絵14+文16+音13+他12 とりあえず、なんか絵や音があった方がお得でしょ? ラストの言霊がダジャレにしか見えない
(※ロープライス・同人を対象に、他の項目は、最低点をベースアップしています)
ビジュアルアーツが送るキネティックノベル。
そもそも、キネティックノベルってなんじゃいという方もおられるでしょうが、あた
しもよく判ってません。
一本道のエロゲ/ギャルゲと言えるのかもしれませんし、小説とゲームのミクスチャ
ーとも言えるのかもしれないです。
ただ、萌えを感じてしまう絵師を使っていたりした時点で、エロゲでいいじゃねーか
と思ってしまいます。
また、何気に伝奇モノとかファンタジーといった、限られたジャンルの作品しか発表
されていないという、ジャンルの狭さも、キネティックノベルの弱みだと思います。
と言ってしまうと、ビジュアルアーツがキネティックノベルを押している時点で、自
分達で間口を狭めてしまっているのが、一番の問題なんじゃ……という気もします。
また、“読み手のペースで読める”というのが、一つの売りとされていますが、それ
こそ、紙媒体の方が自分のペースで読めます。
本作品にも見受けられるのですが、アクションシーンなど、チープな演出をちょっと
足した程度では、却って意識が散漫になる場合だってあります。
キネティックノベルってのが、どうにも普及しない背景には、そういった、
「なぜ、エロゲ/ギャルゲじゃいけないのか」
「なぜ、ラノベじゃいけないのか」
といった部分に対する、切り込みが足りていないんじゃないかと思ってしまいます。
というか、あえてキネティックノベルという形式に拘る理由が、あたしにはよく判り
ません。
と、枕が長くなりました。
*映像面・・・
絵は結構エロいので、なんでこれがエロゲーじゃないの! と思う方も多いはず。
そして、なんか男性キャラの描き方が、80年代の美少年的で、ちょっと背中が痒か
った。
キネティックノベルとして、小説にプラス・アルファする要素として見た場合、立絵
は、キャラクター性を補助的に説明する効果は、ある程度、認められるのだけど、枕
でも書いた通り、アクション演出のチープさが際立ってしまっています。
元々、文章による表現は、アクション的な描写(動の表現)を得意としないのでしょ
うけれど、そこを補完するのは“読み手の想像力”であって、その想像を掻き立てる
ために、色々と仕込みをするのが文章による動的な表現の旨みだと思うのです。
にも関わらず、生半可な映像演出があることで、読み手の想像を阻害して、物語への
没入を断絶しまっている事を見ると、
「絵や音があった方が総合的に優れている!」
といった、キネティックノベルの謳い文句も、
「とりあえず、なんか絵や音があった方がお得でしょ?」
くらいの、安っぽさまで引き下げられてしまいますよ。
*音楽/声優・・・
音楽も絵と同様です。
ただ、音楽の使い方に関して言えば、それこそエロゲと大差ないはずなので、それこ
そビジュアルアーツがこれまで培ってきたノウハウというものがあるでしょうに、そ
ういった上手さが感じられないというか、通り一辺倒な音楽だったなーという印象が
強かったりします。
声優さんは、うーん。下手な人はいませんが、うーん。
うーん以外に評することが見つからないとは、うーん。
*シナリオ・・・
ジュブナイルっぽいチープさと、R15という半端な恋愛表現が、すごくバランス悪
く取り入れられています。
短編小説として、例えば同一テーマで編纂されたアンソロジーの一片としてみれば、
まだ面白かったかもしれませんが。
また、絵の項でも述べた通り、下手に絵をつけてしまったことで終盤のシーンが酷く
拙くなってしまったように感じられ、この辺り、ゲーム制作に慣れていない小説家の
書く文章と、スクリプトや映像演出を含めた部分とで、コンセンサスが取れていたの
か、疑問を抱いてしまいます。
キネティックノベルを謳うのですから、シナリオに求められる期待は、エロゲ以上の
はずなのですが、なんというか、
「だから、どうした?」
という、一番、虚しい読後感に苛まれるとは思いませんでした。
と、これ以上、あまり描くことが思い浮かばないので、この辺りで。
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