ritz_fawcettさんの「マブラヴ オルタネイティヴ」の感想

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終わりの見えない遠大なストーリー、情感のこもった演出…初代マブラヴから15年経って尚、名作として語り継がれる所以がわかります。好むと好まざるとに関わらず、この作品を評価しないわけにはいかないでしょう。軍記とSFの陰に隠れた少女達の高潔な精神が脳裏に焼き付いて離れません。
無印マブラヴもそうでしたが、この時代(00年代)の作品を今プレイするといつも思うことがあるんです。
それは、必ず物語の終盤にピークを持ってこれること。序盤中盤で多少の欠点があっても、最後は必ず盛り上げて最大の山場を作ってくる。
一方で近年の作品は体験版部分が物凄く面白い事が多い。体験版でこれだけ凄いなら一体本編はどうなってしまうのだ?と期待して購入すると、思ったほどの盛り上がりを見せずに終わってしまう物が少なくないんですね。
これもエロゲが黙ってても売れて最後まで読んでもらえる保証のあった時代と、体験版で魅せ場を作らなければ作品を手に取ってすらもらえない時代の作りの違いなのかなと考えたりもします。といっても当時の業界事情は露ほども知りませんからただの憶測にすぎませんが。

現代的な感覚に照らし合わせると、本作オルタも佐渡島攻略で終わりだろうと思って読んでいました。話の尺的にも最終決戦の様相を呈する展開的にも、佐渡島ハイヴを滅ぼして日本を守ってEDなんだと。ところがどっこい、そうは問屋が卸さないとばかりに、そこから横浜基地襲撃、オリジナルハイヴ侵攻と怒涛の三連戦で一気に心を鷲掴みにされてしまいました。柏木少尉、伊隅大尉ら伊隅戦乙女中隊の彼女らの挺身、本来なら嘆き悲しむ場面でしょう。しかし死を目前にしても決して取り乱さず、己の信念に殉ずる高潔な精神を美しいとさえ感じてしまいました。それでもやはり桜花作戦では、話の筋を曲げてでも冥夜、千鶴、彩峰、たま、美琴の5人には生きていて欲しかった…けれど彼女らの意志まで否定したくはない、そんな葛藤で胸が締め付けられる思いでした。


演出も実に見事です。豊富な画面エフェクトとアニメーションは勿論のこと、まりもちゃんのあのショッキングな死が起きたトライアル事件。BETAとは一体どんな姿形なりや?と疑問に思う読者を尻目にその存在をep7までひた隠しにし、BETAと邂逅した主人公タケルの衝撃がそのまま読み手に伝わるような作りになっています。グロシーンの一枚絵ばかりが取り沙汰されますが、そこまでの積み重ねが視覚だけでなく精神的グロに繋がる演出だったんですね。
また、ミリタリー用語や戦術機・SF関連の造語などの膨大な設定を、座学や夕呼先生からの指南という形でほぼ会話文のみで説明しきったのも良かったです、あれを地の文で読まされていたらきっと理解を放棄していたことでしょう。





さて、本作のタイトル『オルタネイティヴ』の意味を辞書で引いてみるとこうなります。


◆alternative 【名】 別の可能性、取って代わるもの、代替手段、二者択一


別の可能性とは読んで字の如く、無数に枝分かれした平行世界やループするオルタ世界の可能性のことですね。
取って代わるものとは、純夏の代わりである00ユニットのことであったり、またオルタ世界のタケルの代わりである因果導体タケルのことであったり、悠陽殿下の代用品である冥夜のこと、00ユニットのバックアップであるヴァルキリーズの面々の事でもあるでしょう。オルタネイティブ4の次善策であるオルタネイティブ5も然り。

ここからは私個人の勝手な解釈です。
エピローグの平和で賑やかな話を読んでいた時に、本来なら感動すべきシーンなのに「これは何か違う…」と感じてしまったんです。純夏の思念が反映されて再構築された、タケルのための優しい世界。それまでずっとタケルと同期して読んでいた私の心は、あの瞬間タケルから離れていってしまいました。なぜなら、少女たちが気高く戦い身命を賭して守ったオルタ世界こそが私の心の置き所であるから。再構築されたエクストラ世界とオルタ世界のどちらに心を置くのか、その二者択一こそがプレイヤーである私にとっての『alternative』の意味であったと感じるんです。
タケルが記憶を忘れてしまっても、オルタ世界の存在は私の心に深く刻まれています。ならばあのラブコメ世界はタケルとヒロイン達に任せて、私の心はオルタ世界に残しておきます。たとえゲームウィンドウを閉じてしまっても、それはいつでも思い出すことが出来る。だから最後はこの言葉で。



ばいばいじゃなくて、またね。
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