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うるぽんさんの黒と黒と黒の祭壇 〜蠱毒〜の長文感想

ユーザー
うるぽん
ゲーム
黒と黒と黒の祭壇 〜蠱毒〜
ブランド
C’s ware
得点
88
参照数
647

一言コメント

色々予想の裏をかかれたかも。そしてそこが面白かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

神に楯突く主人公、セフィロトと言ったキーワードと
ストーリーから見ると最初は
ウィザードリィ4とか思い出す。
力を失ったワードナが
各階の魔方陣に封じられた力を取り戻し
途中で自己の魂を解放していき
そして超難関迷宮コズミックキューブを突破し
地下奥深くのセフィロート状フロアの奥底で真実のカリスを手に入れ
遂にはまやかしの神カドルトを打ち倒し未知の世界へと
旅立っていく・・・・
他にも女神転生っぽいと見る向きもあるかと思います。

しかしチッセ編を終わってみると
シナリオライター朱門氏は
これらのゲームをプレイしたことある
或いはストーリーを知ってる人の
裏をかくストーリーとしてこのシナリオを書いたのではないかと
勘ぐってしまった。
やはり自分は途中まで
主人公は神に敵対する者で
最後は神を倒し
主人公が神として君臨する、
といったストーリーを予想していましたが
実際は
神はすでに破れた後であり
その神を復活させるのが
チッセの(仮)目的であった。(結局チッセ編では神を倒すけど)

そしてトゥルー編は最初の予想と180°逆とも言えるストーリー。
主人公は事の真相を知り
民衆や部下の支持、期待を裏切ってしまったことを、
他の者を犠牲にしてまでただひたすら前へのみ進む自分を
恥じて後悔する。
そしてチッセの陰謀を暴きユーディットを助けようとする展開へと様変わり。

チッセは最初の主人公と同様、
あらゆる人、天使、神をも犠牲してまで愛を得ようとする女性であり
トゥルーエンドでは4人のヒロイン中で唯一ハブられてしまうが
それは必然であったのだろうね。
全てを捧げてくれる女性であり、その愛を受け入れるという
選択肢もあるかと思われるが
朱門氏の後々の作品のことを考えると、
これは人間関係の和を大事にすべきだ、ということであり
最後の締めとしてこのようなチッセのみ排除された格好になったのだと思う。

とはいえチッセの献身的な部分の事を考えると同情は禁じ得なかったし
本作の案内役でユーディット以上の存在感があり
全編クリアした後も一番好きなキャラです。
後の作品に出てくる桜守姫此芽、ひよとか
献身的で博識なヒロインの前身とも取れるかもしれない。
(というかチッセとひよって格好も似てる?)
そしてだから「いつ空」、「きっすみ」、両方プレイした
自分としてはチッセがハブられたエンドこそ
一番予想を裏切られた気分になった。

ちなみにエロの部分は短め、あっさりめ。
調教モノとしてみるとダメダメかと思う。
ダークファンタジーものとして楽しむのが吉。
神と天使、悪魔、カバラとかいうキーワードに
反応するメガテニストにオススメ。