ErogameScape -エロゲー批評空間-
ホーム
エヴァーメイデン ~堕落の園の乙女たち~
体験版コメント
得点順
新着順
購入予定
必ず購入
得点
82
点
一言コメント
三人称視点から書かれるテキストで難解な表現がやや多めですが、くどいと感じたり疲労感を覚える程ではなく程よいバランスです。キャラクターの心情描写も非常に丁寧なのが好感触。百合ミスティックホラーというあまり類を見ない世界観は面白そうではあるものの、ホラーというカテゴリーには期待と同時に一抹の不安も感じます。主人公のCV萌花ちょこの無垢で明るい少女役がキャラデザとマッチしているのも個人的な後押しとなり、大きな懸念点も無い為購入確定です。
投稿日時
2022年02月13日21時34分
ユーザー名
EGOISM440
購入予定
必ず購入
得点
80
点
一言コメント
悪印象が好印象に転ずるというのは、好印象が更なる好印象を齎す現象よりも、遥かに価値があると思うんです。海原望×大石竜子コンビの最新作『エヴァーメイデン~堕落の園の乙女たち~』体験版をプレイして、そんな一抹の想念が自らの心へ沸き起こりました。実を言うと、僕は本作に対してあまり期待を抱いてなかったんです。それは僕が「百合」と称されるジャンルを嫌厭している実態も然る事ながら、パッケージデザインが全員の魅力を色濃く目立たせていた『フェアリーテイル・レクイエム』や、主人公の黒筆と白姫に焦点を絞っていた『徒花異譚』と異なり、キャラクター内に待遇の差を覚える気持ち悪さを無自覚に感じ。そこにアルエット&ルクの「THE 百合」って感じの描画な力が重なって、第一印象はあまり好ましいものと相成らず(大石竜子さんの絵は文句なしに国宝級レベルで素晴らしいです。ただパッケージレイアウトが過去作と比べて僕好みじゃなかった「過去」の話。其処は勘違いしないで戴きたい所) 物語の内容自体も「ああ、よくある女学院のお姉さま×妹分って感じの構成か……?」「なんかエルダーシステムっぽい設定ね……?」と、好ましく思えない部分を斜に構えて見る節もあり。正直今回の体験版で、気持ち悪い部分が少しでも生じたら、即刻終了して作品自体忘れようと誓う程には、本作に僕なりの基準を設けた覚悟を込めていた次第…………誠に申し訳ありません。謹んで謝罪致します。これらは全くの杞憂でした。杞憂。それは体験版を「目出度く終了した」僕に綴られし言葉そのもの。いやあ、これはもう文章と絵画の融合冥利が生み出した革命と思っても良い位に、僕の中では君臨致しましたよ。高雅な記述が齎す表現力。多くのCG、背景、キャラクターが生み出す描写力。そんな1つ1つの神髄が生み出されし『物語』の全てに、価値在る説得力を据えられており。全くおちゃらける事なくシリアスに進む構成の中、海原望作品恒例要素「過去と現在」「夢想と現実」「理想と実態」も垣間見えていく……素晴らしきミステリーの世界が面白く綴られておりました。そして、これは語っておきたい。学園プエラリウムの設定が本当に素晴らしいです。エヴァーメイデン育成機関として居を構える学舎……と語られる事の真なる意味が「理性」を尊び続ける校風を通して、徐々に徐々に理解出来ていく。「メイデンになるとはどういう事か?」「メイデンにならないならどうなる事か?」を綴った中盤は、思わず「おお……」と人知れず感嘆の溜息。生半可な心境で理想論を述べる事への皮肉も与える会話劇は「理性とは、人間と言う唯一の動物だけが抱けし穢れなき誉である」と思う節も多い僕にとって、彼女と同じ「汚らわしい」と感じた心情も嘘じゃなかった僕にとって、至極重要な見解を齎してくれた次第。あのシーン以後から偏に心を掴まされた僕としては、正直この学園設定もあったからこそ、最後まで読めた節もあったかもしれないと感じた始末で。挑戦的なようでいて、かなり心配りもされている。そんな余裕的配慮も色濃く感じた作品でした(しかし『徒花異譚』の後で、皮肉的に本作の展開を紡ぎ出す海原望氏には目を瞠るものがありますね……自己研鑽の妙を強く感じます) さて、個人的見解。『エヴァーメイデン~堕落の園の乙女たち~』は、僕の中だと「百合」と言うより「ゴシック・ロマンス」と謳った方が遥かに適切。微妙にSFが混じったり、ダーク・ロマンティシズムを踏襲していたり、正しくエドガー・アラン・ポーの系譜ですよ、これは。そして、あのパッケージデザイン……ああ、そういう事ですね? うん、至極得心致しました。やはりこのコンビに、僕の中で外れは存在しないかもしれない。そう思えるだけの自信を与えてくれた事が、何より嬉しい。体験版プレイによる最大の収穫と言えましょう。個人的な懸念はやはり少々拭えない為、満点の期待で以って迎える事は相成りませんが、此処だけは断言したい。「文句なしで面白かったので、必ず購入します」 そう放てるだけの期待を持たせてくれた事に、大きな感謝を。今後の展開は、ガラスのケースへ敷き詰められた麗しき花のように、鳥籠の中で蹲りながらも囀っている鳥のように、自己を主張しながら生きている?彼女等が追い求めし「ほんとうのこと」に期待したいです…………それが例え、どんな結末だったとしても。「そこにあるから 追いかけて 行けばはかない 逃げ水の それがしあわせ あるよでなくて だけど夢見る 願かける」
投稿日時
2022年02月17日20時54分
ユーザー名
soulfeeler316
次のページ