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えびさんのらぶらぼ ~調教なんて興味のなかった俺と彼女の放課後SMラボラトリー~の長文感想

ユーザー
えび
ゲーム
らぶらぼ ~調教なんて興味のなかった俺と彼女の放課後SMラボラトリー~
ブランド
bolero
得点
84
参照数
1993

一言コメント

絵23+文17+音22+他22 パラメータ式調教のゲーム性は、ほぼ壊滅的で、「コレSMジャナイ」感も際立つのだが、圧倒的な実用性の高さは白系抜きゲーでは今期有数の作品。バグや粗なども多く、とりあえず修正パッチ適用は必須。ストーンヘッズブランドで出せてたら、もっと話題になったろうになぁ。まきいづみとかわしまりのという、何処で区切ったら良いか良く判らないコンビもサブで活躍しています。

長文感想

私は、元々、こういう白系のバカノリなエロゲーが好きで、こういうのこそが、エロ
ゲーの一つの理想形だと思っています。
バカなノリに、ほんのちょっとだけ仕込まれた、グダグダなシリアスや、甘々なラブ
イチャも素直に楽しめて、そして何より抜ける。

すばらしいエロゲーです。


映像面・・・
本庄マサトという原画さん。
かなり良い原画家さんです。

メイン 小日向ひなた 35枚
メイン 比良坂ユウリ 36枚
メイン 出水かなめ 32枚
サブ 榛名 いぶき 8枚
サブ 久賀 まこと 8枚
その他 5枚(エロ1枚)

メインサブとも、エロ以外のCGは、それぞれ1、2枚。
100枚を越えるエロCGは、ほぼ捨てなしの安定したクオリティ。
そして、それぞれに最大で36枚の差分カットがあります。
こういった白系にしては珍しく、勃起乳首表現なども一部で採用されているなど、視
覚的にもプレイヤーを満足させる要素は多くなっています。

彩色は全体的に淡白で、最近の流行といった感じです。


シナリオ・・・
いやー、ヒロインが可愛い。

日常パートで可愛さを見せておいて、そのヒロインとエッチをするから興奮する?

ええ、そうでしょう。

でも、それじゃ在り来りでしょ?

エロシーンでのやり取りが微笑ましくって、恥ずかしがって照れたり怒ってみせたり
するヒロインが可愛くって、合間合間に挿し込まれる日常シーンでの、王道萌えキャ
ラっぷりが、次のエッチシーンでのヒロインへの好感度を底上げするという、エロ可
愛く描くことだけに注力した潔さに、本気を感じます。


さて、ゲーム性の部分についてですが、伝統的なパラメータ式調教ゲーとなっていま
す。
複数の調教コマンドから選択して、その調教の内容によって各パラメータが上昇して
いきます。
この際、基本的にパラメータの下降は発生せず、例えば、まだ調教が進んでいない段
階でややハードと思えるコマンドを実行しても、好感度が下がるというようなことは
ありません。
ただ、ハードな調教コマンドは、ヒロイン側のパラメータが上昇しないと選択できな
くなっています。
基本的なコマンド(例えば「胸を弄る」など)の場合も、調教が進行してヒロイン側
が淫乱になっていくに従って、差分や追加CGがあり、もちろんテキストやセリフも
エッチにエスカレートしていくようになっています。

そして、こういったゲームの定番通り、調教コマンドを実行すると、ヒロインと主人
公は体力を消費し、翌日には、この体力が最大100の体力が50ずつ回復します。
調教の中で体力がゼロになると、意識を失ってしまい、ヒロイン側の場合は信頼パラ
メータが下降します。
主人公側の場合は、疲れてしまって翌日の調教が出来なくなります。

信頼のパラメータは、ヒロイン攻略の為のパラメータでもあり、ヒロイン別のイベン
トの発生条件にもなっています。

と、まあ、このようにシンプルなシステムの為、単純にヒロインを攻略したいと思え
ば、そのヒロインを追いかけて、パラメータをどんどん上げていけばよいので、実に
簡単。


ちょっとお馬鹿なヒロイン達と、少しマニアックなエッチを堪能できるというコンセ
プト通りで、ビギナーにも優しい仕様になっています。
また、段階的にヒロインがエロスに開眼していく変化も感じられる作りになっている
ので、ビギナーならずとも楽しめる内容になっています。
ただ、ハードなエロはあまり期待できませんので、副題の通り、SM=少しマニアッ
クであることは事前に理解しておく必要はあろうかと思います。


音楽/声優・・・
音楽はまずまず。
その中でも、OPテーマが良く、個人的に当たり外れの多い民安★ROCKでも、今回は
当たり。
スカやファンクのテイストを感じさせるポップサウンドに、民安ともえの変に着飾ら
ない素直なボーカルがテンポよく乗っかって、サビではお得意なハイトーンの合いの
手が入る、民安★ROCKらしい一曲。

ED曲は2曲あり、どちらもオリヒメヨゾラ歌唱曲。
特にメインヒロイン用EDの「4.7cmの約束」は、

 「菅野よう子+坂本真綾は至高!」

という方には心からお勧めしたい、かつての渋谷系やらネオアコ系やらといったサウ
ンドを、もうちょっとダイナミックに膨らませた感じの力強さもある良曲。
作曲は、柳英一郎氏で民安★ROCKのキーボード。
minoriでは『ef』の音楽に、天門氏と共に関わっているなど、ネームバリュー的にも
信頼の置けるクリエーターさん。
口述的歌唱の為、メロディと歌詞のリズムが微妙にズレた違和感めいた印象と、キー
ボード主体でストリングスアレンジを含めているところから、CLOCK MUSICのサウン
ドにも似ており、オススメです。(曲名もなんかそれっぽいですね)


声優がかなりよく、サブではまきいづみとかわしまりのという、“と”で繋ぐと、ナ
ニがナニやら判らなくなる、オール平仮名コンビで安心のキャスティング。
メイン3名も好演です。
雪都さお梨によく似た声の、舞浜美月の甘くてアホっ子な演技が大変素晴らしく、特
に後半の逝きまくりゾーンに到達した頃は、そのとろとろなとろけ具合が実に見事で
した。
加乃みるくはツンデレ担当で、判りやすい金髪ツインテキャラでアホな子を演じてお
られ、こちらはエロシーンはもちろんの事、攻略中のエピソードで見せる子供っぽさ
の演技が実に可愛かった。
海原エレナの姉妹である伊東サラは、相変わらずですが、流石に無表情キャラはお手
の物といった感じで、しかし、艶っぽくなり過ぎないよう序盤は抑え目、後半はお得
意のハイトーンで鼻に掛かった喘ぎ声全開です。



さて、シナリオ監修の三ツ矢新氏といえば、丸谷秀人要するストーンヘッズの方。
神堂劾氏も、CODEPINK作品でテキストを書いておられまして、この作品で、三ツ矢新
氏をディレクターとして新規立ち上げ(立ち上げ自体は1年ほど前でしょうか)した
のがこのブランドのようです。
何気に、ストーンヘッズのスタッフブログに、今回の原画の本庄マサト氏らしき年賀
絵があったということも、あるブログ記事で発見しました。
うーん、ストーンヘッズのネームバリューをあえて出さないところに、大人の事情を
感じたりもするのですが、その分、発売前PRが弱かったかなーとも思えます。
ぽっと出の新規ブランドというわけではない、しっかりとしたコンセプトを持った作
品ですので、もうちょっと認知度が高まってもいいんじゃないかと思ってしまう作品
でした。