絵20+文16+音19+他03 どーも人気が無いですね、このゲーム。じゃあ、夜子は頂いていきますよ。
映像面・・・
原画は、雛祭桃子。
案外、裸体の造形はキレイ。逆に、コスの皺の描き方が独特というか、なんでそーな
るの? って思うこともあったり。
なんとなく、この方の絵は、どんどん劣化しているように思っていたのですが、どう
も錯覚だったようです。
崩れというか、クセなんでしょうね。
造形的に優れているとか、パッと見の印象が良いだとか、そういう遠目からのインパ
クトがあるタイプの原画家さんじゃないんだなーと。
独自性と言ってしまうほど強い印象はないものの、確かに魅力は感じられるCGでし
た。
やや彩色が淡色で、魔法少女や魔女っ娘が出てくるようなドタバタものとすれば、ポ
ップさが足りないとも感じますが。
拡縮効果ありの1枚絵や、奥行き表現のある立ち絵など、演出面でも若干ですが、プ
ラス要素もありました。
シナリオ・・・
正直、序盤~中盤はとても退屈でした。
もう「これでもかっ!」と言わんばかりのドタバタもので、そのくせコメディ要素が
おざなりで、初エッチに至る過程も強引というか短絡的というか、都合が良すぎるの
ですね。
『イタズラしても怒られないようにしてもらう』という、基本設定も、序盤で周囲に
タネ明かしをしてしまい、使いどころがなくなってしまってしまいます。
ある意味では素直で憎めない主人公ですが、その設定をプッシュしていた事前情報か
ら、ユーザが『イタズラ』に期待していたとしたら、なんて腑抜け主人公だろうと感
じてしまうと思うのです。
キャラ設定も今ひとつ活かしきれておらず、これは『ダメな尾之上シナリオ』の典型
だなーと思うこともしばしば、な訳です。
では、終盤で盛り返すことが出来たのかどうか、という部分が気になるところでしょ
う。
これは、人によって判断が割れると思います。
……『ダメ』と『かなりダメ』に二分されるでしょう。
『良い』と言われる余地は、かなり少ないです。
ただ、見るべき点が無いわけではなく、尾之上シナリオのいい時のパターンがよく現
れているのが、夜子シナリオ。
氏のシナリオの場合、主人公に過度な期待は出来ません。
尾之上氏の主人公ってのは、決してスーパーマンじゃないんです。
クサい台詞も吐きますけど、基本的にヘタレです。
けれど、それは等身大の少年が背伸びしている姿とも捉えられるわけです。
背伸びだから、上手く行動で示せないわけです。
けれど、そんな主人公よりも『生き方の下手』な女の子が居たらどうでしょう?
今回の夜子のように、病弱で入院生活が長く、世渡りベタだったり。
お嬢様育ちで、ちょっと傲慢で世間知らずだったり。
そういう、『生き方の下手』な女の子を可愛く描き、そういう女の子に等身大の少年
が真っ直ぐに気持ちを伝えていく様は、結構、微笑ましくて楽しいのです。
そして、そこにヒロインのツンデレというテンプレートを当て嵌めることで、メリハ
リのある面白いシナリオに成り得るというのが、『尾之上式ツンデレ』として、私が
好きな尾之上シナリオだったりするんですね。
最近では、
『ひだまりバスケット(eufonie)』の憧子シナリオ、繭シナリオ(ツンデレか?)
『77 ~And, two stars meet again~ (Whirlpool)』の凛シナリオ
などが良かったですが、やっぱり、
『思春期(RUNE)』のみあシナリオ
は格別に、そういう要素が魅力的でした。
この辺りのシナリオが好きな方なら、夜子シナリオだけは、楽しめることを保証しま
す。(まあ、そういう人ならラストのご都合は笑って許せるでしょうし)
音楽/声優・・・
テーマ曲は東タカゴー氏(from Peak A Soul+)。
ボーカルは橋本みゆき嬢ということで、結構、人気のある方。
ソツのないエロゲーらしいテーマ曲として、ポップ&キュートで、キラキラ多めの仕
上がり具合は、案外、好みの出来。
とはいえ、特別、すごいという部分も無いのですけど。
BGMは土谷知幸氏。
あまり意識して聴いたことはなかったのですが、既に何度か、他のゲーム等で拝聴さ
せていただいていた様です。
テクノ・エレクトロニカが得意分野と、自身で仰っているように、音色への拘りを感
じるBGMでした。
作品自体のノリがもっとコメディ色の強いものなら良かったのでしょうが、そう成り
切れていない為、コミカルなBGMなど、今ひとつゲームの雰囲気との一体感が無い
ように感じられてしまいました。
プリム役の芹園みやは、青葉りんごのピンチヒッターでした。
で、この方の声って、嫌いじゃないんですが、演技力って方面には疑問符が付くタイ
プの声優さんだと思っているわけです。
というか、この方の場合、変に狙ったキャラよりも正統派なキャラの演技の方がしっ
くりくるわけです。
今回は、わがままなちびっこ魔女というキャラクターでして、ビジュアル的にも青葉
りんごのハマリ役だったように感じられる為、余計に残念です。
そして、ヘタレっ子(?)への割り当てが、もうすっかり定着してしまった有栖川み
や美という、こちらも一癖も二癖もあるキャスティングに、プレイ当初は眩暈すら感
じるかもしれません。
その一方で、葡波夜子役の大花どんのヘタうまな演技には癒されました。
前々から、割と好きな声優さんだったのですが、『はぴとら(ブルームハンドル)』以
降、この方のツンデレにハマってます。
なんというか、好きな人にはドツボなんだろうけど、そうじゃない人には苦痛さえ感
じるんじゃないかっていう、個性の光るキャスティングです。