gggrrrさんの「金色ラブリッチェ」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

キャラゲーとして見た場合は納得の高得点。しかしシナリオゲーとして見た場合は高い評価はできない。そんな作品。あと「男たちの大和」を思い出しました。
一言感想の最後を見て、一体お前は何を言ってるんだと思われた方はさぞ多いと思います。
しかし、これは純粋な感想なのです。私がこのゲーム最後までやって思ったのがこれでしたから。

まあそれは最後に回すとして。余計なことですが、もともとこのゲームを買うつもりはなかったのですが、このサイトでの高評価を見て体験版をやりました。その段階でも製品版を買うつもりはなかったのですが、立ち寄った中古ショップにこれがあり、ちょうど買える金額が財布にあったので購入しプレイ。ですが体験版時点で自分にはあまり合わないことが分かっていたので、先にみな様の感想を参考にさせていただきました。そのためところどころスキップしてます。

邪道ですね、美味しいところだけを食べるやり方です。それで結論ですが、18禁ゲームとしての総合評価が高いのは頷ける出来です。

他4ルートでキャラゲーとしての性能をいかんなく発揮し、最後をシナリオゲーとして締める。非常に良い構成です。というか、うまい構成です。

何が上手いかといえば、ユーザーのボルテージの上げ方です。キャラゲー色の濃いヒロインとのイチャイチャをふんだんに盛り込み、それでいて理亜にそれっぽい言動を終始取らせる。しかし理亜ルートはすぐにはできない。そうした期待感を膨らませての、路線変更と言わんばかりの感動要素投入。

見事、見事です。ですがこれにはやや陥穽がある。あまりノベルゲームをやらない人、キャラゲーが好きな人に対しては見事な意表を突かせる構成なのですが、これを初めから「シナリオゲー」として見ると非常に脆い構成になっています。

一言で言うと飽きる、もしくはゲンナリする。キャラゲーとしてはキャラの可愛さを強調する重要なシーンでも、シナリオ的には重要ではないシーンが多いのです。無論、それは悪いことではなく、あくまで「シナリオゲーとした見た場合」であるので、単に好みの問題です。公式も「金色学園アドベンチャー」でシナリオ重視なんて謳ってませんし、OPの雰囲気もそういう感じではないですしね。

ですが、「物語」を読みたい者にとっては、キャラの掛け合いが冗長すぎる。なかなか進まない物語にやきもきしてしまうのです。ここにきてまたその掛け合い繰り返す必要ある? というシーンが目立ちました。

世界設定もややいい加減です。たとえば最初の方の雨によるインフラ寸断。街中に近い学園の寮で、あんなに回復に時間がかかるのはおかしいですし、そもそもお姫様が通うほどの学園と資産家の娘が多く通う寮に、2,3日程度の非常用電源がないというのもおかしな話です。

その他、キャラゲーとして見れば問題ない舞台も、シナリオゲーとしみれば粗が多い。エリート育成学校ということですが、正直普通の金持ち学園という印象しか持てません。それと他国の人間に対する治外法権なんかもそうです。G7の日本を舐めてはいけない。いくら王族の国賓だろうと、自国民の生殺与奪を与えるようなことをする我が国ではありません。まして、たかが一般人の少年一人捕まえられない無能な外国人に好き勝手させるほどお人好しではありません。留学生の処置やらなんやらでも外国人にシビアですからね我が国は。

他にも主人公の段階的な記憶の欠如、普通なら忘れませんよねああいう出来事は。子供心ならなおさら忘れません。

まあ長々と無駄に書き綴りましたが、ようは現実感がない舞台設定ということです。その中で人間の生き死にを題材に物語が綴られても、絵空事めいて見えるのです。世界観に没入することが出来ず、どこか白けてしまう。無論物語である以上、一定の「非現実味」はスパイスとして必要ですが、この作品はファンタジー色が強すぎて、死生観をテーマにした話を展開されると、逆に醒めてしまうというわけです。

こうなったらもうダメです。物語に入れ込む際に絶対になってしまってはいけない「白ける」という状態、こうに一度なったらそのあとどんなに感動的な展開になっても、色眼鏡がかかった状態になってしまう。私はそうなってしまいました。

また、類似した物語を多く見てると、尚更没入感を減退させます。大体の展開が読めてしまうためです。「ああ、きっとこのあとはこうなるだろうな」という予想がたってしまい、そして大体あたってしまう。

そして、このゲーム最大のテーマである「カッコイイ」というものについて、作中で王女様は「誰かにカッコイイと思われることではなく、自分がカッコイイと思うこと」と言っていましたが、私はこの言葉にん? と首を傾げました。

カッコつけることと、カッコイイことは全くの別物だと思うのです。本人はカッコイイと思っていてやっていることも、周囲から顰蹙を買えばただの迷惑行為です。やはりそこには中身が伴っていなければならない。

自分がカッコイイと思い、かつ誰かにカッコイイと思われてこそ、本当に「格好いい」ということではないでしょうか。

さて、メインの理亜ルートですが、彼女は「格好良かった」のかどうか。私個人の感想としては、「女子らしくはあったけど、格好良くはなかった」ですね。

そしてその理由は、理亜ルートが存在したためです。彼女が初志を貫徹し、王女様と主人公の幸福を願った果てに、歌手として命を燃やし尽くして死んだのならば、とても格好良かったです。そうでなくとも、主人公とほかのヒロインが結ばれたのを見届けて、何も言わずに去ったのならば、やはりかっこよかった。

つまり、「カッコよかった理亜」は他ルートの理亜であり、「カッコつけることが出来なかった理亜」がいるのが理亜ルートなのです。私見ですけどね。

また、彼女の矜持の一つであった「マリア・ビショップ」という歌姫。これにも難があります。理亜は歌については真剣という設定でしたが、肝心の歌に情熱を捧げる描写が少なすぎる。歌唱練習してるシーンはほぼなく、タバコを吸い、喉に気を配る描写もない。あと「音痴でさえなければ。基礎的なレッスンでそこらのアーティストと同じようになれます」って、あまり音楽関係のことは知りませんけど、流石にこれには同意できなかった。仮にも一つの部門になる分野で、そんな簡単だったらほぼプロディース能力と運ってだけですよね。そんなに簡単なんでしょうか、アーティストって。その辺が引っかかってしまって何とも言えないもやもやが残りました。もはや難癖レベルですが一度気になったらこれはなかなか改善できない。

むしろ、ずっと真剣に練習してきて、最後の王女様のピアノで歌う瞬間に、ようやく理亜が思う「王女様と同じレベルで歌うこと」が叶った、ならば最高にボルテージがあがり、理亜に熱量が伴う「格好良さ」を感じられたのですが。

やや脱線しましたが、理亜ルートの彼女からは「格好いい」と思わせてくれる情熱を感じることが出来なかった。

主人公と恋愛をしたかったのか?

シルヴィアと主人公に幸せになってほしかったのか?

シルヴィアと同じレベルで歌うことがしたかったのか?

自分の人生において、何を譲ってもこれだけは譲れないものをやり遂げる、これが私が思う「カッコイイこと」でしたが、理亜ルートの理亜はこの3つのどれも果たしてますが、「これだけは」という情熱を感じさせるものがなかった。

故に、私は理亜というヒロインは、「可愛くて可哀想なヒロイン」であり、「カッコイイ生き様を見せてくれたキャラクター」とはなりませんでした。

彼女にとって主人公たちとの時間は「黄金の時間」であったことは間違いないでしょう。しかし、それとカッコよかったかどうかは別の話。

また全ルートを通して、主人公がカッコイイと思えるシーンもなかったですしね。この主人公、自分にはかなり苦痛でした。でも多分よくある学園もののテンプレ主人公なんでしょうね、こういうのは。彼の頭には物語の都合通りに記憶を消去する装置でも付いてるんでしょうか。

主人公に魅力が無いというのは致命的なのです。主人公に完全に自己投影するタイプのプレイする方には、主人公に中身が無い方が良いのでしょうが、第3者視点で眺めていると「この男のどこがいいんだろう」と真剣に疑問になります。

そうなると、そこにあるのは物語の登場人物たちの恋愛ではなく、「ヒロインだから主人公に惚れなくてはならない」というメタ設定のみ。プレイする側としては意味不明な理由で主人公を褒めそやし、持ち上げますが、それを眺めてる身として頭に浮かぶのは疑問符のみ。

主人公がチープだと、そんな男にベタ惚れする女キャラもチープ見えてしまい、「白ける」という状態が強くなる。

男性の視点から見て「この男なら複数の女性に好意を向けられても納得できる」と思わせる格好良さが、この作品の主人公には絶無でした。

頭空っぽなら夢を詰め込んで欲しいのですが、この主人公はただ空っぽでしたね。まあ、その分そこに「ユーザー」という入れ物を詰め込めるという利点はあるのでしょうが。そういうのはソーシャルゲームに任せたらどうでしょう。

なので、身も蓋もない言い方をすると、「よくある無個性主人公による薄幸ヒロインのシナリオ」ということです。


これには私が死生観をテーマにした他の物語を知っており、それと比較してしまったというのもあります。どうにもこの作品からは「死」に対する重厚さが無かった。理亜というキャラクターに「ヒロイン」という立場を超える人生を感じさせるものを見いだせなかった。


ですが最初に述べたように、キャラゲーとみれば文句ない出来でしょう。キャラの魅力を最大限に発揮させ、かつ主人公とイチャイチャラブラブの恋愛関係を見せている「良作エロゲー」です。「姫キャラ」「ギャル系」「騎士キャラ」「小動物系後輩」「薄幸系」、それぞれの属性をいかんなく発揮させてます。そこに不足はありません。

ですので、この作品はあくまで「キャラゲー」と見るほうが楽しめる作品です。「シナリオが良い」と期待して見ると、肩透かしを食う人もいるでしょう。




最後に本当にどうでもいいことですが、理亜の病気である脳の腫瘍の状態が、「男たちの大和」の内田貢兵曹の戦傷と酷似していたので、どうしてもそれが頭によぎってしまいました。それでも彼は数十年をその戦傷を抱えて生き、多くの戦友たちと死ねなかったことを常に胸に抱きながら、時に罵倒を浴び屈辱に塗れ、妥協し、時に折れず矜持を貫き戦後を生きました。そうした私が思う「格好いい人間」と比較してしまったことも、この作品のメインである理亜ルートに入り込めなかった理由かもしれません。

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