近年では稀に見る期待値を超えたシナリオゲー
衰退が始まって早10年、ノベルゲームへの失望は強くなるばかりです
かつて名作大作を生み出したメーカーは倒産するかそうでなければソシャゲへの移行を進める一方で、
発売されるのは萌ゲーばかりで近年はシナリオを重視したゲームはほぼ作られなくなっています。
それが悪いとは決して言いません。そういった需要も根強くあるのでしょう。
ただ古い世代の私はそういった現状にはついていけず、これはと思ったゲームでも期待値を超えられないことが続いたこともあって、ますます熱意を失っていました。
そんな中数少なくなった今もノベルゲームを出し続けている老舗のkeyから、ノベルゲー全盛期に一世を風靡した田中ロミオ氏がシナリオを担当するゲームが出ると聞き期待しながらも、ここ数作は氏にはかつての勢いは既になく、どこかで「また、だめだろう」と諦めてもいました。
今作はそんな私の勝手な諦観を吹き飛ばすに足る作品でした
クリックが止まらず一気にクリアしたのは本当に久しぶりです。
ここまで私の期待に応えてくれた作品は近年ではなかったとおもいます。
短いながらも登場人物、世界観がすごく魅力的で、
主人公たちが楽しそうにしていれば微笑ましかったし、
困難にぶつかったときは手に汗握って応援していました。
強く感情移入できてプレーしていて楽しかったです。
エンディングも下手なライターだと主人公の選択に説得力をもたせられずにもやってしまうところ、
主人公の心境の変化が丁寧に描写されていたのですごく納得して受け入れられました。
この二人をもっと見ていたくて、終わるのが惜しいと思ったゲームはいつぶりかわからないです。
もちろんノベルゲーなのでシナリオだけでは良い作品は生まれません。
本作はCGも美麗で世界観によくあっていましたし、声優さんたちの演技も素晴らしかったです。
こういうゲームがこれからも出続けて、また業界が活性化してくれればとっても嬉しいです。
このような作品を作って頂きありがとうございました。