミスに挑戦。
延々数十分の独演会を聞かされて……正直嘘だと思いたかった。




総評
途中まで95点くらい付ける気満々でしたが、そこから

強制オート -5
エンディングの強制オート -10
主人公の後半の空気っぷり -10
サラとの話ほとんどがない。指輪とか投げっぱなし -10
軌道エレベータ -50

を以て10点とさせて頂く。
なまじ楽しめただけに、その後の凋落ぶりに涙がこぼれて仕方ない