絵25+文25+音26+他11 日野亘的戦隊モノメソッドからの脱却? 二律背反をテーマに据えない、暁WORKSの新たな門出? 率直に言って良作であって、批判すべき部分は概ね、非攻略キャラへの劣情や、バトル熱量への物足りなさ、そしてご都合主義の使いどころくらいなものでしょうか。
*シナリオ・・・
いやぁ、なかなかの高評価ですね……(自分の採点を見ながら)
なんと言いましょうか、非常に完成度が高く、映像にしろ、シナリオにしろ、音楽に
しろ、声優にしろ、問題点を論うのがとても難しく、こういった高評価に落ち着いた
次第。
ただ、プレイし終わってみると、『るい智』をプレイし終えた時のような、滾る思い
が湧いてこないというのも実感として残り、これはラスボス戦に向けて、ややご都合
的に物語を進めすぎた部分や、そもラスボスの降って湧いた感に、いささか興を削が
れたからのようにも思えます。
或いは、この作品の支持者の多くが口を揃えて言う、主人公のカッコよさ、強さが、
きっと最後の最後で、「俺TUEE」として発露するだろうと信じてきたユーザーの心情
に肩透かしを見舞った事が、消化不良を促しているのかもしれません。
ぶっちゃけた話、私自身、成田くんには、<スクール>に知られていない、第二の能
力があったりなんかして、るりりんをめっためたにしてしまうのかと思っていました
が、うーん、その終わり方か……と、若干、寂しい思いをしたり。
さて、この作品の企画は、日野亘氏。
そして、暁WORKS作品に限らず、銀弾作品などにも手を染めた氏のファンであれば、
氏が戦隊モノメソッドとでも呼ぶべきキャラ立てをしてきたことは、周知の事実でし
ょう。
戦隊レッドであるところのキャラが居て、その周りに集う多様な仲間が作り上げた、
コミュニティによるストーリー。
あるいは、そんなメソッドを逆手に取った、『コミュ』という作品も、このブランド
の作品のひとつでした。
ですが、本作はどうでしょうか。
コミュニティやコミュニケーションは、あまり深く描かれていませんね。
また、『るい智』に代表される『呪い』と『才能』といった、二律背反の描写がまっ
たく無かったとは言わないものの、主題とは距離をおいた位置にあったように思えま
す。
HMIという異能がもたらす『傷』に対し、未来への『希望』であるという、そういっ
た部分は、過去の作品のそれを周到しているようにも思えます。
ただ、それよりも、その異能を『可能性』だと論じた事こそが、本作の本質であろう
と思えます。
やはり、前作『‘&’』は、振り返って見るに、これまでの同チームのひとつの集大
成であったのかと思える部分があり、つまりは、この『ハロー・レディ!』は、新た
な挑戦でもあったのだと感じています。
その『可能性』が、花開くことを願い、次回作にも期待したい。
そう思うには充分な、クオリティの作品でした。
……あー、いやいや、その前に、菱吾攻略パッチを……
*音楽/声優・・・
主題歌「Soul Release」Meis Clauson feat.真里歌。
圧倒的でした。
いえ、主題歌としてだけなら、「なかなかの良曲」止まりでした。
「いやぁ、さすが、Meis Clausonだ!」止まりでした。
何がすごかったかと言われれば、ゲーム中のBGMとして使用されている、インストゥ
ルメントバージョンのキラーチューン度合い。
恐らく、一人でもヒロインを攻略すれば、
「あ、ここはあの曲が流れるシーンに違いない」
と予測できてしまうほど、乱用されているというのに、その曲が流れる瞬間には、
「さすがに気分が高揚します」
と、思わずニヤけてしまう、殺傷能力。
「魂の解放」の名に恥じない、見事なキラーチューンでした。
その他にも、BGM群は良曲が多く、また、2ndOP曲、ED曲もAngel Noteの細やかな仕事
が成されており、音楽への評価も高めとなりました。
声優陣については、ベテラン桜坂かいの電波飛びまくった演技も去ることながら、こ
ちらもベテランの海原エレナによる淡々とコミカルに毒を吐く演技に、脳味噌を揺さ
ぶられます。
実際、見事という他なく、目下、エロゲ人気声優の代名詞とも言える、北見六花や遥
そらをもってしても太刀打ち出来ていないほど。
また、隠しキャラとして、こっそり出演していた桐谷華が、まったくもって霞んでい
るとは。
エロゲ声優の層の厚さと、ベテラン勢の力を、まざまざと見せつけられたような作品
でした。
*映像面・・・
私的な見解でありますが、萌えエロ産業における、人体描写とは、デフォルメの度合
いにより、いくつかの階層に分類できるのかと思えます。
その中でも、人形的というのは、描き手の都合のいいようにデフォルメされ、整いす
ぎて面白みのない描写を指しています。
以前に比べると、さえき北都の人形的な裸体描写に磨きがかかり、コスなしの全裸シ
ーンにもエロさが感じられました。
これが、塗りの効果なのか、構図の取り方なのか、はたまたデフォルメの精度が向上
した故なのか、どういった効果の賜物なのか、素人には判断しづらいところでは有り
ます。
ただ、ひとつ言えるのは、『潤い』の描写がなまめかしく、それが人形的な裸体に合
わさった時の、アンバランスさが視覚的に印象深かったということは、間違いありま
せん。
つい最近、面白いエントリーがありました。
エロゲーマーはエロゲのエロシーンでナニを見ているのか?
[http://strangelet.hatenablog.jp/entry/2014/03/26/205039]
このエントリーになぞらえるなら、私はヒロインのオマンコばかりを、ガン見してい
たはずです!
(おお! ハレルヤ!)