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えびさんのりぼる・さもなー Revolving Summonerの長文感想

ユーザー
えび
ゲーム
りぼる・さもなー Revolving Summoner
ブランド
M de Pink
得点
82
参照数
1459

一言コメント

絵21+文17+音18+他26 せっかく可愛いキャラ達なので、もっと、個別ルートを充実させて欲しい。とはいえ、久々に、エッチシーンをしっかりと楽しめた。

長文感想

映像面・・・
まず可愛らしい原画が目を引く作品です。
エロティックだけど、主体はやはりポップ&キュート。
過去、今ひとつ作品に恵まれなかった雛咲ですが、エロスを主軸にしたM no Violet
から、ポップなエロを主軸にしたM de PINKでの作品ということで、本来、雛咲の絵
の持っているポテンシャルを、上手く引き出すことが出来たのではないでしょうか。

エフェクト面も気合が入っていますが、もう一工夫してもらいたいというのは、正直
な感想。
ワイド対応を含め、画面のあらゆる場面で、ユーザー側が任意で画面をズームさせた
りグリップしてスクロールできるなど、親切な機能があるのですが、それが出来るシ
ステムであるなら、それをスクリプトに盛り込むことも出来るのではないかと想像し
ます。
ですから、拡縮による奥行き表現など、ちょっとした演出を施す事で、ゲーム演出全
体が、かなり印象が変わったのではないかと思います。

さて、圧巻なのはCGのボリューム。
総枚数95枚と聞けば、それほど多く無いと感じるでしょうが、差分を含めますと、
なんと703枚!
ガレットの体のパーツの召喚順により、一つの体位でも30パターンの差分があるな
ど、面白いアイデアと引き換えに、かなりの労力を要したことでしょう。


シナリオ・・・
ミンクさんお得意の、パラメータ式ADV。
ゲームの内容としては、お城の魔法兵採用試験に落ちた主人公が、追試に合格するよ
う奮闘する、といった感じ。
追試の合格条件は、
・不完全召喚(首だけ)されたガレットの召喚を完了させること。
・幼馴染のオランジェットと試合をして、オランジェットに勝つこと。
・期限は一ヶ月。
という感じです。
で、魔力を高めるには、エッチするのが一番だと、そういう設定の世界です。
となれば、主人公とガレットがエッチをするのは必然となり……というストーリー。

さて、ゲームパートとしては、パラメータとにらめっこしながらの行動選択式ADV
という事になるかと思います。
魔力をとるか、腕力をとるか、シンプルながらちょっと悩む。こういうゲームバラン
スは、流石、老舗のミンクさんですね。
攻略見ずにやれば、大抵の人は、一周目、GameOverになってしまうでしょう。
とは言え、一度、コツを掴むと、途端に作業ゲーになってしまうのも、この手のゲー
ムの宿命でしょうね。
また、フルコンプを目指すと、どうしても周回プレイが必要なのですが、シナリオが
一本道である為、2周目以降は作業感が強くなって、楽しみは激減してしまいます。

エロゲー慣れ(特にシナリオに重きを置いて)してくると、エッチシーンをスキップ
してでも、サクサク進めちゃうという、ある種の愚行に走ってしまいます。
でも、まあ、読む価値の低いシーンならスキップされてもしょうがないのかもしれま
せん。
私も、最近、ちょっとそういう傾向があって、各ヒロイン、最初のHだけ読んだら、
2回目、3回目には、とたんに興味がなくなるということが多々あるわけです。

日常会話で、そのキャラの萌え要素を上手く表現するライターって、結構、多いです
が、エッチになると途端に平滑化されてしまって、“ツンデレさん”だろうが“天然
さん”だろうが、ありふれた表現しか出来ないライターも多いわけです。
ところが、このLa.というライター、キャラ毎の萌え要素を、エッチ中でもきちんと
活かしているように感じます。

エッチの時の女の子側の描写が上手い。と言っても、まあ、それがリアルなのかどう
かは、女の子になってみないと分からない話なので、このライターのテキストが優れ
ているのかどうか……、そういった客観的な評価をすることは、私には出来ません。
ですが、心理的な描写、あるいはそれに起因する言動に、いちいち萌えさせられるん
ですよ。
そう、リアルである事じゃなく、いかに可愛らしくヒロインを描くかってことに関し
てなら、我々、エロゲーマーはきちんとそこに注視出来るし、その良し悪しを見定め
る心眼を、日常的に訓練されているわけです。

シナリオ展開自体は、まあ、そんな感動物語だとか、腹を抱えて笑えるだとか、特別
に秀でたものは感じない、むしろ、ちょっとダメなゲームになってしまうかもしれま
せんが……

不完全召喚により、首だけだったり、ブーツの合体を邪魔されたウッソ君状態だった
り、まあ、あり得ない姿のガレットですが。それを活かした、日常描写やコメディ、
またはあり得ないエッチシチュ。
その素直になれない不器用さが魅力的な、ツンデレ幼馴染オランジェット。
お色気たっぷりな槍の名手サバランさんは、その褐色肌と凶暴なオパイの魅力も手伝
って、かっこいい姉御肌なオネーサマ。
お姫様キャラのシフォンは、王女様らしさの中に、ちょっとした毒っ毛や子供っぽさ
をチラ見せしてきて、プレイヤーを虜にします。
正直、ダメキャラだと思っていたダージリンなんかは、あるエッチシーンでの描写を
しっかり読むと、かなり印象が違って見えるはず。
ギャップ萌えのロンジンちゃんも、とっても可愛いのです。

いやー、たまにこういう、抜きゲーと萌えゲーが上手く融合したゲームが出てくるか
ら、この手の安直そうなエロゲーは、時として侮れないんだなー、と実感した作品で
した。


音楽/声優・・・
音楽は最低限、可もなく不可もなく、といった感じで、無難なところ……ではあるも
のの、このゲームの内容にして、そんな大それた音楽など必要もあるはずなく、そう
いった意味では、作品の身の丈に合った良い音楽だったと言えるのかもしれません。
ただ、こういうゲームでもテーマ曲くらいは名曲であっても良いわけです。
そういう所に今ひとつといのも、ミンクらしさと言えばらしさなのかも。

声優陣ですが、メインヒロインが、桜城ちか(オランジェット役)、唯香(ガレット
役)という、いま一つ知名度が高くない声優さんであり、少々、心配の種だったので
すが、蓋を開けてみれば、概ね杞憂だったようです。
確かに、両名より経験値も人気もある水純なな歩(シフォン役)と比較すると、やは
り、演技に安定感がないようにも感じます。
ただ、まあ、手垢が付いていないというか、変に固定イメージが無い分、その安定感
の無さもヒロインの個性という風に脳内置換しやすくもあったのかと。


細かな加点項目が多くなった為、やや、高評価に過ぎるかとも思いますが、私的には
この手のライトな和姦抜きゲーとしては、久々に結構楽しめた作品でした。