絵20+文13+音17+他08 基本的に、『お兄ちゃんにはぜったい言えないたいせつなこと。（通称：おにたい）』と同じような路線なんだけど、あれよりも寝取り側の毒味が弱くてサラリとしてる。主人公は『おにたい』程、空気化してないけどヘタレ具合はどっこいどっこい。寝取られるヒロインは、キャラがテンプレすぎて、「寝取りたい！」とか「こんな娘が寝取られるの！？」的な興奮が弱いかなぁ。
*映像面・・・
なんと10年以上の時を経て蘇った、壽々郎原画。
さすがに、当時の絵とは違って、最近の萌え絵的な要素も踏まえた絵柄。
特別に上手さを感じるという部分もないし、男キャラの立ち絵は魔界の住人にしか見
えないけど、女の子の立ち絵は十分可愛い。
一枚絵はちょっと奇乳が気になるなぁ。
エッチシーンの一部に、After Effects準拠なアニメーションがあるけど、あまり効
果的ではなかったかな。
まあ、割りと使い古されているけど、まだミンクでは始めたばかりの試みだから、こ
んなものかな。
*音楽／声優・・・
音楽が意外にも良くて驚いた。
今までのミンクって、どうも音楽が冴えない印象があった。
今回は、Sprout INCっていう外注さんみたい。
あまり聴き馴染みがないけど、それっぽいHPを見つけた。（違ったらごめん）
http://www.sprout-sense.com/jisseki.html#contentstop
そういえば、『13人の麗しきケダモノ』でも、一部楽曲提供してたな。
大人しめの空間系ポストロック的なニュアンスも秘めた『日常シーン１』って曲は、
割と好き。
（空間系ポストロック的なニュアンス←これ、怪しい表現だなぁｗ）
同人だけど、『夜のひつじ』さんのmadetakeサウンドの日常曲みたいなね。
他の曲は、もう少しポップに仕上げてるけど、基調になってるのは『日常シーン１』
みたいな静かなサウンドスケープ。
地味といえば地味だけど、また、ここの音楽は他作品でも聞いてみたいなーって思え
ました。
声の出演では、妹の雛奈ちゃん役だった佐倉もも花の演技が、ちょっと単調に聞こえ
たかな。
地の文では、
“ただ大声で言うだけじゃなく、心の中身を吐き出すような、悲痛な叫び。”
と表現されているのに、他の演技と差別化がされてなかったと思う。
香凛ちゃん役の星空ユメは、ちょっと物語の展開的に、あまり目立たなかったかな。
だけど、終盤のシーンでキャラのイメージが変調した時、ちょっと背筋がぞくってし
そうな、いい演技してたから、他作品で改めて聞いてみたいな。
*シナリオ・・・
**どんなお話？
お兄ちゃんと妹の禁忌の恋。
といっても、エロゲでは定番な兄妹の恋。
父子家庭で家事のほとんどをこなす可愛い妹・雛奈ちゃんは、お兄ちゃんが大好き。
そして、ついに雛奈ちゃんは想いを告白し、二人は兄妹で恋人に。
けれど、言葉だけでの繋がりに不安が隠せない雛奈ちゃんは、段飛ばしに身体の関係
を結ぼうとします。
一方、お兄ちゃんの俊も、それを受け入れるのですが、いざ挿入という時になって、
ままならない童貞チンポの切なさ。
はてさて、可愛くておっぱいの大きな妹を狙う男たちは、沢山います。
お兄ちゃんは大好きな妹を守り、無事に童貞卒業できるのでしょうか。
てな具合の導入。
**それからどうなる？
もちろん、妹の雛奈ちゃんが寝取られる。
でも、誰が寝取りの犯人なのかは伏せたまま。
もちろん、俊は大好きな妹が、そんな目にあっているとは知りもしない。
『ガテン系』の一章と同じような見せ方ね。
【対抗】東雲雄哉は元幼馴染の男の子。
昔はいい子だったのに、今じゃイケメンの女たらし。
雄ちゃんは、不良グループともお付き合いがあるっぽくて、大病院の御曹司らしくっ
て、歪んだ青春を送っている。
でも、昔の四人が仲良しだった頃に、一番固執してるのも、雄ちゃんだったりするの
かも。
昔から雛奈ちゃんが好きだったみたいなんだけど、いろいろ拗らせてるから、いつ爆
発しても不思議じゃない。
【穴】矢嶋圭は幼馴染の男の子。
俊とも、雛奈ちゃんとも仲良し。
圭ちゃんは、性格も明るいイイ奴だけど、勉強も運動もルックスも人並み以下の目立
たないモブ夫くん。
だけど、昔から雛奈ちゃんが好きだったみたい。
いつも明るく振舞っているけど、その腹の中に秘めてるのはコンプレックス。
モブ夫くんだって、爆発するかもしれない。
【本命】尼谷雅和は美術の教師。
美術部員である俊が、美大の推薦が決まったのも、先生のおかげ。
でも、痩せっぽちのベジータ王みたい見た目が、明らかに怪しい。
【大穴】羽鳥香凛は、俊や圭のクラスメイト。
ポニーテイルがお似合いな、可愛い女の子。
香凛ちゃんは俊が好きみたい。
判りやすくアピってはいるんだけど、鈍感な俊は気付いてくれない。
ついに「辛抱たまらん」と告白しちゃったんだけど、惨敗。
だけど、その後、俊と雛奈ちゃんがキスしているところを目撃しちゃった！
香凛ちゃんの怒髪天モードが、炸裂するかな！？
さあて、どんな手管で雛奈ちゃんは寝取られるんだろう？
**囲い込み進行中！ その時、お兄ちゃんは？
趣味と実益を兼ねた料理研究クラブ。
雛奈ちゃんはそのクラブから、コンクールに出る為に頑張ってる。
雛奈ちゃんの身の回りで、エッチな事件が立て続けに起きて、でも心配かけたくない
から誰にも相談できない。
雄ちゃんは、雛奈ちゃんの大事なレシピ本と引き換えに、パイズリしろって言う。
圭ちゃんは、不良に絡まれた時、雛奈ちゃんを守れなくって情けなさで感情の制御が
できなくって、つい雛奈ちゃんに苛立ちと性欲をぶつけちゃう。
コンクール当日も、大好きなお兄ちゃんは応援に来てくれないし、それについに寝取
り犯の魔の手ならぬ、魔のチンポが……
雛奈ちゃんが元気が無いことには気付きながらも、まさかそんな事件が起こっている
なんてお兄ちゃんはまったく知らない。
自分から振った香凛ちゃんの顔色を窺ったり、勃起しないチンポについてネットで調
べてEDじゃないのかと悩んだりと、お兄ちゃんだって忙しいのだ。
そんなお兄ちゃんも、お昼休みに香凛ちゃんに呼び出されて、「妹とキスするとかキ
メェ」と言われたら動揺しちゃうよね。
すかさず、香凛ちゃんに「雛奈ちゃんの代わりでいいからセックスしよう」って誘わ
れたら、そりゃあ童貞チンポも『おっき』するよね。
って、なんだかそんな感じで、
「どっち方面から囲い込みかけてるのかなぁ、判んないなぁ」
と、白々しいドキワクを読み手の胸に抱かせつつ、物語は進んでいく。
もしかして、実は驚くような仕掛けがあるかもしんないなんて、淡い期待も込み込み
で。
**まあ、期待は裏切られる為にあるのかもしれない
予想通りっていうか、あんまり捻りのない結果が待ってた。
ベジータ王とセックスして、もう完堕ち状態の雛奈ちゃんを見たお兄ちゃんの視界に
合わせるように、絶望しかないブラックアウトでおしまい。
んあー…………………………………………
クリア後は、ベジータ王視点がザッピングで追加されて、同じ展開をもう一度最初か
ら見てみようという、答え合わせのコーナー。
んあー…………………………………………
尼谷先生の囲い込みスキルは低いし、なんか育ててる花に女性の名前をつけて、
「こんなに花びらを大きく開いて……なんてはしたない娘なんでしょう……」
とか言ってる、逝っちゃってるおじさんだし。
先生、なんか加齢臭と小物臭がすごそうですよ。
雛奈ちゃんが堕ちる過程も微妙で、マジカルチンポの魔力も少なそう。
お兄ちゃんと香凛ちゃんのセックスシーンを盗撮したビデオとか、そこそこ使えるア
イテムも、寝取られ発覚の直前に使ったばかりだから効果薄そう。
これで完堕ちっていうのも、んーーーー。
そもそも、ベジータ王が雛奈ちゃんを落とす為に作った手口が、
「お兄ちゃんの美大の推薦取り消しちゃうよ？ それでも、いいの？」
という、それだけというので、『おにたい』のより脅しの強度低いっていうね。
これじゃあ、オツムの弱い雛奈ちゃんを強調するくらいしか効果ない。
んあー…………………………………………
んあー…………………………………………
んあー…………………………………………
**時間軸が判り辛いのもマイナス要素
よほどテキストとストーリーに自信があるならともかく、結構、ザッピングを使って
いるのに、そのシーンがいつの事なのか説明がない。
前後のシーンと同じ時間が流れているのか、半日前に戻った別視点なのか、そういう
のがとても判り辛い。
○月○日○時、ってシーンの冒頭に入れるだけで、そういうのは簡単に整理できるの
に、そういうことしてない。
寝取られモノって、言わば過程を愉しむのが、ひとつの旨味じゃない？
なら、そういう見せ方をしましょうよ。
*正直、残念な出来
でも、数少ない古参ブランドであるミンクには、頑張ってほしいなぁ。