dontiさんの「少女神域∽少女天獄 -The Garden of Fifth Zoa-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

すべての登場人物を翻弄する1,000年もの時を超えて受け継がれる『石』にまつわる物語。物語の渦中にある、主人公と4人の少女たちが、様々な登場人物の思惑に巻き込まれながら迎える結末とは?そんな、濃密な設定に裏付けられた伝奇ものです。以下、項目ごとの感想等。
【グラフィック:95点】
エロゲ最高クラスのグラフィック。
立ち絵・イベントCG・背景等々、どれを取っても文句のつけようのない一級品です。
メインキャラだけでなく、歳を重ねたサブキャラ達も
その性格がにじみ出るような自然な顔立ちだったのが印象的です。


【システム:75点】
設定が分かりづらい部分はありますが、必要なものは一通り揃っています。


【演出:90点】
立ち絵における身長差や距離感等の表現。
料理シーンのSE。
ヒロインが帰宅した際の玄関から呼びかけるような声の演出。
その他、非常に細かい所にまで物凄く意識を届かせた演出が
とても魅力的でした。
戦闘シーンはあっさりしたものだったのは残念ですが
このような細かいところの積み重ねが
このゲームの雰囲気を作り上げているのだと思います。


【声:95点】
何一つ文句のつけようがない配役と演技でした。
サブキャラを演じられている方も迫真の演技で
物語の緊張感が高められていました。


【キャラクター:95点】
「なぜそういう行動を取ったのか」と言う物語の真相や
行動の善悪はさておき
それぞれのキャラクターの信念に基づいた行動を取っており
魅力的なキャラクター揃いでした。
サブキャラ含めて沢山の人々の信念のぶつかり合いの物語なので
「主人公とヒロインを魅力的に見せるのがエロゲ」と思っている方には
受け入れづらい内容かもしれません。


【テキスト:80点】
ライター『これ、少女神域の設定資料な、ゲームプレイする前に読んどけよ』
『ドスッ(広辞苑のような分厚い資料集を投げつけながら)』

恐らく90%以上の人はここで挫折するでしょう。
冒頭から列車の中で、主人公・迪希・融の3者の会話とともに語られる
この世界の膨大な設定の山。
それもユーザーに分からせようとする書き方ではなく
あくまで主人公たちの会話の流れの中で出てきた用語を
地の文で解説を入れる形式なので、順番に読んでいっても全く理解できません。
1度ゲームを通してプレイした後、一から情報を整理し直して
初めて理解できます。
お世辞にもユーザーに少しでも配慮したテキストとは言えないですね。
ギブアップしたユーザーが多いのも頷けます。

しかしながら、根気良くテキストを読みながら
共通パートを2周・3周とプレイしていくと
スルメのような味わいが出てくるのも事実。
どの程度このゲームに根気をもって望めるかどうかで
大幅に評価が変わってくる点でしょう。
気軽に楽しみたいと思っている方にとっては0点だと思います。


【シナリオ:80点】
テキストの項目と重なりますが
とにかく理解するために根気が必要です。
更に、与えられたものを全て読んだとしても
圧倒的に情報不足。
特にTRUEの祥那ルートは語られない部分があまりにも多く
意味不明です。

しかしながら、結末としては明確なものが与えられなくても
石を封印した初代皇子から1,000年もの時を重ねながら
何十世代にも渡って(客観的に見て)不幸な人生を送りつつも
徐々に石を削ってきた稜祁家の現当主たる恂が
妹の祥那と2人で生存できたと言う部分が揺るがない結末は、
他の部分が全く解説されなかったとしても
それは決して不幸ではないのではないか?
そう思えてならないのです。

初代皇子は祥那の見た夢の中で
『僕は、ほんの少ししか、幸せを作ってあげられなかった』
と表現していましたが
それと同時に『一番叶えたくて、叶えられなかった夢』
『でも、やっと最後に叶った』とも言っています。
この言葉の意味とその重さを伝えたいがために
敢えて、その他の部分を語らない、
そんな結末をライターさんは選択したように思います。


【総評】
世間一般の評価として
膨大で難解かつお世辞にも読みやすいとは言えない設定を理解した結果、
与えられた結末が全くの説明不足で
すっきりしないという言い分はごもっともですが
それを超越したところで
真実として語られた部分は何物にも代えがたい
かけがえの無いものだった、そのように思います。

この物語の主役は、恂でも、ヒロイン3人でも、祥那でもなく
1,000年以上に渡って引き継がれてきた石にまつわる『物語』である。
そこを取り違えず、根気良くじっくりを読み進めていけば
面白いゲームだと私は思います。



以下、本編の内容があまりにも分かりづらいので
本編及びビジュアルファンブックの表記を随所にそのまま引用しながらの
私なりのまとめを掲載したいと思います。
本編未プレイの方は絶対に見ないようにご注意ください。
尚、あくまで私の私見ですので、誤っている可能性も十分あります。
また、あまりに引用が酷くなりますので、掲載がまずいようでしたら削除しますので
ご一報ください。
------------------------------------------------以下、ネタバレだらけのまとめ------------------------------------------------

































------------------------------------------------以下、ネタバレだらけのまとめ------------------------------------------------

【登場人物一覧】
https://gyazo.com/df6515e4cc99c827ba501815f1296adb



【石に纏わる伝説の概要】
『「石」の成り立ちと、その前後の流れ(ビジュアルファンブックより引用)』
呪術的な力に長けた『黒歯朶之一族(くろしだのいちぞく)』が
唐の時代に大陸から佳城市に訪れた。
その黒歯朶之一族が、一族再興のために『石』を造り出した。
その『石』とは、人間の生気(オド)を吸収し、蓄積するシステムだった。
生気を吸収された人間は怪物化し、更に『石』の贄になる人間を求める。

平安時代、鳥羽上皇の時代に、宮中で暗躍した黒歯朶之一族の少女が
陰陽師に追われて、怪物化する事件が発生する。
少女は陰陽師によって討たれるが、大量の生気を蓄積していた少女の体は石化し
各地に散らばることとなる。
今作の全ての原因となる『石』の成り立ちである。

この石の被害を食い止めるため
崇徳上皇の指示を受け、陰陽師:安倍泰成の指揮で、佳城の石壁が建てられる。

その後、崇徳上皇は、残りの黒歯朶之一族の罠で讃岐に流されることとなる。
崇徳上皇は、讃岐で自身の子『波智皇子(なみもとのおうじ)』を授かる。
(※この波智皇子が、この作品で言うところの『初代皇子』である)
成長した波智皇子は、父の意志を継ぎ、各地で黒歯朶之一族を討伐し続け、
最終的に、忌部野(現:佳城)に辿り着きます。

そこで、『石』を封印する手段として、波智皇子は、『石』を自らの身体の中に封印し
何世代にも渡って体内に宿し、『石』の力を削る続ける方法を選びます。
この際に、平家の姫4人と心を交わし、封印に協力することとなった。
これが、今作の4家の元となります。

※作品内で描写があるのは、謎の男性(=崇徳上皇が流される描写)と
  初代皇子(=波智皇子)が、4人の女性と誓いを立てる場面程度。
  黒歯朶之一族に関する描写はほぼ皆無であるため
  ゲームをプレイしても、『石』の成り立ちは明確には分かりません。
  ゲーム内で分かるには、初代皇子が体内に石を宿して
  世代を重ねて呪いを削ると言う方法を選択肢を取り、それが現稜祁家の先祖であることと
  4人の女性を誓いを立て、それが各家の先祖であることくらいです。


『現代における伝説』
1,000年以上前から『(現)稜祁家当主(以下、稜祁家当主)』の体内に引き継がれてきた呪い(=石)。
この石の影響により、石の所有者である稜祁家当主は20歳そこそこで怪物に変化してしまう。
怪物は、その戦闘力や生命力もさることながら、近くに存在する人々を怪物へと変化させる力を持つ。
この怪物への対抗策としては、4つの氏子にそれぞれ伝わる『刀剣』と『古玉』が存在する。
『刀剣』は、怪物に突き刺すことで、怪物への変化を沈める。
『古玉』は、怪物の近くにいることによる怪物への二次的変化を防ぐ。

初代皇子後、石を受け継ぐ者が怪物に変化する際に子を成し、
その子に石を受け継がせるとともに、怪物と化した稜祁家当主を殺す体制となる。
稜祁家当主討伐は佳城の有力な氏子である、澳城家・壟峯家・道陵家が主導している。
(※子を成さずに稜祁家当主を殺した場合にどうなるのかは、不明)

しかしながら、過去、怪物へと変化した稜祁家当主を討伐する際
大規模な悲劇(多数の死者が発生)が繰り返されており
澳城広常(澳城家当主・迪希の祖父)は、恂が怪物へと変化する前に殺そうと策略を張り巡らせている。
(※広常は、恂の父である稜祁衡の時代にも同様の策略を練ったが、とある理由から失敗に終わっている)

佳城において、有力な力を持つ4つの氏子は
各世代において例外なく親しい友人であり
稜祁家当主を討伐する際に、皆悲痛な思いで討伐してきた。

この経験を元に
二度とこのような悲劇を繰り返さないために
怪物に変化する前、つまり人間の時に恂を殺害しようとする澳城広常。
佳城市を住みやすくより良い街にすることで、娘の愛莉の未来を明るいものにしようと
澳城家の権力を利用しようとする、道陵得子(愛莉の母)。
最も稜祁家寄りの考えを持ち、恂やその他ヒロイン達自身の考えに委ねようとする、壟峯時子(碧織の祖母)
恂が怪物になった場合は討伐する、という使命に忠実な壟峯胤正(碧織の父)
この4者と、恂とヒロイン達4人を中心に物語は進んでいく。



【勢力図】
『恂殺害派』
澳城広常(迪希の祖父)=迪希を除く澳城家
澳城小町(迪希の母)
道陵得子(愛莉の母)=愛莉・義明を除く道陵家

『恂が怪物になったら討伐派(壟峯家の使命に忠実)』
壟峯胤正(碧織の父)=壟峯家は胤正の考えが基本だが、時子の発言力も大きい

『恂の意志尊重派』
壟峯時子(碧織の祖母)
道陵義明(愛莉の叔父)

『恂の生存派』
澳城迪希・壟峯碧織・道陵愛莉
 ※ヒロイン3人は、星鴻祭の20年に一度の大祭に際し、
   作中のあるタイミングで、恂を殺すのが今回の星鴻祭の目的であり使命であることを知らされたと思われる
広原菩乃花(恂と祥那の現育ての母・実母である栄花の親友)
水原融(恂の親友)
 ※元は佳城市外の人間だが、澳城家の息がかかった警察官の父を持つ。
   澳城家の元で策略を手伝いつつ、菩乃花と繋がりを持ち、情報をリークすることで、恂の生存に尽力する。

『真実を知らされていない』
稜祁恂・稜祁祥那=一方的に危害を加えられるだけの存在。圧倒的に無力な立場。

『その他』
綱坂葵(恂と迪希の友人、澳城家と壟峯家の両方の血筋を持つ家に生まれる。恂に好意を抱いている)
 ※広常の策略により、人間である恂を殺害する実行役を引き受けさせられる。
   しかしながら、その結末は、壟峯家に恂殺害を目論んだと言う濡れ衣を着せ、権力を奪うための捨て玉。
   自らの正体を知られないために谷底へ身を投げ、それでも尚生存していたが
   澳城広常の従者である真壁の指示により、壟峯家の作法に則り、
   手首・脇・首を刃物で突かれ、血抜きされた後、顔を削がれると言う非業の最期を遂げる。



【作中のシナリオ】
『20年前の星鴻祭』
20年前の星鴻祭では、澳城広常の策略により、恂の父である稜祁衡を殺そうとした。
結果、栄花は銃殺され、恂も瀕死の重症を負う。
そこで、衡が石を恂に授け、恂は奇跡的に生存する。
※衡はこの時、石のことを『火』と表現している。
  石には、初代皇子から代々受け継がれてきた、歴代稜祁家当主の想いが封じ込められており
  その想いを『火』と表現したのかもしれない。


『冒頭』
今作は、20年に一度の星鴻祭、つまり、恂を殺すための星鴻祭が開かれる直前から始まる。
佳城の外の大学に通っていた、恂・迪希・融が列車で佳城に戻ってくるシーンからスタート。
その後、星鴻祭の準備のため、迪希・碧織・愛莉が恂の家で、祥那を含めた5人の共同生活を送ることになり
しばらくは平穏そうな星鴻祭の準備のための生活が描かれている。
ちなみに菩乃花は、既に本当の星鴻祭の意味を知っており
恂を救う方法を探すべく、世界中の伝説等を調べて奔走している。


『葵の恂殺害実行』
澳城家の命により、葵が恂殺害を実行する。
ある時は、特殊な薬を祥那に用い、操って恂を殺させようとし、
ある時は、自ら刀で恂を刺殺しようとする。
※いくらしきたりとは言え、『なぜ好意を持っている恂を殺害しようとしたか?』と疑問に感じるところだが
  病弱な妹の紫の入院費用等を澳城家が支援しており
  澳城家の命は絶対であったようだ。
  また、この計画を伝える際、『妹の命の代わりに』と言う形で迫っていた模様。
しかしながら、この目論見は迪希・碧織・愛莉の妨害に失敗に終わり、葵は自らの正体を知られないために谷底へ身を投げた。
それでも尚生存していたが、澳城広常の従者である真壁の指示により、
壟峯家に恂殺害を目論んだと言う濡れ衣を着せ、権力を奪うための捨て玉とされる。
その最期は、壟峯家の作法に則り、 手首・脇・首を刃物で突かれ、血抜きされた後、顔を削がれると言う凄惨なものだった。


『広常の指示による星鴻祭の前準備』
星鴻祭の際に身動きを取れなくするため、恂と祥那に体を弱らせる薬を盛っていた。
実行役は道陵家のもの。


『星鴻祭直前(迪希・碧織・愛莉ルート)』
この3人のルートでは、星鴻祭の直前に、恂とヒロインと交わっており
子を身籠るきっかけとなったと思われる。


『星鴻祭当日(共通)』
澳城家・道陵家は、恂が怪物に変化していないにも関わらず星鴻祭を強引に行い
恂を殺そうとする。
※血筋そのものを警戒しているのか、同時に祥那も殺す指示を出している
  しかし、指示を受けたのは融であったため、この指示を無視したので祥那は生き残る
星鴻祭の儀式に則って恂を殺そうとしたが
怪物に変化していない人間である恂を殺そうとすることに反対する壟峯家の撹乱に乗じて
現場に駆けつけた菩乃花により、恂と祥那を連れて逃亡しようとする。
しかし、逃亡の際に恂は銃撃を受けてしまった反動か、怪物への変化が始まってしまう。
逃亡を続けたものの、逃走ルートとして海からボートに乗る予定だったが
計画がバレていたのか、船は破壊され、車での逃走も失敗に終わる。
(※この途中で、融が小町と従者の真壁に銃殺される描写あり)


『星鴻祭当日(迪希・碧織・愛莉ルート)』
最終的に、恂とヒロインは追い詰められ
【1】恂がヒロインと一体化して生き延びることで、佳城全体が怪物に侵食されてしまうか(BAD)
【2】恂がヒロインに殺されることで、人としての死を受け入れるか(TRUE)
の2つの選択肢を迫られる。
いずれの選択肢も、『恂』と『ヒロイン』が自らの意志で選んだ結果として受け入れられており
作中でも彼らの意志は尊重されている点は抑えておきたい。
その際の、時子や義明の発言は感慨深いものがある。

ちなみに【2】のTRUEを選択した場合
各ヒロインが恂の子供を産んで育てる描写が入る。
つまり、当代では『石』による災厄はもたらされなかったものの
また、次の代で同様の事態が引き起こされることが予想される。


『星鴻祭当日(祥那ルート)』
2人で逃亡していた恂と祥那は、時子に事前に教えられた抜け道を使って
佳城から抜け出そうと試みる。
しかし、敵に発見され、祥那は銃撃に倒れる。

ここで半分怪物と化している恂は、2つの選択を迫られる。
【1】恂が祥那と一体化して生き延びることで、佳城全体が怪物に侵食されてしまうか(BAD)
【2】恂が石(火)を祥那に授けることで、祥那が石の保持者となって生き延びるか(TRUE)
BADについては、他ヒロインと大きな違いはありません。
しかし、TRUEはGRANDルートとも言えるほど、独自の展開となります。


『祥那ルート(TRUE)』
選択肢で『父の夢を思い出す』を選択すると、祥那ルート(TRUE)に派生します。
この結果、恂は、かつて、父の衡から石(命の火)を授かった時のことを思い出し、
それと同じ方法を実行する。
それは、自らの胸を貫き、石(命の火)を直接受け渡すことだった。
これにより、恂は命を落とし、祥那は石の保持者となりつつも、生存する。

ここで菩乃花が語る言葉が、私には理解できませんでした。
もし理解されている方がいれば、その意味を教えて頂きたいです。

(※かなり話が脱線します)
「形(なり)を崩し、音も光も投げ捨て、光と熱を失う--最後に残るのは、不安と流れと願望」
「楽園を享受しない者へ、麦を啄ばませしもの--石は命なり、命なり、命なり--」
「呪いじゃない。唯一、神に許されたもの、救うために反逆するものの歌--あの『石』の力の本質さ」
1行目は全く不明です。具体的に作中の、石の保持者が他社へ石を受け渡すことを指しているのでしょうか?
2・3行目はgoogleで検索してみたところ、
イラクのクルド人の少数派であるヤズィーディー教徒が崇拝する孔雀天使『マラク・ターウース』に関する逸話のようです。
>人類を救うべく神に反逆した罪で一度地獄に落とされた。神に許された孔雀天使マラク・ターウースは、神とともにアダムを作ったが、
>アダムが楽園を享受し何もしないため、神からアダムを唆すことを許され、アダムに禁断の麦を食べさせた。
>禁断の麦を食べたアダムは楽園から追放された。
菩乃花が調べていた資料の中に『孔雀』の描写があったことから
この辺りが元ネタであろうとは思われるのですが、どう解釈して良いものか分かりません。
そもそも、元ネタでは、マラク・ターウースが、楽園を享受して何もしないアダムに禁断の麦を食べるよう唆したとされており
作中で菩乃花が語った、『楽園を享受しないものへ』と言う言葉が既に矛盾しています。

また、『石の力の本質』と語っていますが
これが『黒歯朶之一族の創り出した石』を指しているのか
『黒歯朶之一族の創り出した石』と『初代皇子及び歴代稜祁家当主が積み重ねて来た火(おもい)』が合わさった
稜祁家当主の体内における、総合的な『力』を指しているのか、いまいちはっきりしません。

また、元の資料にはない『石は命なり、命なり、命なり--』の部分の意味が分かりません。
作中の意味だけを拾うのであれば、衡か恂へ、恂が祥那へ石を受け渡した行為は
石を授けること=まさに命を受け渡す行為ではありましたが…。
また、恂が祥那に石を授けるシーンで
恂は『怪物が怒り狂った声が聞こえた。~(略)~僕の中にいる何かが、その命を燃やし尽くされるので、断末魔をあげているのだろう』
『それは、同時に僕の終わりも近いことを意味していた。』
と語っています。
この事から、『呪い=力=怪物の命=恂の命』と想像できます。
しかしながら、やはりはっきりとしたことは分かりません。

私が考える最もそれらしい内容としては
『石』の力は、当初浄化するために初代皇子の体内に取り込まれた時のような呪いではなく、
初代皇子を含む歴代稜祁家当主の火(おもい)を積み重ねられることによって
命そのものを受け渡すことが可能になっており、それは最早呪いではない、
と言いたいのかなと思いますが、全く自信がないです。
理解されている方がいらっしゃれば、ぜひ教えて頂きたいです。

まあ、この部分は菩乃花が、作中で菩乃花が知り得た情報から
石の力を菩乃花なりに例えた場面に過ぎないので、この言葉に囚われすぎるのも良くないですね。


さて、話を戻します。

石の保持者となって祥那の近くにいた、菩乃花・迪希・碧織・愛莉は
突如苦しみ始めます。
つまり、この時点で祥那は、怪物として覚醒した状態、あるいは、それに近い状態にあったと思われます。

菩乃花に『あの、昔行った--洞窟へ行きなさい』と言われ、初代皇子が石を封印した洞窟へと向かう祥那。
洞窟に到着した祥那は、自らの身体の異変に気付きます。
冷たさや暖かさ、感触、空腹といったものを全く感じなくなりました。

菩乃花に『必ず助けるから』と言われたので、時間の流れも分からくなるくらい
洞窟で延々と待ち続ける祥那。
1年待っても誰も来ず、2年待っても誰も来ず、
そこから更に時を重ねる演出があるので、最低でも10年は経っている印象
(※VFBより、1,000年くらいの時が流れているそうです)

突如、祥那が経験したこと無い腹痛を訴えます。
(祥那はこれを『お母さんになるときの痛さだ-』と表現してます)

(ここから、原文そのまま引用)
皇子『僕は、最初の夢さ--一番叶えたくて、叶えられなかった夢。でも、やっと最後に叶った』
皇子『ごめんね--僕は、ほんの少ししか、幸せを作ってあげられなかった』
皇子『でも、祥那ちゃんなら、きっとその幸せと共に、前に進んでくれると思う』
皇子『僕の、独りよがりな幸せかもしれないけど--でも、僕は君たち兄妹に、感謝したかったんだ』

お兄ちゃんじゃない人(初代皇子)がそう言うと、
祥那の体がどんどん宙に浮いていくような気がした。
それから、とっても大きなものが、祥那の全身を飲み込んじゃうように、通り過ぎて行く感じがして--。
祥那の体は空から落ちていくような、それでいて、どんどん空へ飛び上がっていくような、
そんなよくわからない心地になった。
~(略)~
なんだか、祥那はちゃんとした人間なんだって言えるぐらい、全身で何かを感じていた。
それから--足元の感覚がなくなって--。
それから、怖くなって--。
手を伸ばして--。
誰かを、掴んだ気がした--。
それとも、誰かが祥那の手を--。

気がつくと、祥那はよくわからない場所に立っていた--。

ここで恂との再開。
しかし、その場所がどこなのかは分かりません。
見た目は洞窟のようなゴツゴツとした岩場に見えますが…。

ただわかっているのは、すこしだけ--。
祥那が居て--。
お兄ちゃんがいてくれたことだけ--。
お兄ちゃんが、祥那のそばにいてくれたことだけ--。

ここで自覚のないまま涙を流す祥那。
なぜ泣いているのかおぼえてないと答える祥那を見て、苦笑する恂。

祥那はそれに合わせようとするができなかった。
たぶんそれは、悲しいってことがわかって、寂しいってことがわかって、それから--。
それから--大切なものを得たから。
そして--代わりに、大切な何かを失ってしまったことがわかったから。

家に帰ろうと促す恂。
それに対して祥那の応えは

『うん……そうだね。帰ろう。祥那たちの家に』

ここの『祥那たち』と言う表現から
祥那が、もう外に出ても、菩乃花や、その他の人々が居ないであろうことを
自覚していることが窺えます。

~(略)~

お兄ちゃんがいてくれれば、もう何が待っていようと--怖くない。

で、結局何がどうなったのでしょうか…?

『案1』
最後に祥那と恂が居た場所は、祥那が入った洞窟。
単純に祥那が恂の命の火と共に、初代皇子から受け継がれてきた石の保持者の夢を受け継ぎ
祥那が恂を産む形で恂の命を取り戻す事ができた。
しかし、通常の人間ではありえない年月をそのままの姿で過ごしているため
佳城に戻ったとしても、知人は誰一人として残っていないことを祥那は自覚している。
→場所に関してはVFBで否定されました。洞窟ではない場所と明記されていました。

『案2』
最後に祥那と恂が居た場所は、天界(異世界)。
初代皇子が『一番叶えたくて、叶えられなかった夢』であろう、
祥那にとっての恂のいる状態を佳城で叶えるのは不可能だった。
そのために、祥那と恂と一度人間じゃないものへの変化させ
長い時を経て、改めて人間に戻した。
→さすがに話が飛躍しすぎでしょうか?
  神話の話は菩乃花の研究の中でのみ語られており
  作中の事実では異世界の存在は語られていません。

『案3(本命)』
最後に祥那と恂が居た場所は不明(未設定)。
その他の状況も詳細には設定されていない。
ただ設定しているのは
祥那と恂が生存していることと
他の知り合いが誰もいないこと。
それだけ。
ただそれさえあればいい。


私の基本的な感想は、『案3』を元に述べています。
また、後から確定したことですが
VFBにおいて、恂が生まれ変わったことで
『石』の呪いからは解き放たれて、純粋な人間となっていることが明示されています。

元の洞窟ではないと言う表記や、石の呪いから解き放たれていると言う表記から
恂と祥那の二人には、知っている人間が二人しかいない、
場合によっては、人間が恂と祥那しかいない可能性すらある世界において
『お互いが存在する』と言う、小さな、そして最もかけがえのない幸せを胸に秘めつつ
強く生きていくことでしょう。


ものすごく味気ない言い方をしてしまうと、『超展開ご都合主義END』と言えなくもないですが
石(呪い)の成り立ちから歴史を追って
初代皇子から何十世代にも渡る悲劇を生み出してきた稜祁家当主が
直近3世代の様々な葛藤や抗争を経た結果
『恂と祥那が生存する』という結末を得ることが出来たと言う重みを噛み締めながら
プレイして頂きたいENDでもあります。

佳城の歴史の中で、一人でもこのような結末を想像し得た人物がいるでしょうか?
菩乃花は特別としても、時子や義明は恂やヒロイン達の意志を尊重しようとしたものの
恂が生存して生き長らえると言うことは想像すらしなかったことでしょう。

その誰もが想像すらし得なかったことが現実となった奇跡。
それを見せられた時の感動は、私にとっては言葉には表現し得ないものでした。



長文となりましたが、この『少女神域∽少女天獄』は
噛めば噛むほど味が出てくるスルメのような作品です。

お世辞にも理解しやすい内容とは言えませんが
腰を据えて、根気良く望んで
最低3周、できれば5~10周程しつつ、謎を解き明かしていけば、
とても楽しめる作品だと思います。

ここまで読まれている方がいれば、恐らく既プレイの方かと思いますが
お時間のある時に、是非とも再プレイして頂ければ
この長文を書いた私は嬉しく思います。



また、このような楽しい作品を作って頂いた
ブランドのLassさんには最大限の感謝を送りたいと思います。

ただ黒歯朶之一族と『石』の成り立ちだけは
分かりやすく本編に入れておいた方が良いと思いました!

それでは、ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。





(※H27.5/30追記)
【各キャラクターの詳細な感想】
※( )内は私のお気に入り度
  10(高い)>>>1(低い)

【澳城家】
澳城 広常(8)
本作品の、現代における首謀者。
前々回の星鴻祭大祭において、しきたりに則り、悲しみに暮れながら親友の稜祁元を殺した。
そのような悲劇を繰り返さぬよう
前回の星鴻祭の大祭において、人間の段階で恂の父である稜祁衡を殺害しようとするも
衡が恂に火(命)を渡したことで石の引き継ぎを断ち切る狙いは失敗に終わる。
今回の星鴻祭大祭においても
怪物に変化する前に恂を殺すことで、忌まわしい伝説に終止符を打とうとしている。

恂殺害という決断を主軸において行動しているため
非情な人間に見えがちだが
その根源は、自らが親友を殺さざるを得なかった悲しみを繰り返さないためという
人間らしい理由である。

そのために人生を捧げて実現しようとしているのだから
一概に非情と切って捨てることはできないでしょう。

数少ない、広常が恂に声をかけるシーンの笑顔は
策略を悟られないための仮面なのか
それとも、策略とは関係ない部分の自然な笑顔なのか…。

一つだけ残る大きな疑問は、『石の保持者を怪物に変化する前に殺したらどうなるか?』と言うこと。
初代皇子がその場で石を破壊するのではなく、わざわざ体内に取り込んで
世代を重ねて石の呪いを削ると言う方法を選択した以上
石の保持者を殺したところで万事解決とはいかないでしょう。
場合によっては、稜祁家当主の体外に石が出てしまうことで
今までにない悲惨な事態となる可能性も十分考えられます。

広常がそこまで考えて行動しているのか、若干疑問です。



澳城 小町(6)
澳城広常の娘。
前回の星鴻祭大祭において、夫である能常を殺されている。
恂の父である稜祁衡が、栄花と結婚する前から
密かに衡に好意を寄せていた。

現在は、当主である広常の駒として動いている。
権力的にも、広常に頭を押さえつけられている格好で
いまいち自由の効かない不遇な立ち位置。
感情を殺して広常の命に徹して行動しているものの
その根本には、一族の使命や広常の命に従いたいとは思っていない。

その証拠として、スパイと判明した融を殺した際
すぐにトドメを刺さずに、『少しでも生きていて欲しい』と語っている。
また、迪希が怪物になりかけている恂を追うシーンで
迪希を見逃している。

20年以上にも渡って広常の命と澳城家としての使命に雁字搦めにされ
本心を殺してきた彼女は、今作の迪希ルートのTRUEEND後、何を思ったのでしょうか?
少しだけでもエピローグを読んでみたいですね。
また、小町を主人公にした、前回の星鴻祭大祭のミニエピソードも面白そうです。
本作に珍しく本心を内に隠しているキャラだけにそう思います。



澳城 迪希(4)
本作ヒロインの一人。
恂とは幼少の頃からの幼なじみ。
現在も同じ大学に通っており、仲の良さは折り紙つき。
最近は恂を尻に敷いているような状態。

星鴻祭大祭にあたり、星鴻祭大祭の本当の意味を知らされ
最も狼狽えていたのが、意外にもこの迪希である。
それだけ恂のことを想っていたとも言えますが
土壇場で躊躇ってしまうあたりが、とても女の子らしいキャラとも言えます。

ただ、本作の性質上、『意志力=キャラクターの魅力』に見えてしまいがちなので
キャラクターの魅力と問われると、いまいちでした。



【壟峯家】
壟峯 時子(10)
碧織の祖母。
恐らく本作で最もユーザーに好かれるであろうキャラクターです。
本作ではヒロイン達に星鴻祭の舞等を指導する立場になりますが
そのような日常においても、厳しさと優しさを随所に見せる
理想的な母親像を思わされます。

また、星鴻祭大祭においても
暴走して怪物となる前の恂を殺そうとしている広常や
それに力を貸す得子に対して、毅然とした態度で立ち向かう姿はかっこいいです。

そして何よりも、碧織ルートにおいて
碧織がBADを選択したとしてもTRUEを選択したとしても
この時子は碧織に対して『良くやった』と褒めてあげられるのです。

特にBADの
『碧織……お前が最期に選び取ったのは、やっぱり坊やだったんだね』
『立派だよ……あたしは、お前の愛(いじ)を認めてやる。立派だ。自慢の孫だよ』
『世界中の誰もがお前たちを責めても、あたしだけは、絶対にお前たちの愛を認めてやる』
『お前たちの想いを、その優しさを--家族(あたし)が認めてやらないで、どうするんだい』
(以下、まだまだ名台詞が続きます)
の下りは、あーちゃんのあまりの包容力に涙が出ました。

更に、この愛情は家族である碧織だけでなく、恂や祥那達にも向けられています。
祥那ルートにおいて、神社で捉えられた祥那を助け、
『この佳城から逃げるんだ。鳥が羽ばたくように、運命から逃げるんだよ。いいね?』
『今度こそ--お前たちは、生きろ』
と、祥那に逃げ道を教えるシーンがその最たる例です。

どのルートにおいても、恂の世代の子供たち自身の意志を尊重しつつ
間違ったことをすれば過ちを教える。
そんなブレない姿勢が本当に魅力的でした。



壟峯 胤正(6)
碧織の父。
星鴻祭の伝統に則り、石の保持者が怪物と化した際に討伐すると言う立ち位置を貫くが
母である時子にそれを強制するわけではなく、あくまで自らの姿勢を崩さないだけである。
前回の星鴻祭大祭では、怪物と化した稜祁衡の討伐に参加した。
親友である衡の討伐に参加したにも関わらず
伝統を順守することに重きを置くということは、伝統を継ぐための『強さ』なのか
はたまた、自ら伝統を断ち切ることができない『弱さ』なのか。



壟峯 碧織(7)
本作のヒロインの一人。
幼少の頃は、男の子のように活発で、恂と活動的に遊んでいた。
ある程度年を重ねたところで、『時子から氏子同士はあまり仲良くしない方が良い』と言われ
疎遠となっていた。(仲良くなるほど大祭が辛くなると言う意味であろう)
本作が始まった段階においても、恂に対して素っ気ない態度を取り続けていたが
星鴻祭大祭を前にして、恂の家で恂・祥那・他のヒロイン3人と同居生活を送るうちに
わだかまりが溶け、恂への好意を確かなものと確信する。

星鴻祭大祭の本当の意味(=恂を殺す)を知らされた際も
毅然とした態度で恂を守ることを決意するあたりが、碧織のかっこいい所ですね。
意志力と言う面で、時子譲りな部分があるかもしれません。
壟峯家は皆ブレないのでかっこ良く見えてしまいますね。



【道陵家】
道陵 得子(3)
愛莉の母。
前回の星鴻祭大祭で夫の義澄を失い、愛莉のために尽くすことが生き甲斐となっている。
ただし実際の行動は、愛莉の将来にためになると思い込んでいる行動を取っている。
それは、佳城市の中でも権力の強い澳城家と繋がりを持ち
道陵家の権力を強いものにすること。
そこに固執するあまり、考え方の異なる弟の義明とか仲が悪く
室内や車内で弟の会話を盗聴するまでに至っている。
彼女は前回の星鴻祭大祭で何かが壊れてしまっているのかもしれない。



道陵 義明(6)
愛莉の叔父。得子の弟。
体の弱い恂の主治医を務め、小さい頃から漢方の処方等をしている。
彼自身が前回の星鴻祭大祭でどのような立場にいたのか不明だが
稜祁家当主を殺すと言う伝統には反対の立場を取っており
恂や愛莉に対しては、自らの意志で星鴻祭大祭に望んで欲しいと考えている。
菩乃花や融と繋がっており、今回の星鴻祭大祭では
恂殺害を食い止めようと静かながらも活動し続ける。

全体的に見れば、稜祁家にとっての縁の下の力持ち的な立場だが
道陵家が澳城家と手を組むと言う方針である以上
敵陣の中孤立した状態で信念を貫くことは、並大抵のことではないと思う。
下っ端悪役の得子と対照的な、良い人の権化。



道陵 愛莉(3)
本作ヒロインの一人。
恂に対して、王子様であるかのような憧れに似た好意を抱いている。
しかしながら、本作に置いて、考え方がかなりぼんやりしているキャラでもある。
要所において、意志の強さを覗かせるものの
その根拠に乏しく、本当にそう思っているのか、読み手として釈然としない。
普段の口調が柔らかいせいもあるでしょうし、
そもそも道陵家の立場が微妙なせいもあるでしょう。



【稜祁家】
稜祁 恂(5)
本作の主人公にして、(私の中では)メインヒロインの一人。
無力かつ、物語の中心人物(ターゲット的な意味で)と言う
不遇の一言では済まされない悲しい運命のもとに生まれた。
『石』の歴史もそうですし、現代の人物関係に置いても
生まれる前から人生が終わっているレベルで不遇。

基本的に誠実な人柄で、人当たりも良く好青年である。
本作に置いては終始『石』や周りの人間に振り回され続ける彼だが
各個別ルートにおいて、『石』の欲望に打ち勝つ意志力もあるのですから
主人公としても悪くはない、と思います。



稜祁 祥那(10)
本作のヒロインの一人にして、メインヒロインの一人。
兄である恂に対して、見ているこちらがとろけそうな程甘えてくる可愛い妹。
容姿もキュートと言う言葉がピッタリ。
そんな妹が一緒にお風呂に入ろうと誘ってくるのですから
『石』の影響であろうがなかろうが、恂も暴走するというものです。

冗談はさておき、絵に描いたような可愛らしい妹ですね。
そして稜祁家なので、例によって無力な存在として描かれています。
更に、恂のような意志力や頭の良さを備えているわけでもない。
星鴻祭の4人の巫女の中でも、唯一異端の立ち位置…と
恂よりも更に無力な存在です。

そんな彼女は、広常の命令で『念のため』と言う理由で殺害の対象となっています。
本作ではその指示を受けたのが融だったため、そこまでの悲壮感は出ませんでしたが
理不尽さで言えば、恂よりも更に不遇かもしれません。

また、他ヒロインと比較して
いや、全てのエロゲーのヒロインと比較して極めて稀な
主人公との恋愛描写がないヒロインでもあります。
お兄ちゃんは大好きですし、甘えるのも大好き。
でも性についての知識も乏しく
『恋愛』と言うものを理解しているとも言いがたい。

それだけに、恂が『石』の欲望に支配されて暴走した時に
祥那の立場から見れば残虐さが、
恂の立場から見れば、支配欲が満たされる様子が際立ちます。

TRUEにおいては、1,000年以上に渡る『石(=呪い)』の伝説に終止符を打つとともに
初代皇子から始まり、歴代稜祁家当主とともに抱いていた、
初代皇子曰く『ほんの少しの幸せ』の象徴の一部として描かれています。

エロゲと言うこともあり、勘違いしてしまいがちですが
TRUEでは恂と祥那、お互いの恋愛描写はありません。
恐らく、恂の祥那に対する肉欲は、『石』の呪いによるものでしょう。
(いずれの場合も恂が衝動的に自殺する結末から推測)

つまり、本作TRUEの結末は、あまりにも深い兄妹間の家族愛が主であるということです。
(もちろん、生まれ変わった恂と祥那がその後、それ以上の関係になることも考えられますが)

TRUE後はぼやかした方が味わい深いとは思いますが
ifストーリーでも良いので、ちょっとしたショートストーリーを読んでみたいですね。



広原 菩乃花(5)
恂と祥那の実の母である栄花の親友。恂と祥那の現在の育ての母。
基本的にご都合主義の塊ですが
親友の子とは言え、直接血の繋がりもない恂と祥那を
我が子同然に育てることはなかなかできるとは思えません。
恐らく、菩乃花と栄花の間で、そう思わせる『何か』があったのでしょう。
このあたりも面白いエピソードが埋もれてそうですね。



【その他】
綱坂 葵(8)
迪希の親友。恂の友人。
今回の星鴻祭大祭のキモとも言える人物。
広常に恂を殺す命令を受ける。
自ら恂に好意を抱いていると共に、迪希が恂に好意を抱いていることも知っている。
恂を殺すと言うことは、自らの気持ちに、迪希への友情を裏切ると言うこと。
しかし、病弱で入院している妹とともに、澳城家に支援して貰っているため
悲痛な思いを抱えながら、恂殺害に暗躍することとなる。

最終的に恂殺害は失敗に終わるが
迪希達に追い詰められた際に、仮面を剥がされるくらいなら…と崖から身を投げたのは
『素性を知られてはならない』と言う広常の命令だけでなく
恂と迪希を深く傷つけてしまうであろうこと
また、葵自身も恂を傷つけるような人間だったと思われたくないこと等々
複雑な感情が交じり合った結果だと、私は思っています。



水原 融(6)
恂の親友。
自らの命を賭してまで恂を助けようと暗躍する親友の鑑。
しかも、正面切って手助けするのではなく、敵方のスパイとして行動すると共に
恂達には何も知らせず、独自に行動しているところが心憎いですね。
(菩乃花達とは連携を取っていますが)

私見では、稜祁家側に味方があまりにも少ないので…と追加されたキャラなのではないかと思います。
稜祁家側が澳城家の動向を知ることができると言う理由付けのためのキャラでもあります。

邪推はさておき、同姓の友人のために命を賭ける友人はあまり見かけないので希少ですね。
作中では、いくら親友のためとはいえ、自らの命を賭ける程の理由は明確に語られていませんが
星鴻祭大祭の真実を知るにつれて
伝統や運命のために、葵や恂達が酷い目に合わなければならないという理不尽さそのものに対する
反抗心のようなものは随所に見受けられます。

最終的に、いずれのルートにおいても小町達に殺されてしまうため
融が恂のために動いていたことを、恂が知る機会は一切ないのがまた…。

祥那を除く3ヒロインのTRUEエンド後、天国で二人が語らうことができればいいなと思います。



【キャラ総評】
登場人物全てが、自らの立ち位置から、自らの意志を持って行動する。
そこがこの『少女神域∽少女天獄』の最大の魅力の一つです。
周回プレイを重ね、それぞれの場面において、各登場人物の心中を想像できるようになってから
改めて初めから等速プレイをすると、
何気ない日常シーンが味わい深いシーンへの変化するのが面白いです。

ところで、たらればの話になりますが
もし現代に、菩乃花と融がいなかったら、恂と祥那が不遇過ぎて恐ろしいですね。
そこから逆転の発想で行くと
前回の星鴻祭大祭では、衡の味方は栄花、時子、義明くらいでしょうか?
(小町は本心を表に出していないでしょうし、表立って広常に反抗する度胸はないでしょう)
結果的に怪物となってから殺されているので
恐らく広常の目論見通りには行かなかったのでしょうが
味方の少なさや、栄花は殺され、恂も銃撃を受けて死にかけたことを踏まえると
今作で語られた恂の世代よりも更に悲惨な物語だったであろうことが想像されますね。

サイドストーリー、色々読みたい部分があるのですが
本作の世間での評判から考えると、もう展開されることはないんでしょうね…。
とても面白い設定なのに勿体無くて仕方ないです。

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