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えびさんのベルダーシュ ~僕と私の逃避行~の長文感想

ユーザー
えび
ゲーム
ベルダーシュ ~僕と私の逃避行~
ブランド
男の娘ソフト
得点
75
参照数
486

一言コメント

絵24+文14+音20+他17 『理想と現実』と言えば、明暗、黒白といった対比的な印象を受けます。ところが、『男の娘』にこの言葉を当て嵌めてみると、一擧両得、メシウマといった調和的な印象に変わるのです。

長文感想

(※ロープライス・同人を対象に、他の項目は、最低点をベースアップしています)

映像面・・・
しまじ氏の原画・彩色による映像面ですが、プリズムカラーのような奔放な彩色。
個人的に、かなり魅力的だと思います。
こういう独特な彩色は、チームでの実現は難しいでしょうから、どうしても同人か廉
価作品の独壇場となるわけですが、このクオリティの彩色をフルプライスでやったと
したらと考えると……そういったエロゲが出てくると面白いですね。

シナリオ・・・
このカップルは、男の娘×男の娘です。まず、そこは弁えてからプレイしましょう。
終盤がご都合、というか消化不良だと感じます。
ですが、そんなのよりも二人の男の娘のイチャラブな日常風景を描くことこそが、こ
の作品の目指したところであり、魅力的な部分なのでしょう。
どちらの男の娘も、大変可愛く、魅力的でした。

音楽/声優・・・
音楽の曲数は少ないですが、少なさを感じさせないよう曲調と曲調の差にゆとりを持
たせ、作品全体のプロポーションを見据えた構成になっています。
ブランドロゴなどからも感じ取れるのですが、どことなく80年代の少女漫画的な雰囲
気があります。
「#3 僕と私の大冒険!」では、80年代にフィットさせたかのようなドラムのリバー
ブが印象的ですし、「#6 現実の迷宮」などはサスペリア調のシンセとピアノが創り
出す雰囲気が、モダンクラシカルなメロドラマを連想させます。
テーマ曲「#1 ホワイト・レヴァリエ」のボーカルには、もう少し安定感を求めたい
ですが、その声質と曲調とのマッチングは文句なくバッチリです。

声優は両名とも、拙く感じる部分もあり、特にエッチシーンでの棒読み感はマイナス
な要素です。
しかし『男の娘』という、ある種の『演技者』であるキャラクター性と、やや拙いく
らいの揺らぎのある演技というのは、奇妙な調和を感じさせるものでもあった事が、
面白い収穫でした。


結構、好きな作品です。
この作品『ベルダーシュ』を製作したのは、男の娘ソフトという直球なネーミングが
勢いすら感じさせる同人サークルです。
作品作りのセンスの良さもさることながら、ユーザー側に妄想を膨らませる余裕を持
たせた、「語り過ぎないスタイル」が好印象です。
下記、リンクで製作者のインタビューにもある通り、
  “ユーザーの目を意識し、多くの人に楽しんでもらえる作品”
に仕上がっていると思います。

   萌エリア88ブログ別ver 様
    http://blog.surpara.com/moarea88/archive/2011/01/83760.html

根っからの『男の娘』好きでない人でも、興味があればプレイしてみても良い作品だ
と思います。
1,365円という価格設定も、試しにプレイしてみるには、程々な価格だと思います。


さて、ゲームに関しての感想はここまでです。
以下は、ゲームに関係ないので、興味があればどうぞ。


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男性視点で見る『男の娘』の魅力について。

【男の娘の流行】
メイド喫茶や専門雑誌、オンリー即売会など、ここ2~3年に見る『男の娘』熱はブ
ームといって差し支えない程度には盛り上がっているようです。
しかし、これはいつもの事にも思えまして、何かしら流行すると脊髄反射的に持て囃
されるのは、どうもメディアの悪影響とも思えなくもないのです。
こういう時、毎度思うのは、
  「ネイティブなファン層は、そんな状況をどう受け止めているの?」
なわけです。
後追いに対する敵愾心みたいなのを感じないのかな? と。
もちろん、需要サイドの盛り上がりは、確実に供給サイドにも影響するわけで、恩恵
も大きいので否定派ばかりとは思えません。むしろ自分がネイティブである事を根拠
とした、顕示欲やら布教活動に結びつき、外野からすれば、なおさら厄介なモンスタ
ーに成長してしまうケースもあるのでしょうね。

と、無関係な話でお茶を濁してしまいましたが、ブームが起きるということは、何か
しら魅力的な事だということで、しかも個人的な好き嫌い以上に、集団が共通して認
識出来る魅力があるということなのかと思います。

【男の娘の魅力】
じゃあ、男の娘って、どんな魅力があるのでしょう?

ひらひらな服を着て、ウィッグで髪を伸ばして、メーキャップでメタモルフォーゼし
ちゃった男の子が発する『可愛さ』は、同じような姿をした女の子から感じる『可愛
さ』と、大した違いは無いわけです。
では、精神的なものでしょうか?
女の子じゃない事へのコンプレックスが、よりお姫様願望を加速させるのかもしれま
せん。
また、男の娘は男性としての視点も持っている(持っていた)訳で、より男性が好む
女の子像というモノを理解しているのかもしれません。
そんな男の娘を描写しようとすれば、女の子以上に女の子らしい存在として描かれる
というのは、合理的でもあり、必然的でもあるのかと感じます。

まあ、なんだかんだと、このような妄想を膨らませることが、
  『正しい、男の娘の楽しみ方』
なのではないか……と、ノンケのエロゲーマー(♂)からすれば思えるのです。

【なら、妄想全開でいこう!】
“男は脳で考える。女は子宮で考える。”という言葉があります。
男は想像する(脳で考える)ことを本能として実行して、得られた結果に満足を覚え
るだけでなく、その『想像する過程』を愉しみます。

“昼は淑女で、夜は娼婦”という男性の願望を表した言葉があります。
これは実現性の低い、虚構の理想です。
ですが、それを想像する時、男性はニヤリと愉悦の笑みを浮かべながら、ハッピーな
空想ジャーニーへ飛び立てるのです。

男性にとって、妄想と想像は、本能的に同義なのではないでしょうか。


■想像してみてください。

  目の前に、可愛い少女が二人います。
  一人は、バラの装飾をあしらった黒いドレスを纏った、可愛い『女の子』です。
  一人は、リボンとレースでふりふりなドレスを纏った、可愛い『男の娘』です。
  どちらの可愛さも“理想的”で甲乙付けがたく、もう両方、いっぺんに頂いちゃ
  いたいキモチで一杯なあなた。

■では、改めて想像してみてください。

  彼女(彼)の下半身の中身を。

さて、どちらに“リアリティ”があったでしょうか?

あなたが男性エロゲーマーなら、『男の娘』の中身から感じられるのは、リアリティ
ではないでしょうか?
同じ鮮明さで、『女の子』の中身を想像できるでしょうか?
妄想とは仮想のものですが、リアルを拠り所にする妄想は強烈に鮮明で刺激的です。

  それは『イマジネーション』という一種の『快感』です。


■では、改めて『妄想』してみてください。

  彼女(彼)の下半身の中身を。

強烈に、鮮明に、刺激的に、あなたのイマジネーションをくすぐったのは……

  どちらの『少女』でしたか?

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【ヒロインタグ】
/ #男の娘 /