tkktさんの「クロノクロック」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

忍耐を重ねながら何とかクロルートまで辿り着いたけど、もう限界。ここまで合わない主人公は久しぶりに見たかもしれない。長文は酷評・ネタバレ全開ですので、今作が好きな方や購入検討中の方は読まないようお願いします。
 そもそも、みうを人生の手本にするとか言い出した時点で意味不明だったんだよね。感銘を受ける要素ゼロだからね、あの子。何か良さげな人いる→告白しよう→けど無理だから他の男で練習しよう→そっちの男の方が好きかも→何かよく分かんなくなったから全部ナシで。お疲れ→ウチ貧乏なんですって流れだからね。告白するっていう初志も貫徹してなければ、じゃあ新しく芽生えた気持ちに向き合うのかというとそうでもない。一体どこに尊敬する要素があったのか。甲子園球場でさ、ラッキーセブン(7回裏の阪神タイガースの攻撃)に合わせてジェット風船を飛ばす伝統があるじゃん? 夜空に向かって真っすぐ飛ぶヤツは綺麗なんだけど、なんか迷走した挙句、重心があっちゃこっちゃブレて、仕舞にはフェンスに衝突して引っかかってる無残なヤツあるでしょ? アレとそっくりなんだよね。俺の忌憚の無い感想では。しかもアレ、無駄に推進力だけはあるもんだから、低空を飛び回って、風船内に溜まった唾液を周囲に撒き散らすという迷惑極まりない動きをするんだよね。誰かさん同様。-334点。
 で、そんな彼女をお手本にするもんだから、当然、フットワークは軽いけど、気持ちも軽い恋愛を推し進めていく展開になるわけです。つまり今までの(時計の力を使って確認する)「脈が有れば誰でも良い恋愛」から、「良い感じの女の子の内の誰か」に移行したワケですね。いちおう対象は少しは絞れたのかな。まあ結局は軽いままの恋愛観なんですけどね。勿論これはライターさんが意識的に「軽さ」を信条に生きる主人公として書いてあるからですね。じゃなければ、普通は主人公の人生観・恋愛観に変化を与える役割はドロシーになると思う。彼女は凄いからね。残り少ない時間を他人の為に使う事を厭わず、目一杯毎日を楽しみながら生きているからね。喋り方は好かないけど、メンタリティで言えば作中で一番尊敬できる。この子の生き様を見て、自分の今までの軽い生き方を改める、みたいなのが王道かなとは思う。ただ敢えて、それをやらない。敢えて、ね。
 そして「良い感じの女の子の内の誰か」から、実際に一人に絞る作業が始まるワケだけど、まあこれがマジで作業でね、選択肢で選んだ女の子に唐突に好きだと言い出す、ダメな萌えゲーにありがちのヤツ。ただ駄萌えゲーのそれが、何だかんだ許されるのは、萌えゲーファンタジーワールドという特殊空間ゆえなんですよね。幸せへの収束力というか、不幸蓋然性の抹消と言うか。ハッピーエンド以外は起こり得ない完全な芝居としてエロゲーマーに広く認識されている、安全地帯みたいなのが、この特殊空間です。ただ逆を返せば、今作のように中途半端に現実的な恋愛観を放り込むと、この完全な芝居が崩れ、優しい嘘でコーティングした特殊空間の外壁が剥がれるんよね。またまた酷い例になるけど、主人公の言う「軽い」恋愛、イージーカム・イージーゴーを地で行くような、そうだな、ドン・キホーテの駐車場に深夜2時くらいに屯している色々と「軽い」グループ内のカップルが「○○くんゎ、まじ最高だから、このまま結婚する」とか言い出しても、誰も信じないですよね。人生楽しそうで羨ましいなとは思いますが。
 まあこうなっちゃうので、個人的には萌えゲーで恋愛方面を捻るのは、よほどのことが無い限り賛成できないんです。なぜなら往々にして、萌えゲーを皮肉りながら、個別ルートでの恋愛は萌えゲーファンタジーワールドに頼るという二律背反に陥るという目も当てられない展開になるからです。今作もその傾向ですが、ただまだマシな方で、この軽い恋愛に重さを持たせる(萌えゲー的ハッピーエンドにさせる)為の仕掛けとして、(多くのルートで)御家問題を使っていました。つまり名家の子息令嬢の恋愛なので下手な逃げ道は無いという格好ですね。気持ちの補填を外部に求めているので相当ダサいけど、まあ筋としては通ってます。軽くて飛んでいきそうなジェット風船みたいな恋なら家名で地に縛り付けるというワケですね。+334点。
 だからまあ、必然的に、クロルート(記憶はあれど実質が無いから、当然互いの家とかは関係してこない)になれば、他のヒロインは主人公の自殺にそこまで必死に介入しないんですね。そりゃ軽い恋愛ですからね、当然ヒロインの方も彼に対する気持ち自体は軽いでしょうよ。亡くなっても数カ月で他の恋人できてそうだし。しかしまあ、彼は恋も軽けりゃ、命も軽いんですね。クロに対して「死が怖いのか」と悟りを開いたような口調で言ってて、「いやそれは人間誰でもそうでしょう。なに達観した感じ出してんの。いちいち鼻につくなぁ」と思っていたんですが、どうやらマジで命も軽かった模様。そして二年程度も待てず、周囲の人間を悲しませてまで死へ向かうってのは、周囲への情も軽いって事で、当然そんなんだから周囲から返ってくる情も軽い。何もかもが軽い。ライターさんとしては「こんな新しいタイプの主人公書いちゃった!」と、さぞご満悦なんだろうけど、読んでる側からすると、もはやこの主人公が生きようが死のうが、幸せになろうが不幸になろうが、どうでもよくなる。どこへなりと飛んで行きなよって。興味が薄れる。っていうか、そんなに命が軽いなら、最初のクロ(本体)に殺されとけば良かったのに、とすら思ってしまう。自分の欲求を抑えられず、周囲の反対も聞かず、そのうち周囲も諦めて切り捨てて、そうまでして紛争地帯を見に行ってテロリストに捕まっちゃいました(笑)みたいな人種と重なるよね。こういう残念な主人公の物語も僕は結構読むんだけど、本人に自覚が無い(ライターさんにそういうつもりがない)パターンはキツイんよね。あとチョイチョイ含蓄のあること言ってるぜ感が滲み出てるテキストも、この主人公に言われると腹立つばかりだった。限界です。令和最初のギブアップになりました。
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