【ver.101】縦書き。こちらも「プロローグ」。『ひとりのクオリア』を読んだ後では、この『ふたりのクオリア』は非常に退屈な話だと感じた。手法としては実験的な作品だけど、ただそれだけ。大したギミックもなく終わった。続編ではもう少し練ってほしいと思う。オチがあまりに強引。『ひとりのクオリア』に対照させるのと、タイトルにひっかけるために無理やりな展開にしたように感じた。
毒にも薬にもならない話。
終わりは、奇妙なもので、『ひとりのクオリア』の対照にするためか、無理に同居生活を続けさせた印象を受けた。ギンザは、ナツメの依存心と自分の過去による危機を考えて、ナツメの住まいから出ていくことを決めたはずなのに、ナツメの依存はそのままで、ただ、ナツメの我儘で自己の考えを捨てた。散々、出ていく必要性を書いておいて、あっけなく出ていかないと決めるのは、強引なのではないだろうか。
『ひとりのクオリア』はファンタジー路線にいくかもしれないので、こちらもそうなる可能性が高い。そこで重要なのが、ナツメの二つの世界を認識できる病気(?)だろう。ギンザになぜか感染したが、面白くなる要素だと思う。非常に読みづらいが。
あと、ナツメの病気を一定以上理解している父親と母親はなぜ、ナツメを一人暮らしさせたのか。無責任じゃないのか。
『ひとりのクオリア』を読んだ後では、この『ふたりのクオリア』を読む意味がほとんどない。ナツメの病気と、ギンザの症状を知るだけだった。この部分は、登場人物の説明を読むだけで、十分補完できる。