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えびさんのサムライホルモンの長文感想

ユーザー
えび
ゲーム
サムライホルモン
ブランド
くらむちゃうだー
得点
75
参照数
1932

一言コメント

絵21+文17+音23+他14 美麗なCG、心躍るBGM、コミカルでテンポの良いストーリー、キャラの個性も光っており、お下劣すぎないエロも実用的。そして意外なオチも。たっぷり詰め込んだ意欲作に仕上がっているものの、随所に、息切れしてしまっている部分が見え隠れ。

長文感想

*映像面・・・
大方の購入者は、きっとこの絵に釣られたんじゃないか。
そう思わせるだけの、インパクトと美麗さ、そしてエロスがあります。
コスデザ、表情、曲線美、背景、彩色、と、申し分ないクオリティで、ぐっと物語の
世界へ引きこんでくれる、優良な映像表現でした。

ですが……途中で、彩色が極端に失速します。
明らかに、塗りのレベルが違う。

また、エロシーン以外の線画が荒く、こちらも特に個性のない、単調なアニメ塗りと
なってしまっています。
エロがメイン。されど、エロ以外も楽しい。そういう作品を目指していたのではない
かと、そう思わせる痕跡がある作品だけに、生半な手抜き感は幻滅モノ。

また、エロシーンのアクメを、バストアップサイズの同一CGで使い回ししているので
すが、これはちょっと失敗気味。
大胆な体位やアングルなどに気を配られたCGを鑑賞しつつ、昇天したいと思っても、
「また、この顔か」
と、思われてしまえば、せっかくの演出も逆効果です。


*シナリオ・・・
群雄割拠時代の幕開け。
持ち主に栄耀栄華をもたらす『緋天の巻物』と呼ばれる巻物を、大津塚の城から持ち
出した者が居た。
仕えた主君に仇をなし、その首を取って、城から遁走するその男の名は、堀紋十郎。
巻物を狙う者達に追われつつも、そのマジカルチンポで返り討ちにしていく、性欲過
多なハゲザムライの物語である。

というわけで、追手はおなごで、一発やったらマジカルチンポに惚れ込んで、チンポ
奴隷化してしまうという、単純明快なハーレム展開。
しかし、腑抜けた三枚目キャラの主人公像で、おなご側の嫉妬や愛憎渦巻くバチバチ
もあって、終始、コミカルな展開のストーリー。
その中に、カットインで差し込まれる、謎の声が、どうやら一筋縄ではいかない展開
を予想させ、ラストの展開に期待しつつ楽しくプレイ出来ました。

で、まあ、とあるオチは意外性あったものの、割りと荒唐無稽で、人によっては、
「なんじゃこりゃ」
な感想を抱くかもしれません。
ある種、打ち切りエンド的なんです。
他のエンドも、全般的に“取ってつけた感”があって惜しく、また、説明不足で何が
なんだか判らない部分も多かった。

んー、まあ、少ないとはいえないものの、抜きゲーとしては標準的なエロのボリュー
ムだっただけに、もうちょっとシナリオのオチは、丁寧に描写できる余白があったん
じゃないかとも思えるのが残念。


エロについては、オーソドックスなものが多いものの、尺は長めで、じっくりネット
リなエロが多く、特に各ヒロインの初夜シーンは力が入っています。
また、シズネ+小十郎太の3Pが多めになっています。
巨乳尼僧と、ロリババアのエロは少なめとなっており、特にロリババアに関しては、
OHPのキャラ紹介でも、一人だけやたらと解像度が低いという辺りで、お察し。


*音楽/声優・・・
声優では、某サトウユキに似た声の人が大活躍。
「おっほぉおおおおおおおおっ!!」は、やや控えめながら、『くのいちまんこ』と
かいう、またもや意味不明なおまんこネームを展開する辺り、改名しても、もう卑語
で笑いを取りに行くのがこの声優の宿命なのか、などと微笑ましくなります。
また、まだ同人が主戦場な声優さんですが、椎那天のボクっ娘は、なかなかハマって
います。
エロ演技は、際立っているとはいえなかったものの、アルマ役のかぷちぃのという声
優さんの声質は、よく耳に残ります。
声質的には、鈴木真仁に似てるなぁ、と。

そして、まあ、このタイプのゲームで、また、ちょっと胡散臭さすら感じる新規ブラ
ンドで、こういった心躍る音楽に出会えるというのも、不思議なものです。
作品の舞台上、和楽器音色を交えた曲が中心かと思いきや、スインギングなジャズナ
ンバーなどもさらりと盛り込んできたりと、なかなか小憎らしい楽曲群。
でもって、やはり、ここぞという時の三味線ロック『帰れぬ旅路』の、ハードながら
も哀愁感じるバトル曲が、実に良い感じです。

むにょっ(MUNYOT SOUNDS)って、まだあまり聴き馴染みのないのですが、『美少女万
華鏡』のサウンドにも一枚噛んでるんですね。
これは、今後、要チェックです。



全体的に、製作サイドの体力が尽きた、と言った風にも受け取れる、失速を感じてし
まう作品でしたが、同じメンバーでの次回作があれば買ってみたいと思えるポテンシ
ャルはある作品だったように思えます。

ただ、販売元とか、作りこみの甘さとか、総合的に見て、どうにも、次回作を期待で
きそうな気配が薄いブランドなんですがねぇ。