soulfeeler316さんの「あくまで、これは~の物語」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

奇妙な事だが真実だ。真実は常に奇妙であり、作る事よりも奇妙であるから。
事実は小説より奇なり





【目次】
1.あくまで、これは非ネタバレの感想……クリアした印象及び、本作が合う人、合わない人の分類

2.あくまで、これはネタバレの批評……「物語」と物語の内容

3.後記と言う名の戯言……最後のオチと「~」の意味について




1.あくまで、これは非ネタバレの感想
評価をつけるのに難しい物語、と言うのがある。
「批評家泣かせ」と呼ばれるそれは、いつの時代にもどこの場所でも、往々にして生まれてきた。
どう「良さ」を伝えればいい。
どう「不満」を漏らせばいい。
自分がそんな作品にぶち当たったら、一体どのように反応するのか。
それは非常に大きな興味であった。

都合の良い言葉で「賛否両論」と客観視するのは簡単だ。
しかし、そこに自らの意志は無い。
数多の感想を中立的に、十把一絡げで纏める意味
それに屡々思いを馳せた。
そこに深い意味はあるんだろうか。
批評と呼ばれる行為が無くなる予兆では無いのか。
私は尚更、思考に溺れる。

無難な言葉で「感情論」を口に据えるのは簡単だ。
しかし、それは最早、批評ではない。
こんな風な、私の書いている戯言でしかない。
確かに、理性的に綴るのは難しい。
限界は必ずあり、語れない事には答えられない。
しかし、語り得る事のみを描く事で、語り得ぬ事の輪郭は掴める。
感情的になったそれは、語る事すら出来ていない。
私はまたもや、思考に溺れた。

そして、私はこの作品に出会った。
本作は、上記のような譫言の思いを少しでも考えさせてくれる出来栄え
言ってしまえば、非常に批評が面倒臭い作品である。
私にとっての「そんな作品」を詳らかに語るなら、前半の出来に言及しない事は不可能
そこで脱落したら、これは必ず「駄作」のレッテルを貼られてしまうだろう。

しかし、それなら只管、不満を漏らせば良いだけの話
この作品には、そんな悪意のみで終わらせないだけの後半が待ち構えていた。
そこが有体に言って、凄かった。
興味を引かれた方がプレイして、この展開の想像へ至る事は絶対に出来ない。
賭けてもいいが、間違いなく無理だと思う。
本作を語りにくい理由は正しくこれ
他人へ薦める際、詳しい情報なんてのは絶対に言えない。
しかし、言わなければクリアした結果、不満の方が大きく生まれる可能性も存分にある。
観方次第で、長所にもなり短所にも開花するゲーム
それが『あくまで、これは~の物語』に対しての、私の見解と断言出来よう。


しかし、楽しめた者も楽しめなかった者も確実に言える筈だ。
本作は、後半からが間違いなく本番である。
私からすればこの作品は、前半のつまらなさを後半が補っていた特異的作品
他の尻上がりに面白くなるモノとは、全く違った存在だと申したい次第であった。

私はこれまで、ネガティヴな要素と言うのは、絶対に解消されない産物だと考えていた節がある。
幾ら後半が面白くなったからといって、それは前半のつまらなさから目を背けているだけ。
尻上がりに面白くなれど、前半のつまらなさには目を背けられない
点数にするなら50点
こんな風に、あくまで「面白さ」と「つまらなさ」を別々に捉えて考えていたきらいがある。

「面白さ」に騙されないだけの客観性は非常に重要
勿論、完璧な客観性なんて絶対無理だから、あくまで「客観寄り」ではあるんだけれども。
しかし、私は一応意識していたのである。

しかし、本作はそんな「単純物語」ではなかった。
前半つまらないけど後半面白いから50点なんて批評スタイル
この作品に至っては、意地でも出来ない。
内容を理解してしまったら、不可能になってしまう。
何故なら、本作は文字通り、前半のつまらなさを後半が「補っている」から。
前半を理解すればする程、後半の内容に感銘が湧いた。
後半を理解すればする程、前半の内容に感慨が湧いた。
物語って、こういうモノだったよな……と少しばかり、考えてもしまったのである。

評価をつけるのに難しい物語
本作を例えるなら、正しくこれだろう。
面白い、つまらないだけで全体を語れる程、簡単じゃない。
しかし、クリアしたから言える。
本作は「面白さ」も「つまらなさ」も、全てが必要な要素として成立していた。

物語とは、終わりまでやらないと分からない。
しかし本作は、終わりまでやると評価が難しくなる。
この作品を理解した人程、無闇な点数はつけられない筈だ。
でも、つけなければ、それは批評ではなくなってしまう。
よって、私は真正面から向き合おうと思う。
この「物語」を「批評」する為に……

取り敢えず、言いたい事は1つ
この批評を読んでいる方の中で、作品をプレイしていない人は、是非公式サイトに行って欲しい。
貴方は、入った時点で騙されている。
『あくまで、これは~の物語』とは、実はそういう物語だ。

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物語にもどるとしよう。
正直に申しあげるが、もしわたしに欠点があるとすれば、それは脇道にそれるということだ。

ジョージ・ゴードン・バイロン『ドン・ジュアン』
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☆本作が合う、合わない者の分類(どちらにもはまっていたら、お好みでどうぞ)
【適合者】
・物語の解放感へ浸る上での我慢強さがある人
・後味の悪さを気にしない、若しくは許容できる人
・ハートフルな物語が好きな人
・展開上の衝撃を作中で味わいたい人

【不適合者】
・ミステリーじゃないと生きていけない人
・完璧な整合性と面白さを天秤にかけ、前者を取る人
・考えるのが苦手な人
・物語を読んで、トリックを理解出来なかった事が多々ある人








ここからは構成上、ルートの核心にまで触れております。
なので、まだ最後までプレイしてない方は、クリアした後に読むのを推奨
あくまで、これは自己満足的な一個人の物語解釈
断定出来る物ではない事を予め、ご了承願います。

























2.あくまで、これはネタバレの批評
(1)シナリオ
終わってみると、本作は試行錯誤の記録であった。
「物語」の主人公は城一であったが、物語の主人公は彼ではない。
「あくまで、これはハジメの物語」
「『物語を再生させた者達の物語』として紡がれた物語」
異端の三重構造となっていたのは、正に衝撃と呼ばざるを得ないだろう。

そんな本作第1部は、はっきり申せば稚拙の一言
早すぎる展開、ぞんざいな文章表現、脈絡のないご都合主義、尻軽な娘達、そして何より重複した内容
娯楽としてある物語を「試練」と呼称する人の気持ちが少しばかり分かった。
特に最後「重複した内容」がキツい。
序盤こそ、これから先がどうなるのか、期待感と言う名の意欲で読み進められる。
しかし、違う選択肢を選んでも同様の展開っぽくなり、同じ説明を何度も聞かされ、オチもそれ程変わらない。
しかも、未読扱いだからスキップは当然出来ない。
だからと言って、してしまった結果、大事な情報を見逃す訳にも行かない。
これには、流石の私も参った次第であった。

正直、中盤の作業感は少しばかり苦痛で、堪える人もいるかと思う。
飽きてきた私は、キャラが何回同じ事を言ったか、数えつつ進めていた。
かなのお家紹介及びサイバー講義に至っては、もう数えるのも諦めてしまった。
また、エロ展開及び事件展開への過程も早過ぎである。
物語上の推移として、段々と紡がれていく筈の描写は明らかに足りない。
「起承転結」なんて我儘は通らず「起結」して終わった話も余裕で存在している。
これでは、発情した娘女子共ばかりと言われても致し方ない、仕方無い。
まあ、陽夏海は鉄壁の防塞だし、100歩譲って前から付き合い、交流のあったえみは分からなくもない。
しかし、他の2人は前半部だけ見れば明らかな惚れっぽさである、ヤバイ人である。
そして、今思えば、城一に全く興味を持てず坦々と進行出来てしまったのも、欠点としては大きい。
たまに、ムカっとした。
「うーん、ちょっと」じゃなくて、ノートの文章の違和感はっきり言えや(笑)
何回も同じ事を繰り返され、つい思ってしまう苛立ちも少なからずあったと言えよう。

とまあ、このように、ここで断念してしまい「駄作」のレッテルを貼ってしまう人がいるのも、正直に申せば、分からなくはない。
上記の時点において、これは「物語」ではなく、ただの強引な妄想
ただ、終わりの方へ至るにつれて、これが正史かと感じられる「紡ぎ」が幾らか出てきた。
納得出来なくもない展開のルートも少しだけ現れてきた。
そして、それが全て終わった所で……

舞台は本番の第2部へ突入する。

これをプレイすれば、全てが理解出来てしまう。
出来なかった人は良く考えるか、この批評を見て欲しい。
感想を散見すると、良く分かっていない方の感想も目立った為、ここで答え合わせと洒落込もうと思う。
Q1.何故、城一の「物語」はつまらないの?

A1.
肇が書き直しては投げ、書き直しては投げの試行錯誤(=フローチャート)をそのまま写していたから。
「演劇祭」「死んだ友人からのメッセージ」「位置情報ゲーム」の3つに分けて、入り混じった1本のストーリーを強引に態と分解した事が分かっている。
彼は言わば、それら1つ1つを1本のストーリーとして纏めていたのだ。
より良い「物語」の結末へ辿り着く為に……
途中が省かれているような展開や、ご都合主義極まりない纏め方のオチ、話の途中で閉じられた打ち切り等があるのもその為

城一達が実際に辿った「物語」は、正史らしきモノあれど、実質その通りには進んでいない。
分かれた3つの物語を1つに纏める事で、ようやくこの「物語」は完成する。
多くの分岐した後の展開が混ざりつつ、正史へ至ったと解釈するのが妥当
フローチャートで「正史」と感じた流れのみが、彼等の辿った真実では無いのである。

「えみ」との縁日、そして花火の思い出へと至る「演劇祭」の道
あれが、恐らく彼等の辿った「物語」の結末
これは、主役:城一、ヒロイン:えみで閉じられた「物語」


Q2.なんで、陽夏海だけエロシーンが無かったの? ってか彼女って何者?

A2.
陽夏海は「物語」にしか登場しないキャラクター
「ひなみ」をモチーフにして描かれた「陽夏海」と言うオリキャラである。
前半部にある数多のエロシーンは、肇が書いたモノかとも思ったが、城一先生はファン2人の批評を見る限り、決してエロ小説家では無い。
ゴーストライターとしての彼が、ここまで挑戦的に緻密に、エロを書こうとするだろうか?
ここで浮上するのは、城一がヒロイン達3人を食っていた可能性(結局最後は、えみに落ち着いたが)
だとしたら、この前半部は城一の記憶と肇の構成が調和した「物語」
現実にはいない「陽夏海」のエロシーンが無いのも納得だろう。


Q3.物語が解放された時に出てきた幕間は何?

A3.
「???」は小説を作り上げようとしている肇本人、そして彼を「ひなみ」が支えていたと言う構図
ひなみ達について勘違いをさせる、明らかに悪意のあるブラフであった。


ある意味、これは最強の伏線回収方法だと思えてしまう。
なぜなら、この方式だと、どんな物語を後へ控えていても通用する概念と成り得るから。
180度方向転換した物語を描いたり、予期せぬ結末へユーザーを導いたりも容易に可能
それは、本作が見事に証明している。
「家族愛」で閉じられる結末なんて、予想する筈も無いし、出来る訳が無い。
そして、その解答に辿り着いた結果、前半の評価も悪くないと思わせてくれる。
早すぎる展開、ぞんざいな文章表現、脈絡のないご都合主義、尻軽な娘達、そして何より重複した内容
全て、肇が1つの軸としてあった「物語」を3つに割いた事で生まれた弊害であった。
彼自身、まだ小説家を目指すひよっこ青年にしか過ぎず、物語ですらないこれをつまらなく感じたのは当たり前
1つのギミックで全てが変わる、正にどんでん返し一点に絞った作品と言えよう。



(2)キャラクター
第1部のヒロイン達は、ほぼ全員が腹に一物抱えている。
まず、えみは言わずもがな。
仲良くなった子を自殺へと追い込んでいたと言う過去
それだけの表現なら、俗に言う「自殺教唆」と呼ばれるのかもしれない。
ただ、死んだ本人自身が「死にたい」と頻りに連呼してたので、自殺志願者であったのかもしれないと言う可能性
不特定多数のチャットルームで、多様な発言が飛び交う中に、その事件は起こったと言う結果
ここから、自殺教唆罪と断定する事は出来ないし、立証する事は恐らく不可能だろう。

しかし、それでもえみは苦しんだ。
自分が殺したのだと断定し、苦悩した世界を生きたであろう事は容易に見当がつく。
自身の性格矯正が、そんな過去を犯した事による彼女なりの答えなのだろう。
だとしたら、こちらから何も言う事は無い。
ただ1つ言えるなら……
私は好きです、えみみたいな「可愛い」女の子


個人的に腹の底が気に障ったのはかなだったかもしれないと、振り返っては思ってしまう。
第1部の彼女が、あそこまでえみと城一に執着していた理由
結局最後まで、私の中ではよく分からなかったのだ。
そこん所の細かい理由が、分岐を辿るにつれて明かされると思っていたのに、全て同じ会話で実に拍子抜けした。
「復讐」の為に、裏コミュニティサイトにまで入って、NEELとの関連性を見つけて、自分が作ったコードを利用して……って、そこまでやるか普通?
しかも、身内や大事な人が殺されたならまだしも、見ず知らずの他人に起きた出来事だぞ?
それなのに、相手の素性を特定までして、私的な断罪をしようとしたのか?
正直ちょっと、怖気がした。
公正世界信念信奉者のかぐわしき匂いが、彼女からは感じられた次第である。
やっぱりちょっとおかしい子かもしれないと私は感じており、作中で言及が無かったのが不思議な位だった。

だが、1番成長を見せたのも、やはりこの娘かもしれないと感じる。
自分のした行為が「やり過ぎていた」事を自覚し、その為に母親として、肇を立派に成長させるまでに至った。
2人の親代わりを立派に務め上げた功績は計り知れないモノ
少女は母として凄く立派に成長し、少年もまた青年に至るだけの素養と精神を手に入れた。
彼女は物語を作り上げた功労者として、実に相応しい存在と言えるだろう。


ゆかりさんと言えば、元彼氏と関わっていたと言う過去が「物語」で大きな影響を与えていた。
彼との秘密に終始、彼女は支配されていたと言えよう。
最後には元彼氏とよりを戻すだろうと言うのも、私からしたら納得の結末
元の鞘に収まる方が、彼女にとっても彼にとっても幸せだろう。

ただ、私にとって、彼女はエロシーンでやたら性器のでかさを連呼していた人と言う印象も大きい。
何回も口にするのと声質が相俟って、私の中では正直「ビッチ」にしか感じられなかった。
実に悔しい所である。
うん、考えすぎだろう、うん。


そして、第1部のヒロインであった「陽夏海」改め、第2部のメインヒロイン「ひなみ」
彼女は本当に素晴らしかったと思う。
この娘だけは全く、過去の秘め事や性格の違和感を感じさせなかった好人物
肇の事をとにかく大事に想い、考え、行動している彼女に、好感を抱かない訳が無い。

彼を好きになった理由については、もう少しあっていいだろうとも思った。
だが、よくよく考えてみると、これ位が丁度良いのかもしれないと感じる。
本作は「物語」を描いた物語(現実)なのだから。
彼と彼女の出逢いに、特別な展開やドラマチックなやり取りは要らない。
只々、普通であれば良い。
普通に出逢って、普通に仲良くなって、普通に恋をして、普通に結ばれる。
その普通さこそ、この2人の物語に相応しい長所だと、今でははっきり思う事が出来る。

本作のヒロインであり、肇のメインヒロインと呼ぶに相応しい存在「ひなみ」
彼女の素晴らしさを感じられただけでも、プレイした価値は存分にあった作品だった。



(3)不満点
上記に従うなら、本作は全てが功を奏した挑戦作と呼べなくも無い。
だが、実を言うと結構、粗も多い。
まず、先程も述べたように、物語の方向性が180度変わる為、内容に裏切られたと感じる層が少なからずいるだろうと言う事である。
あらすじは全く以って間違ってないが、ほぼ重要要素では無い詐欺レベル
そもそも、死んだ友人の話は、前半の物語3つの内の1つでしかないのだから。
ほぼほぼ、本筋に関係なかったこの謎のみ気になった人からすれば、本作は盛大な肩透かしに過ぎなかっただろう。
死んだ友人は「かな」が「アイツ」の振りをしただけと言う話だし、そもそもにして、彼の自殺や名前がそこまで全体の物語に関係した訳ではなかった。
「アイツ」が物語の根幹に関わっていたら、まだ溜飲は下がると言うモノだが、残念、唯の一要素でしかない。
私のように「面白ければそれでいい」と言った刹那主義野郎でも、少しばかり気になったので、それ目当ての人からしたらもう気になりまくりだと思う。

次に、ユーザーへ全てを委ねすぎていると言う面を取り上げよう。
例えば「死んだ友人からのメッセージ」を描いた事件のオチ
これが正直、まるで分からない。
全体像を理解した結果、他の事件はオチを見つけられたし納得も出来たのだが、これだけがどの分岐後の展開にも繋がらないのである。
NEEL社は解体していないし、ゆかりさんの元彼氏は自殺していないし、その他の終わりもいまいち腑に落ちないのだ。
もしかすると、この物語の着地点は「位置情報ゲーム」と混ざった終わりになったのかもしれない。
詳細は描かれてない為、闇の中
つまり、こういった詳しい経緯や結末、それらの意味不明さと言うのをユーザーの想像に一任させている展開も、本作の中では結構多い。
この物語における粗い部分と言うのは、正しく上記のような事
少しばかり明かさないのは味があるが、明かし過ぎないと返って襤褸になる。
これを好むのはかなり限定されていると言えるだろう。

また、物語が開放される前に現れる「???」のシーンが2回目観られないのも存外惜しい。
どう考えても肇であり、ひなみであり、重要なシーンでもあったので、見返すための2回目が簡単に見られないのは中々キツいモノがある。
スランプ状態で、悩みに悩んで葛藤している記録の片鱗が、初期化しないと見られないと言うのは流石に面倒だ。
そこまでして観たい程のモノでもないが、観なきゃ観ないで微妙に歯痒い。
と、上記のように、2回目プレイを行う際はこのゲーム、少々不親切である。
フローチャートが観辛い故、何処が何処の物語なのかも分かり辛く、手当たり次第に当たっていく鉄砲方式で1日は過ぎる。
考察向きだけど考察向きじゃない、実にヘンテコな作品と呼べるかもしれない。

そして最後の不満
やはり1番取り沙汰されなければいけないのは、この物語の「結末」だろう。
この後味悪い終わり方は、何故このように終わらせたのやら、考える人も少なからずいるに違いない。
と言うか、大半がそうだと思う。
だから、何故こういう風に終わらせたのかを考えてみた。
それこそ製作者にでも訊かないと分からない事象だが、想像は存外、難しくない。
想像に委ねてる時点でどうなんだと言うツッコミはなしで。
詳細は次章で語っていく。




3.後記と言う名の戯言
本作は、クリアして分かるが「完結」出来ていない物語だ。
それが意図的で無い場合は、この供給過多時代には良くある事である。
打ち切りや結末未定、資金不足に作者失踪
完結を望む物語にとっては、非常に生き辛い時代だと思う。

しかし、本作はそんな有象無象の産物とは少しばかり異なっている。
なぜなら、この物語は「意図的」にこのような終わりへとさせているから。
もしかすると、製作サイドの中ではもう「完結作品」として扱われているのかもしれない。
何故そう言えるか?
それはタイトルと、物語の結末がその事を暗に伝えているから。
ここで、その内容を詳しく説明する事で、批評の締めに入ろうと思う。

「意図的」な終わり方であると言う事
それはタイトルから充分に察せられるだろう。
『あくまで、これは~の物語』
その中の「~」に注目したい。
これは「ホニャララ」や「から」を意味する日本語表記記号
正式名称「波ダッシュ」と呼ばれる産物
前者の場合ならまあ、簡単だろう。
あくまで、これは「家族愛」の物語
実に筋が通るし、簡単な話である。
しかし、これを後者と捉えると、また別の観方も見えてくる。
「東京~上野」「11時~13時」「50人~200人」
この記号は上記のように、あるポイントから別のポイントまでを示す事で、初めて真価を発揮する産物
しかし、このタイトルでは終わりが定まっていない。
あくまで、これは「から」の物語
「空」でも「殻」でもなく「始」(「肇」)と言う意味の記号が入った物語は、目的の結末へ辿り着く事無く「終」を迎えている。

そして、ED以後の展開、最後の文章
それは、こんな形で閉じられた。
-----------------------------------------
もう、指切りは必要無い。
何かによって縛られるのではなく、僕たちは僕たちの意思で、それを目指すのだから。

『あくまで、これは~の物語』エピローグ
-----------------------------------------
これ、物語に縛られていた登場人物が明確に飛翔した瞬間のようにも感じられないだろうか?
縛られる事を否定し、明確な夢へと現実を生きようとする。
登場人物達が普通に「現実」にいるような錯覚を、私は感じた。

そして、最後に重要な事を言っておこう。
本作の終わりは「あくまで、これは~の物語」の形式で閉じられていない。
「あくまで、これはハジメの物語」
「あくまで、これはひと夏の物語」
「あくまで、これは城一の物語」
このように始まり、そのように閉じていく事が多々あった本作
だが、最後の最後はこの形式で閉じられなかった。
「『物語』を描いた者達の物語」
『あくまで、これは~の物語』
そこで終わらせていないのがこの作品
「あくまで、これは続いていく物語」なのである。


この作品は、物語が数多く犇く昨今、1つ1つの価値が低くなっている時代
そんな時勢に、叛逆を与えようとした物語なのかもしれない。
御話と言うのは簡単に終わる。
この供給過多時代、上記の例が示す通り、プレイ時間が示すように、どんな物語も簡単に終わる。
中には颯爽と終わらせて、次に簡単へ向かう濫読もある事だろう。
しかし、そこで終わらせてはいけない。
本作における彼等のように、物語としてでなく、現実としてこの先も続いていくモノは確かにある。
そこに、悲しみや不安や焦燥や絶望があったとしても、続いていく現実(物語)と言うのも確かにある。
それを決して、忘れてはいけないのだ。

無論、この作品は完璧とは言えない。
上記で語った不満点はそれを見事に証明している。
ただ、物語を好きな自分としては、これを無理に否定したくはない。
だから、私はこの点数
半分よりちょっと良しと言う事で。

言える事は、ただ1つ
炎の中を歩み続ける、彼等の現実に……
どうか幸あれ。

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