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うるぽんさんのロスト・エコーズの長文感想

ユーザー
うるぽん
ゲーム
ロスト・エコーズ
ブランド
petitlinge
得点
84
参照数
323

一言コメント

隊長!新手のアホの子を発見しました!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

史実を織り交ぜた過去改変ものということであるが
九州の戦国時代ということで
あまり扱わなさそうな題材故に
すぐに過去の状況を分かる人は少ないかもしれない。

自分も関ヶ原の戦いの時に
黒田官兵衛が九州で戦ってた事とか
島津、大友が有力大名として君臨していたぐらいまでしか知らなかった。
故に横で調べながら読み進めていく訳であるが
こういうの一回調べ始めると面白くて終わらないんですよね。
で、実際どこまでが実在していた人物かというと、、、

誾千代/結佳
→これは調べるとすぐに出てくる。
ただし史実では立花宗茂と結婚しており人妻。
ヒロインである立場上、結婚していてはマズいだろうから
そこは都合上改変したのだと思われる。
とはいえ子供はいなかったとのことなので
変えても歴史としては不具合は無いのかもしれない。

加弥/晶穂
→この人も実在。
立花直次の正室加禰。野外で出会ったとき「おかね、とお呼びください」と言っていたのはそういうことだろう。
岩屋城の戦いの時は既に結婚していたと思われる。

千羽耶/琥珀
→この人は実在しない。
何しろ実際は琥珀が過去へ飛んでしまって入れ替わっている。
恐らくは発掘の時に偶然に竜珠を見つけてしまったのだろう。

武緒/雛緒
→恐らく存在しない。

卯実/紅姫
→紅姫が実在の人物。ただ詳細不明。

安武方清、小野鎮矩も実在。

物語を理解するためには
岩屋城の戦いそのものだけでなく
岩屋城、立花山城、筑紫氏の支配地の場所を
頭に入れて置いた方が良いだろう。
そうでないと過去編でのやり取りは良く分からないことになる。
またすぐその後の秀吉による九州遠征についても
調べておきたい。
岩屋城の戦いが如何にターニングポイントになっていたかというのも重要である。
島津は優勢ではあるものの
大友側に秀吉の援軍が到着する前に
北九州を制圧しなくてはいけない。
大友、立花側としては岩屋城で時間稼ぎすれば勝機あり、となっている。
現代編でのノリではこんな知識要らないだろうと思っていたが
過去編でいきなり歴史ドラマ風になるのは想定外であった。

現代編ではどちらかというとキャラゲー風味が強い。
みんな雛緒先輩のインパクトにやられるに違いないが
決してそれだけではない。
主人公にアピールしまくるそれなり正統派っぽいヒロイン琥珀、
妹といいながら嫁成分も含まれる晶穂、
脳内妄想ムッツリの結佳などいずれもキャラが立っているのである。
そしてそれら各ヒロイン同士のある種痛快なノリの会話は本作の最大の売りじゃないだろうか。

またブランド名のとおり下着にこだわりがあるのも好印象。
それ以外にも裸の立ち絵シーンも結構あったり、
最近エロゲ界でめっきり少なくなったオナシーンもあったり
下着以外のこだわりにも注目したい。
温泉シーンが好き。
しかしそういえば琥珀、晶穂は
最後にえっちい写真撮影するシーンがあって
他のヒロインには無かったが
そこはこだわりだったのかそうでなかったのか・・・?

他の人も指摘しているとおり
立ち絵、CGの間違いなど不具合は多い。
特に個別√に入った後に顕著であることから
複数人ライターが執筆した部分を纏め損なったのではないかと。
そして修正が間に合わずブランドが力尽きそのまま発売に、、、?
過去改変絡みの後半で頻繁に設定の説明が挟まれるのも
そのせいではなかろうか。
実際にはそれらの横やり的な設定を把握するよりも
上記の歴史の流れを把握するほうが内容の理解の助けになるだろうが。

以下各ヒロイン感想など

・琥珀/千羽耶
下着です下着。本作では一見正統派ヒロイン。
変な押しの強さがかわいらしさでもある。
過去に飛んでいたとのことだが
別ヒロイン√での現代編でいなくなってはいないようだ。
千羽耶がいるということは
どこかで琥珀が過去に飛んで行方不明になるはずであるが、、、
この辺が本作の緩いところだろうか。
しかしよくよく振り返ってみると
琥珀/千羽耶のみ裸温泉シーンがなかったような、、、
現代編での温泉では裸見えなかったし。

・晶穂/加弥
実妹であると同時に兄をサポートしてくれる嫁のようでもある。
過去への出発を惜しんで
抱き合いながらお尻を触り、おっぱいも弄くってしまうところに
兄妹の結束が伺われる。
本作はこの実妹以外にも
過去編での妹誾千代、晶穂の前世である加弥もいるため
実質妹が三人もいるのだ。
さらに妹三人と温泉に入ってお喋りするシーンもあるという豪華さ。
これ以外の各ヒロインの温泉に入るシーンも必ずあるというのは
中々分かっているなと思う。

・雛緒/武緒
フリーダム残念お漏らし最強伝説巫女。ムフー。
確かに最初の登場時にアホと説明が出てくるが
清楚な容姿を前にそんなワードは脳内バイアスルーしてました。
そして卯実との邂逅時にアホの子が炸裂。
このインパクトは大きい。
KEYとかに出てくるちょっとアレな感じのヒロインとも
またベクトルが異なるタイプだ。
卯実をすぐに神様と見抜きながらも
看病してお漏らしという巫女なんだかそうで無いんだか良く分からない存在。
そして過去編の武緒はとてもまともで
逆ギャップ萌えを感じさせるという希有なヒロイン。
アホの子状態でのHシーンが無いのは良かったのか悪かったのか、、、?
→修正、ありましたね、、、なんで忘れてたんでしょう・・・?
あと神社で結佳の黒い穢れを排除するシーンはなんだったのでしょうか・・・?


・結佳/誾千代
ツンデレ風味幼なじみ。美乳。
結佳√が実質TRUE√みたいな扱い。
他のヒロインに比べると没個性なところがあるし
誾千代の血気盛んな性格が話をこじらせてる状況でもあるので
共通部分をプレイするだけだと
あまりヒロインっぽくないと感じるかもしれない。
後半は誾千代と行動を共にすることが多く
そこで挽回といった印象。
でも美乳。

・卯実
巨乳ヒロイン群の中で唯一のロリ。
この√はおまけシナリオっぽいような。
4人のヒロイン√と繋がりは無いっぽい。
敢えて言えば
四人のヒロイン√に入らなかった時の正月エンドの続きだろうか。
結佳√で消えてしまった卯実が救われる訳でもないというなんとも不憫な、、、
というわけで特に山場などない√ですが
せめて卯実様を愛でましょう。


本作は欠点も多いですが
ゲーム進行に不具合があるほどではないし
それを補ってキャラの個性、こだわりは
良いところ突いてると思うので
プレイしてみるのをお勧めします。
願わくは本作品のライターが別ブランドでも良いので
この方向性の作品をまた出してくれればと。