絵25+文14+音20+他26 バカバカしくもありながら、なだらかなご都合主義の連続が産み出す、柔らかなハードエロス。そういった趣向のエロゲは、割合、オーソドックスな物なのだが、それらがガッチリとオチンポを掴んで離さない出来栄えに昇華されることは稀だ。
倒錯的なリアリズムが産む、荒ぶるエロス。
なだらかなご都合主義が産む、和やかなエロス。
この作品は、後者でしょう。
例えば、elfの近年の顔である土天冥海作品で言えば、氏の作品は概ね前者に分類出
来ると思います。
しかし、現在のelfの最新作である、『麻呂の患者はガテン系』シリーズは、後者の
作風でありながら、ギャグで流してしまえば済む部分にまで、リアリズムを貫き通そ
うとする、奇妙な真摯さが魅力的な作品だと思います。
そして、この『愛姉妹Ⅳ』という作品も、『麻呂』に似た路線の作品。
基本的には、ご都合主義的で現実味が乏しく、どう考えてもこの主人公に惚れる要素
は無さそうなのに、何故か惹かれていくヒロイン達のチョロさ。
ですが、それはマジカルチンポだけで、身体を虜にしていく主人公とはわけが違う。
とても利己的な動機でセックスフレンドを始めておきながら、時折見せる相手に向け
る想いは、ちょっと歪んでいるとしても紳士的で、憎めないキャラ。
そして、これは、あるバッドエンド後のヒントコーナーでの、愛美と清美の会話なの
ですが……
>>
愛美
「別に私は傍に居なくても……一緒になるなら、そいつには私の事を私以上に理解し
て欲しいって思うかなぁ」
清美
「それ超能力者? 現実見なよ姉さん」
愛美
「うっさいわね……けど何か良くわからないけど、アイツはそういう部分があるの」
<<
と言っているように、相手を深く理解していく妙な懐の深さが、この主人公の魅力な
のだろうと思えます。
と、まあ、こういったお手軽な抜きゲーに対し、そんなことに注目して見るのは、割
りとどうでもいい見方なのかもしれませんが。
エロ方面は、ややハードですが、一部のシーンを除けば陵辱色は薄く、イチャラブな
エッチが大半を占めています。
その上、市川小紗という稀代のエロ絵師による美麗原画に、elf/シルキーズの職人
技的な彩色が施された作品なのですから、おかずに使えないわけがありません。
パンツや網タイツに、細かく施されたディティールは、感動的ですらあります。
また、エロ7:コメディ2:他1程の、ひたすらエロシーンが続くヤリゲーだけに、
枯れるまで何度でも使える仕様になっています。
目立ちませんが、しっとり馴染んだ音楽も、作品の雰囲気作りを手伝っています。
ボイスキャストも申し分ありません。
まあ、あーだこーだと深く語るような作品でもないと思いますので、短めですが、今
回はこの辺りで。
現時点で、今期、最高に抜けた作品でした。
いやぁ、枯れましたわ。