ErogameScape -エロゲー批評空間-

得点
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一言コメント
真偽は分からないがEx-iTのライターが変名で参加していると仄聞したので興味を持ち、体験版をプレイ。以下その感想。 ○ 物語自体に大きな脈絡もなく目的意識も提示されず、各キャラのプロフィール紹介の繰り返し。 他のゲームならそれに違和感もないだろうが、このゲームは攻略キャラ候補が十数人おり、その一人ひとりについてのキャラ紹介がそれぞれに行われるために、反復と言う印象を強めている。 構成面はそんな感じだが、そもそも何人かキャラかぶりがいるように私には見え、キャラの属性の振り分けと言うか書き分けもあんまりちゃんと出来ていないことも反復と言う印象に拍車をかけている。それとはまた別の問題ではあるが、過去作とのキャラ性や人物間の関係性の類似があるあたり(伝聞が本当ならの話だけども)、書いてる側ではそのキャラなり関係なりを用いるのが得意のつもりなのかも知れないが、あまり上手く扱えているという感じもしない。 過去作とのキャラクター性や関係性の類似(?) 月島和羽は神楽鳥雛。 土屋珠希は姫宮ちよ子。 麻雛ステラは春日エリカ。 天之宮歌恋は冥加紗奈歌。 ステラと歌恋の関係は、エリカと紗奈歌の関係性そのまま。 金髪ツインテお嬢様系キャラと寡黙っぽいメイドというパターンはそらいろメモワール?天之宮歌恋の、正直にものを言う約束というくだりは天井心音か。 ○ 理屈ばった物言いをする場面が結構あるが、物語自体はなにか必要な段階をすっ飛ばしているよう(初対面の人間をすでに嫌っていたり好いていたり, 主人公の転入を中心に物事が動いたり)に感じられるので、キャラの論理重視の態度だけでは、物語なりキャラなりを動かすのに足りていないように思える。キャラの口先だけの理屈でもって話の展開を無理やり正当化しようとしているような感じ。だからなんか話がないのに言い訳がましいだけでとっつきにくい。他人を自分の意見に承服させるとか、他人や自分の弱さを喝破したり美点に感銘を受けたりしてみせるなどのある種の権力志向の強さと、上記の論理性の重視が結びついた場面などは特に、なにか嫌な感じがする。 ○ 主人公が己の外見のことに言及し、それに周囲との確執の理由を求めるかのようなくだりが何度かあるが、銀髪に赤い目とされる主人公に比してもとっぴと言える外見をしている登場人物だらけなのに、何を言っているんだろう。まるで、自分の持つ性質に恣意的に着目してみることで、自分を特別視しようと努力しているかのようだ。 常時、異性を口説いてるみたいな主人公の話し方。 ライターのコメディ描写の不得意さのためか、軽口が軽口になりきれておらず、主人公が単に気取ったいやな奴に見える。 企画のコンセプトの自体に無理があって、それがライターの悪い所を引き出しているんではなかろうか。 ○ 藤咲ウサと小倉結衣は特に聞くに堪えなかった。キャラクターがもったいない。 ○ 全体的に物語的な脈絡に乏しいので先行きが分からないが、キャラは立ち位置に従った葛藤やら友好関係をなしているため、そのバランス調節をするだけなのかな。 ○ 作品コンセプト上必然的に、多人数が一堂に会する場面があるが、その人数の多さを完全にもてあましている。
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sasasasasa