るい智と同じ路線であるが登場人物、他勢力が増えて風呂敷を大きくひろげて複雑になった。そしてこってりした各キャラのやり取りにひっぱられ最後まで高密度で書き切っている。次回作、&空の向こうで、ハローレディではもっとライトなノリになっていて起動修正しているが本作が失敗作であることは絶対に無いと思う。その一方でロミオの影響が強いようにも感じます、外連味っぽさも含めて。
るい智のメイン登場人物達と同じく利害関係から強制的に生死を共にする事になった5人+一人、
それは家族計画を思わせるし全体に鏤められたテーマを拾っていくと本作はより田中ロミオ氏の影響が色濃いと感じた。
女性に優しく?色々手を出し厄介ごとも引きつける主人公。
でもやはり大きな集団に属することなく孤独の闇を心に抱えるというのは
田中ロミオ氏の作品でちらほら見たような。
ただSFちっくな要素は薄いですが。
主人公の評判が悪いようですが
自分が感じた事を少々。
共和政治的なラウンド側だろうと専制主義的な我斎だろうと
どちらについても結局は力を振るい誰かに不条理を押しつける羽目になるので
どちらにも属さない。
機構についても同様。
だからといって何もしない奈々世では何も解決できなくなってしまう。
そして各勢力へのアンチというわけでもなく
我斎、奈々世と普通にやり取りするし相手の立場を分からないでも無い。
100%正解なんてものはない状況のなかで
人を救ったりするとなるとどうしても女性になってしまう。
例えば我斎に助けが必要か?
そもそも力を誇示し続けることで帝国を築こうとしている我斎にそれは要らぬお世話。
天文、高橋などにも助けは必要では無さそうだし。
伊沢だけには結構優しいと思うのですがどうでしょう。
そしてそれらが導き出す行動はどこか中途半端というより煮え切らない印象を受けるかもしれない。
紅緒のように正義に徹する行動をすれば格好いいかもしれないしスッキリするだろう。
伊沢のように兎に角力ある者に噛み付くのも力を誇示出来てやっぱり格好いいしスッキリしそうだ。
しかし主人公はそういうタイプではない。
真雪は今時不殺主人公なんて流行りません、とか言っていたが
実際に消去法的な不殺系主人公みたいなものに近いのではないだろうか。
カゴメ√でノーマッドにトドメを差そうというときに
イライラした人も多かったと思う。
しかし最後カゴメを密がノーマッドで助けたのは
暴走で虐殺をしでかしてしまった自分を
許すことは無くてもトドメを差そうとしなかった主人公に
優しさを感じたから、の行為だった。
優柔不断さも感じさせた主人公の言動、
結局最後には役に立ったのである。事態を厄介した印象も無きにしも非ずだが。
力を誇示したり、論理的な正義をぶつけるだけでは結局行き着く先は戦争。
本作主人公の言動はそれらを無意識か意識的にかは兎も角、それらを回避しようとした結果なのだろう。そういう意味で本作主人公にはとても人間くささを感じます。
また、そういったことを指してカゴメは馬鹿だ、馬鹿だを繰り返す訳で。
そういえば他の作品でドラクリウスも主人公は吸血鬼の血筋としては最高峰で
最強に強いはずだがそういう人間臭さのせいであまり強さは発揮されず、イライラしたという感想がチラホラ見られた。
でも最後の最後で情けをかけていた為に敵側に裏切りが出て
ラスボスが倒されたっていうのがありました。それに似ていますね。
・・・・・って主人公絡みだけでこんなに長くなってしまいました。
他の点としても
色んな登場人物が次々出てきてやり取りも濃厚、
長丁場で果たしてこの物語はどのように進んでいくのか
興味津々で読み進めることが出来ました。
そしてそれがずっと最後までダレずに続く。
ラブコメに徹したアヤヤ√も小休止として良かったし。
影響を受けたであろう過去の名作、大作に比肩しうる
あるいは凌駕することが出来た名作だと思いました。
物語の舞台として現実世界ではあるが
接続者、コミュなどのワードが示すとおり
ネット世界を投影している一方
共和政治vs専制政治といった要素も見られる。
そこをどう解釈するかは各人の環境によっていくらか違いそう。
最初の接続者のクラス分けで
まんまウィザードリィなのは笑いました。
クラスチェンジで戦士伊沢が侍になったり?とか思いましたが
そういった路線ではなかったようで。
ちなみに我斎のロードはウィザードリィでは
5を除いて中途半端で使えないという評価です(特に8で)。
以下各ヒロイン感想
・紅緒
どうしても脳裏に最果てのなんとかに出てきたあずさって名前が出てきますが、
やっぱり影響なんでしょうか。
正義を振りかざすのより和を乱さないようするのを押しつけてくるのが鬱陶しいと感じますが
その一方でやる気一番、人懐っこいところが憎めないです。
全体を通して一緒に行動するのが一番多かったように思えるし
カゴメよりも紅緒のほうが正妻ヒロインみたいに感じました。
密√は前半密があまり出てこなくて紅緒が多く登場したため
紅緒√2でもあるのかと最初は訝しく思ったぐらいです。
コミュはあまりバトルだらけの作品ではないですが
我斎との戦いはかなり迫力のある出来。
そして道を踏み外しかかった主人公を止める紅緒に感謝。
人がバタバタ死にまくり、強力なアバター相手になるとどうしてもトドメを差すという判断が出てきがちなシーンがチラホラ出てくる本作における最後のストッパー。
やっぱり重要なヒロインだと思う。
本作での最愛ヒロインは紅緒です。
見た目は智+こよりな感じ?
・真雪
他の人のレビュー見てると√順で真雪√は3番手or4番手という風に書いてありましたが
自分は紅緒√の次に真雪√に進めました。
正体はバレバレですね。中身は茜子さんですが。
見た目は花鶏をロリにしたような感じですが思ったよりも可愛いです妹に是非。
嘘つき毒舌が目立ちますが
案外モニター画面に出てた結奈の台詞のほうに
真雪の本音が出てきていたように感じます。
実はバビロンコミュの中で一番平和主義者なのかもしれません。
そう考えると真雪への愛着度が一層増してきて
さらにカゴメ√で蹴りを入れられてトドメを差されるのです。
・密
事前情報などは見ずにプレイするので
本作の攻略対象ヒロインはバビロンコミュ内の紅緒、真雪、お春さん、カゴメ
後はアヤヤ√ぐらいかと思っていました。
お春さんではなく密でしたか。
不思議ちゃんですが
この√、本作のテーマを複数に重ねて展開していることもあり
ヒロインよりもシナリオのほうに分かりにくさがあるかもしれません。
そしてロミオやkeyの影がちらつきます。
しかしラスト2で屋上の床で寝ている状況を考えると奇跡は起きずに助からなかったのでは・・・?
カゴメ√へ続いていくことを考えるとこのシナリオは重要シナリオ。
・アヤヤ
息抜き的なラブコメシナリオで差し迫った危機は訪れず平和に終わる。
おとぎ話を始めよう、、、
この平和なシナリオも普通はあり得ないということで
おとぎ話の一つの形として示したのかもしれない。
アヤヤのキャラクタで最後まで引っ張る。
唯一接続者ではないヒロインだが
接続者と接していればそのうち本当に接続者になってしまいそう。
四天王といえば上にいる大魔王的なボスがいそうですが出てきませんでしたね。
特上で打ち止めですか。
・カゴメ
登場回数に反して台詞の種類は限られてるので
終盤以外は影の薄いヒロイン。
孤高ではあるがラストで晒されたのは
主人公と同じような孤独。
対決することになったのが少女A=カゴメ自身であったところを考えると
さらに闇は深かったのだろう。
主人公を慕った密、主人公に助けられて目覚めて
幾らか変化は・・・・・あったのか?
その辺は良く分かりませんでした。
・お春さん
長いものに巻かれろ的な人で天文とかと繋がりがあったりするが
本当の正体は全く見えない人だった。
銃を撃てるのか?
バイト先の描写も無かったし一番謎の残るヒロイン。
・伊沢
ベジータみたいだ。ベジータ好きだけど。
どこに所属することもしない姿勢は
主人公と同じものを感じる。
挨拶代わりにぶっ殺すという台詞を連発するのはどこか頼もしい。
好きにやっていきたい自由の戦士として
紅緒みたいな正義馬鹿、我斎のような支配者を近づけない為の孤高さに
どこかシンパシーを感じるならきっと好きになる人物だろう。
他の登場人物についても思ったことを書きたい気はあるのですが
長くなりすぎたのでここまで。
そのうち追記するかもしれません。