絵13+文18+音17+他09 三部作の2本目。前作に引き続き、変化球が多い。しかし、前作より『抑え』が効いていない分、高めに上ずっている。前作同様、『悪球』を自分のミートポイントにできる方のみプレイ可能かと。
映像面・・・
まあ、前作に比べれば、画力が上がってる。といいつつも、実は、背景画の出来が良
く、そちらの分の評価を除けば、悲しい点数しかつけられないのですが。
好きか嫌いかで言われれば、嫌いかもしれない。しかし、このヒロインたちが、妙に
可愛らしく感じる瞬間があり、すると、自分の感性の指針はブレていないのかと、勘
ぐってしまったりもしました。(うーん、しかし、なぜか嫌いになりきれない魅力が
あるんだなぁ……)
このいかにもロリ向け成人コミック的な絵は、商業向けエロゲというカテゴリにおい
ては、今や絶滅の憂き目に瀕しているのではないでしょうか。昨今のロリ絵は、綺麗
過ぎる――まるで、ロリ嗜好に対して、きっぱりと開き直ってしまったかのよう。
ある種、忸怩たる嗜好ながら、それを声高に叫んでいる様は、ある面では潔く、また
ある面では「おいおい」と突っ込みたくなる。それが、今の『ロリゲー』に対する、
包み隠すところのない、自分のスタンスです。(別に、ロリが嫌いなんじゃないです
よ。むしろ、最近ハマってる)
この人の絵柄からは、悶々とした、忸怩たる劣情(笑)が滲み出ており、今時の『ロ
リゲー』の定義からは外れているかもしれないですが、元来の『ロリ絵』とは、こう
いう路線だったなぁと思って、懐かしんだりもするのでした。(あぁー、90年代の
『ロリゲー』って、プレイするのは、流石に抵抗あったもんなぁ)
シナリオ・・・
楽しめたか、楽しめなかったかと言われれば、それなりに楽しめた。しかし、満足感
はなく、ひどく中途半端な印象が残る。
サブヒロインのシナリオは、メイン5名のシナリオから派生するおまけ的なもの。大
まかに5本のルートからなる本作に対し、プレイ順に雑感を少々。
<香澄>(付随するサブヒロイン なし……妙子?)
メインの中のメイン。ドタバタなシナリオは、前作同様、エンターテイメント性を重
視し、ただ直感的に楽しむよう作られているように感じる。ところが、一般人に理解
不能なネタがほとんどで、娯楽とはかけ離れた題材を扱っている。その辺りのギャッ
プがこのシリーズの面白さであり、同時に弱点でもあるのでしょうが。
<みさき>(付随するサブヒロイン 美奈子)
一見、ベタなヒロインである。しかし、このシナリオはとんでもない内容だった。
アイデアの突飛さで言えば、他のシナリオを凌駕するが、決して褒められた類のシナ
リオではない。これをするなら、もっと美奈子にクローズアップし、神楽崎一族サイ
ドを描くことを怠ってはいけなかった。シリーズ物としての旨みと、単体作品として
の旨みの、扱い方を間違えたシナリオだった。
<美亜>(付随するサブヒロイン 麻耶・雲英)
美亜シナリオは、インパクトに欠けるものの、閉め方が潔く、最も印象が良い。なぜ
このシナリオの印象が良いのかを、付け加えるならば、前作のキャラの扱い方が、ほ
どほどであるからかもしれない。
三部作として、緋美子をはじめとする神楽崎一族の扱い方には、もっと注意すべきだ
ったのではないかと感じる。出張ってくるならもっとガンガンとシナリオに絡ませた
方が面白かったように思う。
<リンディス>(付随するサブヒロイン 優子)
一方、リンディスのシナリオもそれなりに印象がいい。こちらは、神楽崎一族をほと
んど交えず、主人公・望のバックボーンとしてのみ扱っている。こういうシナリオも
また、シリーズ物の醍醐味には反するものの、『あり』ではないでしょうか。ただ、
題材や展開があまりにもベタなので、このブランドがやる必然性は感じられません。
<紗夜子>(付随するサブヒロイン なし……美沙?)
素敵なお話でした。ただ、漠然とした印象しか残らず、消化不良。
魅力的なヒロインであるし、折口というキャラもまた、良いキャラであります。しか
し、どうにも味付けが薄味で、淡白すぎる。もっと濃い目の味付けで、ドタバタや毒
を盛り込んでも面白かったかもしれない。或いは、あえて薄味で勝負するならば、キ
ャラ描写に裂くテキスト量をもっと増やすべきだと思う。
しかし、美沙というオールマイティーキャラを用意し、非攻略にする辺り、この作品
の方針が不明瞭だと感じてしまう。いや、このキャラは化けると思った。シリアスも
コメディもバトルもすんなりとこなしてしまう、良いキャラなのにもったいない。
<総じて>
色んなことをやろうという意欲は買うが、実際、色んなことをやりすぎて、収束出来
なかったように感じる。更に、その一つ一つに対し、微妙にコントロールが狂ってい
るのが見て取れるため、どうにも的を射ない。
大きな暴投はないものの、玉数を投げ過ぎて、6回でリリーフを受ける技巧派ピッチ
ャーのような作風は、このシリーズの特徴かもしれない。(←人によっては、見てい
てイライラするだろうなぁ)
音楽/声優・・・
前作からの『使いまわし』もあるものの、『質感のよいチープさ』が魅力的なBGM
でした。日常パートでのチープさに反し、幅広い音楽性――センチメンタルにトラッ
ド、あるいはメタルの要素まで――を垣間見せ、シーンごとのチョイスも憎い、良質
なBGM。ですが、時折、なんでここでその曲を選ぶの? という違和感を感じるシ
ーンもちらほらと見受けられ、曲調の振り幅が広いという、美点のせいで、その違和
感が浮き立つ結果になっています。
非公開な声優人。しかし、「ロリな声優の名前を挙げてください。」と言われれば、
すぐに該当する声優の名前が出てきそうなキャスティング。パートボイスであり、声
を当てるべきポイントが、妙にずれている印象があるので、評価は低めとなっていま
す。