asteryukariさんの「ABYSS -殺人クラブ- 完成版」の感想

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話に不満を覚える部分もあるが、それ以上に個々のキャラクターが生きていて、読んでいて楽しい作品であった。果たして彼女の優しさと強さに見惚れぬ者などいるのだろうか…
平和なはずの学校で日夜繰り広げられるアビスという名の殺人儀式。儀式とは言ってもその実態はまあ殺人ゲームなわけで、どう逃げるか、あるいはどう対抗するかが勝利条件として記されている。所謂バトルロワイヤルというやつだ。やはり好きな系統の話だけあってワクワクした。

そしてこの作品には読者を楽しませる要素としてもう一つ、ミステリー的要素が存在する。アビスの正体は誰なのか、謎だらけの登場人物達の生い立ちは?行動目的は?一√目だと分からないことだらけで、√を追うごとに次々と事実が明らかになっていく。はたまた増える謎なんかもあって、読んでいてとても楽しい。特に主人公や琴子の正体、それから聖先輩の件なんかは驚かされた。

ただ、読んでいて楽しくはあるものの、事実が明らかになる以外はあまり面白味がなく、那美√に入るまでは退屈に感じる瞬間も多かった。しかしながら那美√に入ると一気に面白くなった。まあ戦闘に関しては強化合戦になっていて、どのキャラがどのくらい強いのかなんてわからなくなっていたのだが笑。特に幽なんて顕著だろう。あんな使い方を覚えただけで作中屈指の強キャラである数多とほぼ互角に近いような状態でやり合えるとは…。

そしてそんな彼女にダイアログの使い方を教えた聖先輩がたまらなかったというわけだ。那美√も話自体は構成、結末共に不満を覚える部分も大きかったのだが、鬼塚と聖先輩が抜群に輝いていたので満足度は高かった。

鬼塚は序盤からABYSSでありながら味方という中々おいしいポジションについていて、愛着すら芽生えていた。そんな好印象のキャラクターがあんなにも真っ直ぐで一途で、カッコいい場面を見せてくれたとなったらもう、惚れないわけがないのだ。聖先輩を庇う場面だけでも十分であったのに、手紙まで…。作中で一番カッコイイ男は誰かと問われたならば、鬼塚であると即答するだろう。フォールの多用で乱暴な口調のシーンも多いが、本当は誰よりも優しくて強い奴だった。

そして聖先輩だ。かつてABYSSの犠牲になった弟のため、自らABYSSとなり、内から潰す。そのためにここまで努力し続けてきたのだと、まさに裏主人公の様な立ち位置で、彼女の心情を考えると中々くるものがあった。そして、それを踏まえた上で高槻との戦闘を見ると、とても熱かった。全体を通して戦闘自体は燃えなかったのだが、この戦いだけは別だった。聖先輩に勝ってほしくて仕方なかったのだ。

そしてそんな熱さとは別に温かさもきちんと持っていたわけだ。
「今回は間に合ったんです。昌くんを、助けてあげることが出来た。…実を言うと、私、昌くんや琴子ちゃんの事を、弟や妹のように思っていたんです。」
お姉さんらしい包容力まで兼ね備えているとは…こんなの絶対に好きになってしまうし、この作品をプレイした方で聖先輩に恋しない人などいるのか、疑問が生じるほどだ。



振り返ってみると軸になっている物語自体はそうでもなかったのだが、局所的に好きな要素が存在していて、胸が熱くなるシーンもいくつかあった。そのため、なんだかんだ楽しい作品だったのかなと思う。

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