ErogameScape -エロゲー批評空間-

えびさんのハロー・レディ! -Superior Entelecheia-の長文感想

ユーザー
えび
ゲーム
ハロー・レディ! -Superior Entelecheia-
ブランド
暁WORKS
得点
90
参照数
1324

一言コメント

絵26+文26+音27+他11 ハロー・レディの延長線上には、僕が望んでいる、『エロゲの完成形』のひとつが、あるんじゃないかと思う。

長文感想

■プレイ時間の内訳
無印 20時間
New Division 6時間
Superior Entelecheia+おまけ 5時間
合計 31時間


さて、『エロゲの完成形』とはなんだろうか。
それは、メーカー側にとっての目線、ユーザー側にとっての目線、いろいろな完成形
があるだろう。
そして、メーカーも十人十色だろうし、ユーザーに至っては“百人百色”、“千人千
色”であることだろう。

または、完成形なんて無いからこそ、常に新しい試行錯誤が今日のエロゲを作って来
たのであったり、エロゲーマー達が毎月のように新作をチェックし月末に備えると言
うお馴染みの光景があったりするのかもしれない。

けれど、誰しも、
「エロゲはこうであって欲しい」
「こういうエロゲがプレイしたい」
というような想いは、朧げであっても、何かしらあると思う。

映像的な造形の美麗さ。彩色の妙。
それらは、『作品の世界観』に、特に強い影響を持っているし、何より『登場人物の
魅力』である可愛さや美しさ、あるいはカッコ良さなどを描くのに、圧倒的な効果が
ある。

『仲間』達との、微笑ましく楽しげな日常描写。
一転、彼らの『心の傷』に触れ、時にそれを癒やし、時にそれを受け入れる強さを謳
う。
それらが『登場人物の個性』に厚みを与え、それらがシナリオの歯車を回す大きな原
動力となる。

もちろん、聴覚的な刺激も忘れてはいけない。

熱く燃えるロックサウンドや、重厚で華やかなオケ曲。
優しさの中に哀愁を隠しえない、ピアノやオルゴールの柔らかなメロディ。
時には、強烈なサウンドスケープマシーンと化すワールドミュージック群。
もちろん、これらは『作品の世界観』に強く働きかける、『強い曲』達だ。
でも、そればかりではつまらない。
何気ない空気感のイージーリスニング的な楽曲や、グルーヴィーでコミカルな楽曲な
どの『弱い曲』が『強い曲』達を繋いでいるから、『強い曲』は『強い曲』として映
える。

主題歌は、特に『作品の顔』と言えるだろうし、それをただのイメージソングにして
しまわず、劇中で使えば、それほど『強い曲』は無い。
BGM群も含め、音楽は映像並みに『作品の世界観』に強い影響を与えるが、やはりこ
ちらも、登場人物の心理描写に沿った選曲をすれば『登場人物の魅力』を補う力も持
ち合わせている。

更に、『登場人物の魅力』や『登場人物の個性』を表現する上で、絶大な威力を持つ
のが声優陣による演技と言える。
それは、まさに『魂』を吹き込むとすら言って良いのではないか。

映像、テキスト、音と言った主要な要素は、『作品を愉しむ』上で最重要だ。
『作品を愉しむ』とは、『作品の世界観』に深く浸ったり、シナリオを読み進めたく
なって『左クリックが止められない』といった、没入感だけではない。
『登場人物の魅力』に触れ、彼らに共感したり同情したり、稀に嫉妬したりする事も
あったり、感情を揺さぶられる。
そして、時に僕らは二次元の存在に『恋』をする。
だから、その先にある行為に酔える。ひどく俗っぽく言えば、ハードなエロがなくて
も『抜ける』のだ。

このような主要な部分に留まらず、システム周りの快適さなども、『作品の完成度』
を高める物だろう。
また、もちろん、それぞれの『質』だけに留まらず、『量』もある程度以上が求めら
れるのは言うまでもない。


そんなあらゆる部分が、本作『ハロー・レディ! 』は高い水準で纏まっている。

メーカー側の広報だとか、サポートに関わるユーザビリティと言った部分も、いくら
かは『作品の完成度』に貢献するのだが、姉妹ブランド含めて、昨年辺りからゴタゴ
タとして来ているので、そこは敢えて書いていないが、ユーザーに真摯であろうと言
う想いは感じている。
あの選択が間違っていなかったのか、本当にユーザーに真摯であったのか、その結果
は、本作の完成度とは、また別の話であろう。


私は、つい最近、ひとつのことを学んだのだが……

あー、まあ、学んだというよりは再確認しただけなのですけども、『良い作品』に出
会ったら、御託を並べず「良い作品だった。」と言えば良いのです。


『ハロー・レディ!』、良い作品でした。
最後までプレイさせてもらえて、ありがとう。


では、最後に豊満(おっぱいマウスパッド)をもみもみしながら、叫んでおきましょ
う。
「おお! ハレルヤ!」