切り取られた数日間を繰り返していく体験が小粒のゲームデザインと合致しており、不穏な過去の後ろ暗さもこの時代の美少女ゲームらしくて良い。
私が特に感じ入ったのは八番目のエンディング。
かつて殺した姉・華澄の幻影を受け入れた宗治は
自らもまた妹・明日香の手にかかる運命にあると悟る。
その日が来るのを待望して明日香を抱き続ける彼の心境は、
父、母、姉に犯され壊れてしまった自己への絶望と破滅願望に裏打ちされていて、
真に迫るものがあった。
「オレは、今のオレがすべてなんだよ」
宗治が華澄の幻影に強く言い切る一幕が印象に残る。
過去を振り払ったかのように見えても、
それまでの積み重ねによって形成された『今のオレ』に囚われている。
そのどうしようもない悲しみが癒される瞬間には、
たとえ刹那的な快楽によるものだとしても、救いを感じる。